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完璧令嬢は今日も必死です  作者: 周音


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第23話 迫る運命

 正式な婚約発表まで、一ヶ月。


 屋敷では、準備に追われていた。


「お嬢様、ドレスの試着ですわ!」


 マルタが、豪華なドレスを持ってくる。


「こんなに立派なドレス……」


「当然です!公爵家との正式な婚約発表なのですから!」


 試着をしながら、母が厳しく指導する。


「エリアナ、姿勢をまっすぐに。当日は、全ての視線があなたに集まります」


「はい、お母様」


「失敗は許されません。完璧に振る舞いなさい」


「はい」


 母の言葉に、少しだけプレッシャーを感じる。


 でも――


『大丈夫。今までだって、乗り越えてきたもの』


 自分を励ます。


「エリー」


 アレクが部屋に入ってきた。


「お兄様?」


「少し、話せるか?」


「ええ」


 別室に移動すると、アレクが真剣な顔で言った。


「エリー、次の舞踏会のことだが」


「うん」


「あれは、成人舞踏会でもあるんだ」


「成人舞踏会?」


「ああ。お前が十五歳になったことを祝う、公式の舞踏会だ」


『十五歳……成人舞踏会……』


 その言葉に、脳裏に稲妻が走った。


『まさか!?』


 原作の断罪イベントは――


 十五歳の成人舞踏会で起こる!


「エリー?顔色が悪いぞ?」


「あ、いえ!なんでもない!」


 慌てて笑顔を作る。


 でも、心臓が激しく鳴っていた。


『そうだ……あの舞踏会が、断罪イベントの日だったんだ!』


 どうして、今まで気づかなかったんだろう。


 いや、幸せすぎて、忘れていた。


『でも、大丈夫』


 深呼吸をする。


『私は、原作と違う。レオンも、みんなも味方だ』


「エリー、本当に大丈夫か?」


 アレクが心配そうに見つめる。


「うん、大丈夫よ」


「何かあったら、すぐに言えよ」


「ありがとう、お兄様」


 部屋に戻って、一人で考え込む。


 原作の断罪イベントでは――


 ヒロインのエマへの嫌がらせの罪を着せられる。


 証拠を捏造され、多くの貴族の前で断罪される。


 そして、婚約破棄と国外追放。


『でも、今の私は、エマと仲良しだ』


 嫌がらせなんて、するはずがない。


『なら、大丈夫……のはず』


 でも、不安は消えない。


 原作では、誰が断罪イベントを仕組んだのか、明確には描かれていなかった。


 ただ、マリア、セシル、ロザリーがエリアナの悪事を証言していた。


『でも、今のマリアたちは、私の味方だ』


 彼女たちが、私を陥れるはずがない。


『なら、誰が……?』


 その時、窓の外から声が聞こえた。


「エリアナ」


 驚いて窓を開けると、またレオンが木に登っていた。


「レオン!また!?」


「ああ。話がある」


 部屋に入ってくると、レオンは真剣な顔で言った。


「エリアナ、次の舞踏会だが――」


「うん……」


「何か、気になることはないか?」


 レオンが私の目を見つめる。


「お前、さっきから様子がおかしい」


『レオン……』


 彼には、隠せない。


「実は……」


 どこまで話すべきか、迷う。


 転生のことは言えない。


 でも、断罪イベントのことは――


「次の舞踏会で、何か悪いことが起こるかもしれない」


「悪いこと?」


「誰かが、私を陥れようとしているかもしれない」


 レオンの表情が、険しくなった。


「根拠は?」


「……予感」


 嘘ではない。


 原作知識も、ある意味「予感」だ。


「予感か……」


 レオンが腕を組む。


「お前の予感は、いつも当たる」


「え?」


「ヴィクターの事件の時も、お前は何か気づいていた」


 レオンが私の肩に手を置く。


「だから、信じる。お前の予感を」


「レオン……」


「で、どうする?」


「舞踏会は、出席しないといけない。でも、警戒は必要ね」


「ああ。俺も、リオンも、みんなで守る」


 レオンが力強く言う。


「何があっても、お前を守る」


「ありがとう」


 二人で抱き合う。


 この人がいれば、大丈夫。


 そう信じた。


 翌日、学院でダミアン教師に呼び出された。


「エリアナ、少し話がある」


 研究室に行くと、ダミアンが深刻な顔で待っていた。


「先生、どうしたんですか?」


「エリアナ、君は次の舞踏会に出席するね?」


「はい」


「気をつけたまえ」


 ダミアンが立ち上がる。


「あの舞踏会で、大きな事件が起こる」


「!?」


「どうして、それを!?」


「私は、未来が見えるわけではない。だが、魔力の流れを読むことはできる」


 ダミアンが窓の外を見る。


「今、王都に大量の悪意の魔力が集まっている。全て、あの舞踏会に向けて」


「悪意の魔力……?」


「ああ。誰かが、大規模な陰謀を企んでいる」


 ダミアンが振り返る。


「そして、その標的は――君だ」


 背筋が凍る。


「なぜ、私が……」


「君は、強すぎるからだ。全属性魔法の使い手。多くの仲間に囲まれた、完璧令嬢」


 ダミアンが近づいてくる。


「そんな君を、妬む者は多い。そして、恐れる者も」


「……」


「エリアナ、覚えておきなさい。この世界には、『シナリオの修正力』が働いている」


「シナリオの修正力……前にも言っていましたね」


「ああ。君は、運命を変えてきた。原作とは違う未来を作ってきた」


 ダミアンの目が、鋭くなる。


「でも、システムは君を元の軌道に戻そうとする。それが、次の舞踏会で起こる」


「それって……断罪イベント!?」


 思わず口に出してしまった。


 ダミアンが、驚いたように目を見開く。


「断罪イベント?君、まさか――」


「あ、いえ!今のは!」


 慌てて取り繕う。


 でも、ダミアンは――微笑んでいた。


「なるほど。やはり、君も『知っている』のだな」


「え?」


「この世界の『物語』を」


 ダミアンが私の前に来た。


「安心したまえ。私は、君の敵ではない」


「先生……あなたは、一体……」


「今は、まだ言えない。だが、一つだけ」


 ダミアンが真剣な目で言う。


「断罪イベントを完全に回避することは、難しい。でも、内容を変えることはできる」


「内容を……変える?」


「ああ。お前が断罪されるのではなく――」


 ダミアンが意味深に笑う。


「真の悪を、断罪すればいい」


「真の悪……?」


「黒幕だ。お前を陥れようとしている、真の黒幕を」


「黒幕って、誰なんですか!?」


「それは――」


 ダミアンが口を開きかけた時、ドアがノックされた。


「ダミアン先生、授業の時間です」


 別の教師の声。


「……また後で話そう」


 ダミアンが私に言う。


「気をつけたまえ、エリアナ。時間がない」


 そう言い残して、彼は部屋を出ていった。


 一人残された私は、混乱していた。


『ダミアン先生も、この世界が物語だと知っている?』


『真の黒幕って、誰?』


『そして、断罪イベントの内容を変えるって……?』


 頭がパンクしそうだった。


 その日の午後、仲間たちを集めて会議を開いた。


 私、レオン、エマ、リオン、マリア、セシル、ロザリー、ヴィクター、そしてアレク。


「みんな、集まってくれてありがとう」


 私が口を開く。


「実は、次の舞踏会で、何か大きな事件が起こるかもしれない」


 全員が、緊張した顔になる。


「何が起こるんですか?」


 エマが聞く。


「わからない。でも、私を陥れようとする陰謀があるみたい」


「誰が!?」


 マリアが怒りの声を上げる。


「まだわからない。でも、備えておかないと」


 私は、みんなを見回す。


「みんなの力を、貸してほしい」


「当然です!」


 ロザリーが立ち上がる。


「私たち、エリアナ様の味方です!」


「そうですわ!」


 セシルも頷く。


「俺も、姉様を守る」


 リオンが拳を握る。


「私も、償いの意味も込めて」


 ヴィクターが真剣な顔で言う。


「エリアナ様、作戦を教えてください」


「ありがとう、みんな」


 そして、私たちは作戦を練り始めた。


 舞踏会での配置、監視役、緊急時の対応。


 全てを綿密に計画する。


「でも、肝心の黒幕がわからないのが問題ね」


 私が言うと、アレクが答えた。


「なら、罠を張ろう」


「罠?」


「ああ。黒幕が動くように、仕向けるんだ」


 アレクが地図を広げる。


「舞踏会の会場で、エリーが一人になる時間を作る。そこに黒幕が現れるはずだ」


「でも、危険です!」


 エマが反対する。


「大丈夫。俺たちが、すぐ近くで待機する」


 レオンが言う。


「エリアナを、絶対に守る」


 こうして、作戦が決まった。


 舞踏会で、黒幕をおびき出す。


 そして、全ての真相を明らかにする。


「絶対に、成功させよう」


 全員で、拳を合わせた。


 断罪イベントまで、残り一ヶ月。


 最後の戦いが、近づいていた。

次回予告:

舞踏会の準備と並行して、黒幕の手がかりを探すエリアナたち。すると、意外な人物から情報が。そして、エリアナは自分の過去と向き合うことに――

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