表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完璧令嬢は今日も必死です  作者: 周音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/40

第10話 十三歳の決意

 私の十三歳の誕生日。


 ローゼン侯爵家では、盛大なパーティーが開かれることになった。


「エリー、綺麗だぞ」


 アレクが微笑む。


「ありがとう、お兄様」


 銀色のドレスに身を包んだ私。


 鏡に映る自分が、前世の私とは全く違う。


『……八年か』


 転生してから、八年。


 長いようで、短かった。


「お嬢様、お客様がお見えです」


 マルタの声に、パーティー会場へと向かう。


 会場には、多くの貴族が集まっていた。


「エリアナ様、お誕生日おめでとうございます」


 次々と祝福の言葉をかけられる。


 そして――


「エリアナ」


 レオンが、手に花束を持って立っていた。


「誕生日おめでとう」


「ありがとう、レオン」


 花束を受け取る。


 白い薔薇。


「綺麗ね」


「……君に似合うと思った」


 レオンが少し照れたように言う。


 可愛い。


「エリアナ様!お誕生日おめでとうございます!」


 エマが駆け寄ってくる。


「これ、私からのプレゼントです!」


 手作りの刺繍のハンカチだった。


「エマ、ありがとう!大切にするわ」


「姉様!俺からも!」


 リオンがぬいぐるみを差し出してくる。


「ありがとう、リオン」


 みんなの優しさが、嬉しい。


 でも――


 会場の隅で、マリアたちが冷たい目で見ていた。


 そして、イザベラも。


 さらに、ベアトリス夫人の姿も。


『……敵だらけだな』


 苦笑する。


 でも、味方もいる。


 それだけで、十分だ。


 パーティーが進み、ダンスの時間になった。


「エリアナ、踊ろう」


 レオンが手を差し出す。


「ええ」


 手を取り、フロアへ。


 音楽が流れ、ダンスが始まる。


「……エリアナ」


「何?」


「俺は、お前を守ると誓った」


「うん」


「でも、それだけじゃない」


 レオンが真剣な目で私を見る。


「俺は、お前が好きだ」


「……え?」


 心臓が、激しく鳴る。


「今まで言えなかった。でも、今日は言おうと決めていた」


 レオンの頬が、少し赤い。


「エリアナ。俺と、本当の意味で婚約者になってくれないか」


「……本当の意味で?」


「ああ。政略結婚としてではなく、愛する人として」


 レオンが優しく微笑む。


「返事は、急がない。でも、俺の気持ちは伝えたかった」


「レオン……」


 涙が溢れそうになった。


「……私も、好き」


「え?」


「レオンのこと、好き」


 顔が熱い。


 でも、言えて良かった。


「……そうか」


 レオンが、本当に嬉しそうに笑った。


 そして――


 私の額に、優しくキスをした。


「ありがとう、エリアナ」


「……ずるい」


「何が?」


「そんなこと、されたら……もっと好きになっちゃうじゃない」


「それは困ったな」


 レオンがくすっと笑う。


「俺も、もっと好きになってしまう」


 幸せな時間。


 でも――


 周囲の視線が、痛いほどに突き刺さる。


 特に、マリアとイザベラの視線は、殺意すら感じた。


 パーティーが終わり、客が帰り始めた頃。


「エリアナ様、少しよろしいですか?」


 マリアが近づいてきた。


「何かしら?」


「お誕生日、おめでとうございます」


 表面上は笑顔。


「ありがとう」


「ところで、レオン様との仲、随分と進展しましたわね」


「……それが?」


「羨ましいですわ。でも、気をつけてくださいね」


「……脅し?」


「脅しなんて、とんでもない。忠告ですわ」


 マリアが耳元で囁く。


「あまり調子に乗ると、痛い目に遭いますわよ」


 そう言って、去っていった。


『……やっぱり、何か企んでる』


 でも、もう怖くない。


 レオンが、私を守ってくれる。


 私も、レオンを守る。


 その夜、一人で庭園に出た。


 月が綺麗に輝いている。


「エリー」


 後ろから声がして、振り向くとアレクだった。


「お兄様」


「楽しかったか?誕生日」


「うん。すごく」


「そうか。良かった」


 アレクが私の隣に立つ。


「エリー、お前、本当に強くなったな」


「……そうかな?」


「ああ。昔は、もっと不安そうだった」


『……そりゃそうだ。転生したばかりで、必死だったから』


「でも、今は違う。自分の足で立っている」


 アレクが優しく微笑む。


「俺は、お前を誇りに思う」


「お兄様……」


「これからも、何かあったら頼れ。俺は、いつでもお前の味方だ」


「ありがとう」


 アレクに抱きしめられて、涙が溢れた。


「大丈夫。泣いてもいい」


「……うん」


 しばらく、そうしていた。


 翌朝、目が覚めると、枕元に手紙が置いてあった。


 差出人は――誰かわからない。


『何だろう?』


 開けると、そこには一行だけ。


『断罪の日は、近い』


 背筋が凍った。


『……誰?』


 マリア?イザベラ?それとも、別の誰か?


「お嬢様、朝食の準備が――」


 マルタが入ってきて、私の顔色に気づいた。


「お嬢様!?どうなさいましたか!?」


「だ、大丈夫……」


 手紙を隠す。


 マルタを心配させたくない。


『……落ち着いて。まだ時間はある』


 原作の断罪イベントは、十五歳の成人の舞踏会。


 あと二年。


『二年で、必ず回避してみせる』


 手紙を握りしめて、決意を新たにした。

次回予告:

謎の脅迫状を受け取ったエリアナ。一体誰が送ってきたのか?疑心暗鬼に陥る中、学院では大きなイベントが。それは、貴族たちの力関係を示す「魔法適性試験」。そしてそこで、エリアナの隠された才能が明らかになる――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ