表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どんなシリアスな展開も、心の中でツッコミ入れれば大体なんとかなる説  作者: 東影カドナ
第3章:昨日の敵は今日の味方、展開早すぎる説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

3-2:陽キャな幼馴染、だいたい暴走しがち説(後編)


(【情報視】!)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【対象情報:解析失敗】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【警告】:情報の一部がブロックされています

【名前】:天海ユズ(あまみ ゆず)

【種族】:Human...?

【ステータス】:Unknown


【解析可能な情報】

 ・身体能力:A+

 ・潜在魔力:S

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 私の視界に、ユズのデータが流れ込んでくる。


(……は?)

 

 背筋が、ゾッと凍りついた。

 なんだ、このステータス。

 

 身体能力A+? そんじょそこらのアスリートでもお目にかかれないランクだ。

 そして、潜在魔力S……? 戦闘能力ならレイですらAだったというのに。

 

 極め付けは、『種族:Human...?』。

 はてなマークが、そこにはっきりと表示されていた。


(ミラ、これってどういうこと?)


≪データ不足により、解析不能。対象は、既知のいかなるデータベースにも合致しません。ただし、この情報パターンは、以前観測した『暴走疑似生命体』のそれに、一部類似しています≫

(類似……って、まさか……)


 私の思考は、最悪の可能性に行き着き、そこで強制的に中断させられた。

 


 ◇



 体育の授業が終わり、昼休み。

 私はミラからの衝撃的なレポート内容を引きずったまま、教室で焼きそばパン(ミラの非推奨勧告はガン無視した)を頬張っていた。


 あの後、ユズにそれとなく探りを入れてみたが、「昔から体力だけはあるんだよねー」と笑って流されるだけ。本人は全くの無自覚のようだった。


(だとしたら、余計に厄介や……)


 私が考え込んでいると、教室の扉が勢いよく開き、張本人が突撃してきた。


「セっちゃん! 探したんだよー!」


 ユズは、またしても太陽みたいな笑顔で、一直線に私の席にやってくる。

 そして、当たり前のように私の前の席に腰掛けた。


「てかさー、最近、あの夜城レイと仲良しの女子がセっちゃんだって噂になってるよ。この前も一緒に帰ってたって、ミカが言ってたし! どうなの、どうなの?」

「いや、別にそういうんじゃ……」


 私が言葉を濁していると、すぐ隣の席から、まるで計ったようなタイミングで、爽やか声が割って入った。


「ああ。俺が道に迷っていたところを、セツに助けてもらったんだ」


 いつの間にか、そこにはレイが立っていた。

 彼はユズに向かって、完璧なまでの営業スマイルを向ける。


「ひゃっ!? や、夜城くぅん!?」


 ユズの顔が、見る見るうちにリンゴのように真っ赤に染まっていく。


(わかりやす! チョロすぎやろ、この陽キャ! 顔面に『好き』って書いてあるレベルやで!)


「天海さん、だよね。セツと仲がいいんだな」

「は、はい! 幼なじみっていうか、まあ、そんな感じですぅ!」


 完全に挙動不審になるユズ。

 陽キャのくせに、本物のイケメン耐性はゼロらしい。


≪対象『天海ユズ』、心拍数150bpm超。極度の興奮状態と判断。好感度95(一目惚れ)を記録≫

(好感度たっか! ていうか、一目惚れて! アホの子か、この子は! 数値で見せられると、余計に笑えてくるわ!)


 レイはそんなユズの様子を気にも留めず、私に向き直った。

 その瞬間、彼の視線が、一瞬だけユズの後ろ姿を追った。

 その表情に、わずかな緊張が走る。


(……あれ?  今、レイの顔、ちょっと変わらんかった?  何かある?)


 だが、すぐにいつもの営業スマイルに戻る。

 レイは声を潜めて言った


「セツ、今日の放課後、時間はあるか? 昨日の件で、共有したい情報がある」

「え、あ、うん」

「じゃあ、屋上で。他の奴らに聞かれたくない話だ」


 そう言って、レイは魅惑の香りを残し、颯爽と自分の席に戻っていく。

 後に残されたのは、魂が抜けかけたユズと、面倒なことになりそうな予感に眉をひそめる私。


「……セっちゃん」

「……なに?」

「今の、何? え、何? 夜城くんと下の名前で呼び合ってんの? てか、屋上で密会!? どーゆーこと!?」


 ユズは、興奮で目をキラキラさせながら、矢継ぎ早に質問を浴びせてくる。


「落ち着いて。ただの業務連絡だから」

「業務連絡で屋上に呼び出す!?」


(まあ、確かに……。少女漫画なら完全に告白イベントの前振りやな)


 私は面倒くさくなって、適当にはぐらかそうとした。

 だがしかし、ユズの暴走は、私の想像の斜め上をいっていた。


「わかった! そういうことだったんだね! ウチ、応援するから! セっちゃんの恋!」

「違うから! 話を聞け!」

「大丈夫! 親友の恋路を邪魔するヤツは、ウチが全員まとめて吹っ飛ばしてあげる!」


 ユズは、なぜかガッツポーズを決め、戦闘モードに入っている。


≪補足。天海ユズの身体能力から計算すると、『吹っ飛ばす』は比喩ではなく、物理的に実行可能です。推定飛距離:15〜20メートル≫


(洒落になってへん! ミラ、余計な情報いらんねん! てか、なんで飛距離まで計算しとんねん!)

(あかん、話が通じへん!  恋に恋する乙女モードと、有り余る謎のエネルギーが化学反応を起こして、とんでもない方向に暴走しとる!  これ、核融合レベルの暴走や!)


「よし決めた! まずは二人のデート(?)を成功させるために、私も屋上に行く! 邪魔者からセっちゃんを守るSPになってあげる!」

「来んな! あんたが一番の邪魔者や!」


 私の魂のツッコミも、暴走特急と化した幼なじみには、もはや届かない。


≪警告。天海ユズの興奮状態が臨界点に達しています。このまま放置すると、予測不能な行動に出る可能性が92%です≫


(今さら警告されても遅いわ! もう手遅れや!)


 こうして、私の穏やかだったはずの日常は、自覚なき超人スペックを持つ、恋に暴走する陽キャな幼馴染によって、ガラガラと音を立てて崩れ始めたのだった。

 前途多難。その言葉しか、私の頭には浮かんでこなかった。


ユズの暴走はどうなる!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ