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悪役令嬢リリアンヌ 百回転生記  作者: 南蛇井


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4/23

基準世界での紅茶会

中庭は静かで、噴水の水面がきらきらと光を反射している。

小鳥のさえずりが柔らかく響き、白いクロスをかけたテーブルの上には湯気の立つティーポットが置かれていた。


リリアンヌはその光景を淡々と見下ろし、心の中でつぶやく。

(また学園世界……やれやれ、百回目でも退屈な日常は変わらないわね。)

視線は紅茶会の四人の令嬢へと向かう。今日も、このお決まりの舞台が始まる。

シャルロットは背筋をぴんと伸ばし、本を片手に紅茶を傾けながら真顔で語り出した。

「やはり、この物語のヒロインにとって最も大切なのは――純真さですわ」

リリアンヌは扇子で口元を隠しながら内心で小さくため息をつく。

(また始まったわ……この分析癖、百回見ても飽きないものね)



一方、ベアトリスはティーカップをいじり、イザベラはドレスの裾を直し、マルグリットは鳥にビスケットを分けていて、誰一人まともに聞いていない。

リリアンヌの冷めた視線が、今日も“お決まりの光景”を静かに見守る。


ベアトリスは元気いっぱいに砂糖を入れすぎ、スプーンがカップの中で沈む。

「うわっ、スプーンが……!」

慌てた拍子にティーポットが傾き、紅茶がテーブルに流れそうになる。

しかしリリアンヌは一瞬でハンカチを差し出す。

「ほら、次は右手で持ちなさいな」

ベアトリスは驚いた顔でカップを押さえながら目を丸くする。

「あれっ!? すごい反射神経!」

リリアンヌは扇子で口元を隠し、心の中で淡々とつぶやく。

(百回目の練習成果よ……これもルーチンのひとつ)

周囲は何事もなかったかのように紅茶会が続く――いつもの学園世界の、定番の騒動。


イザベラは眉をひそめ、ドレスの裾を押さえながらため息をつく。

「紅茶会で卓がびしょ濡れなんて……もう、本当に油断も隙もないわね」

マルグリットは鳥をそっと手に乗せ、楽しそうに笑う。

「わぁ、この子、手乗りしてくれるの……!」

紅茶会の騒動など、まるで耳に入っていない様子。

一方、シャルロットはページを閉じることなく真顔で語り続ける。

「ヒロインの存在意義を考えれば、この事故も物語構造上、必然と言えるわ」

リリアンヌは扇子で口元を隠し、視線だけで四人の様子を観察する。

(本当に……この面子、百回見ても飽きないわね)


リリアンヌはハンカチをそっとテーブルに戻し、扇子で口元を隠して小さく笑う。

(フラグ回避? こんなの朝のストレッチみたいなものよ。百回目ともなれば、危機も余裕で楽しめるわね)

目の端で紅茶会メンバーを確認しつつ、今日もまた平穏(?)な日常が始まることを予感する。


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