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完璧令嬢は今日も必死です  作者: 周音


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第9話 新たな敵

 十二歳になった私は、学院での生活にも慣れていた。


 そして、レオン、エマ、リオンとの関係も良好だった。


「エリアナ姉様!見て見て!」


 リオンが、最近私のことを「姉様」と呼ぶようになった。


「どうしたの、リオン?」


「テストで満点取ったんだ!」


 嬉しそうに答案用紙を見せてくる。


「すごいわ!頑張ったのね」


「兄さんとエリアナ姉様が教えてくれたからだよ!」


 リオンが笑う。


 その笑顔を見て、私も嬉しくなった。


『……変わったなあ』


 原作では敵対していた私たちが、今は家族のように仲良くしている。


「リオン、調子に乗るな」


 レオンが苦笑しながら言う。


「いいじゃん、兄さん!」


「エリアナ様!レオン様!リオン様!」


 エマが駆け寄ってくる。


「大変です!」


「どうしたの、エマ?」


「マリア様たちが……また何か企んでるみたいで……」


 エマが息を切らしながら言う。


『……やっぱり』


 最近、マリアたちの視線が冷たい。


「何を企んでるか、わかる?」


「いえ、詳しくは……でも、怖い顔で話してました」


「……気をつけないとな」


 レオンが真剣な表情になる。


 その日の午後、私は図書館で勉強していた。


 すると――


「エリアナ・ローゼン」


 低い、重厚な声が聞こえた。


 振り向くと、見知らぬ男性が立っていた。


 五十代くらいだろうか。威厳のある雰囲気。


「……どちら様ですか?」


「失礼。私はエドワード・エーデル。レオンの叔父だ」


『……レオンの叔父!?』


 原作には出てこなかった人物だ。


「初めまして。エリアナ・ローゼンと申します」


 警戒しながらも、礼儀正しく挨拶する。


「レオンの婚約者だな。噂は聞いている」


 エドワードが椅子に座った。


「単刀直入に言おう。君に、頼みがある」


「……何でしょうか?」


「レオンから離れてくれないか」


「!?」


 予想外の言葉だった。


「な、何故ですか?」


「レオンは、次期公爵になる。そのためには、もっと政治的に有利な婚約者が必要だ」


「……私では、不足だと?」


「そうではない。君は優秀だ。だが、ローゼン侯爵家は政治的に中立だ。それでは、レオンを支えられない」


 エドワードが真剣な目で私を見る。


「今、公爵家は分裂している。レオンを守るためには、強力な後ろ盾が必要なんだ」


「……それでも、私は離れません」


 きっぱりと答える。


「レオンは、私が支えます。政治的な力がなくても、私にできることはあります」


「……君は、本当にレオンを愛しているのか?」


「……はい」


 顔が熱くなる。


 でも、嘘はつけない。


「そうか……」


 エドワードが深くため息をついた。


「なら、仕方ない。だが、覚悟はいいか?」


「どういう意味ですか?」


「君がレオンの婚約者である限り、多くの敵が君を狙う。ベアトリスだけではない。もっと危険な存在もいる」


 エドワードが立ち上がる。


「気をつけたまえ、エリアナ・ローゼン。君は、もう戦いの渦中にいる」


 そう言い残して、彼は去っていった。


『……危険な存在?』


 胸騒ぎがした。


 翌日、事件が起きた。


「エマ!」


 中庭で、エマが数人の貴族の子女に囲まれていた。


「平民のくせに、レオン様に近づくなんて!」


「身の程知らず!」


 口々に罵る声。


「やめなさい!」


 私が割って入る。


「エリアナ様……」


 エマが涙目で私を見る。


「あら、エリアナ様。あなたもエマを庇うのですか?」


 その中の一人が言う。


 見覚えのある顔だ。


「……あなたは?」


「私?私はイザベラ。レオン様の遠縁の者ですわ」


 イザベラと名乗った少女が、冷たく笑う。


『……原作にいなかった人物だ』


「エマは私の友人です。彼女を虐めるなら、私が相手になります」


「まあ、怖い。でも、エリアナ様」


 イザベラが一歩近づく。


「あなた、最近調子に乗りすぎではなくて?平民と仲良くして、リオン様まで取り込んで」


「取り込むなんて、していません」


「ふうん。では、これは?」


 イザベラが何かの書類を取り出した。


「これは、あなたがリオン様に近づき、公爵家の内情を探っていたという証拠ですわ」


「そんなもの、偽造でしょう!」


「証拠がある以上、偽造とは言えませんわよ」


 イザベラが勝ち誇ったように笑う。


『……まずい。これは計画的だ』


「そんな!エリアナ様はそんなことしてません!」


 エマが叫ぶ。


「黙りなさい、平民」


 イザベラがエマを睨む。


 その時――


「何をしている」


 低い声が響いた。


 レオンだ。


「レオン様!」


 イザベラの態度が一変する。


「この方たちが、エマを虐めて……」


「俺が聞いているのは、お前たちのことだ」


 レオンの声が、氷のように冷たい。


「エリアナとエマに、何をしていた?」


「い、いえ……その……」


「……もういい。イザベラ、お前とは二度と関わりたくない」


 レオンがきっぱりと言う。


「そ、そんな!」


「エリアナ、エマ、行こう」


 レオンが私たちを連れて、その場を離れた。


 安全な場所に来て、エマが泣き出した。


「ごめんなさい……私のせいで……」


「違うわ、エマ。悪いのは、あの人たちよ」


 私がエマを抱きしめる。


「エマは、何も悪くない」


「……うん」


 エマが涙を拭く。


「ありがとう、エリアナ様……」


「エリアナ」


 レオンが真剣な顔で私を見る。


「これから、もっと厳しくなる。お前を狙う者が増える」


「……わかってる」


「それでも、俺と一緒にいてくれるか?」


 レオンが私の手を取った。


「当たり前でしょう」


 そう答えると、レオンは――初めて、本当に安心したような笑顔を見せた。


「……ありがとう」


 小さく呟いて、私の手を強く握る。


『……大丈夫。私たちなら、きっと乗り越えられる』


 そう信じた。

次回予告:

イザベラの登場で、エリアナを巡る状況はさらに複雑に。マリア、イザベラ、ベアトリス――三つの勢力が、それぞれの思惑で動き出す。そして、十三歳の誕生日、エリアナに予想外の出来事が――

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