8話「この保育士、只者じゃない!?リリカ先生再来!」
8話「この保育士、只者じゃない!? リリカ先生再来!」
コノハ達は、特待生という名目で、寮兼研究施設(魔王城)を渡された。
ーコノハ視点ー
ここ(魔王城)に来る途中までは良かった……
「新しい科学拠点になるんだ!名前とかきめておかない?」
ユイがそんな事を言ってでた案は
・新王都科学研究所
・近未来研究施設
・ゆるゆる研究室
・科学拠点α
そして決まったのが
「科学拠点α」
そして、現在に至る……
「ここをどうやって使えと……」
コノハは目の前の光景に驚きを隠せなかった。
目の前の魔王城は、もう既にボロボロであり、今にも崩れそうな勢いがあった。
「コノハ、言いたいことは分かるが、とりあえず掃除しよう……」
ユイの言葉に静かに頷くコノハ。こんな状況にもかかわらず、リリカは「用事があるから」とどこかに行ってしまった。
「ひとまず寝泊まりできるとこでも探そう……」
サリーの一言で、コノハ達は魔王城の散策を開始した。
科学拠点α・地下フロア、第3実験坑。
「これは……まさか……銅鉱石だな」
コノハはピッケルを片手に、眼鏡もどき(虫眼鏡を改造したもの)で鉱石を凝視していた。
「こっちは……亜鉛。いや、まさかこっちも……錫? なんだここ、鉱山国家の首都かよ!」
「どんだけ都合よく資源あるんだよ……」ユイもツッコむが、ツッコミきれないほどの鉱石ラッシュである。
「いいのよ、これは“異世界テンプレ”だから」サリーは拾った鉱石を磨きながら、メタい納得をしている。
「カッコイイ……」ハルナはキラキラした鉱石を眺めてうっとりしていた。
──それにしても、この“魔王城”の地下には、あまりにも都合がよすぎる量の資源が眠っていた。
銅、亜鉛、錫、鉄、石炭、謎のエネルギー鉱石(後にマグネタイトだと判明)まで。
完全に、異世界版・産業革命フラグである。
「これだけあれば、もう発電から精錬、通信装置まで全部できるな……!」
「むしろできない理由がないな……」
「これ、いずれ魔法王国を科学帝国に塗り替えちゃうやつじゃね?」
「やっちゃう?」ニヤリと笑う幼女たち。
──そんな彼女たちの実験中。
どこからか、パンの香ばしい匂いと、カチャリとドアが開く音が響いた。
「ごはーん持ってきたよ~! 今日はクロワッサンと野菜スープだよ~!」
その声に、コノハ・ユイ・サリーの三人はピクリと反応する。
凍ったように動きが止まり、視線を天井へ向ける。
「……うそ……まさか……」
「ま、まさか……リリカ先生……?」
「やだ…ま…まさか……」
その声と気配──彼女たちの青春という名の地獄を見守り(監視し)、数々の爆発・暴走・大惨事の後始末をした“伝説の保健室の主”にして、“科学部顧問”、そして“絶対王者”。
──リリカ。通称リリ姐(リリカ先生)である。
「科学って言ってた気がしてさ~。まさかと思って来てみたら、ほんとにいたのね? あの時のガキども♡」
その笑顔は柔らかい。声も穏やか。だが、圧が違った。
存在感が異常だった。まるで生徒指導室と教壇が融合したような威圧感。
「ひっ……!」
コノハが思わず一歩下がる。
「いやでも、臨時終わったんだろ!? さすがに忘れて──」
とユイが言うや否や、
「はいそこ、物理部の春斗くん? あなた昔から言い訳だけは立派だったよね?」
「うわああああああああ!?!?」
ユイは顔を手で隠した……鬼かよ……
「川上さん、ちゃんとゴーグルつけないとまた目やるわよ?」
「ごめんなさいリリ姐ぇぇぇえ!!」
怯え震える三人に、リリカはパンを差し出しながら優しく笑う。
「まぁまぁ、そんなにビビらなくても……大丈夫よ? こっちだって最初は驚いたんだから」
「この前保育士として気たのに!?(3人)」
その横で、状況が全く理解できていないハルナが、首をかしげながらつぶやく。
「このおねーさんだれぇ?」
「……あ、そうか。ハルナは知らないんだよな……」
コノハが震えながらハルナの肩を抱き寄せる。
「この人は……人間の皮を被った鬼だ……!」
「えっ!? 怖い人なの!?」
一方のリリカは、そんな怯える幼女たちを見て楽しそうに微笑んでいる。
「さて。科学だか魔法だか知らないけど……」
「さっきね、リリカ先生、今回から魔導院からせ・い・し・き・に・保育士兼教員ってことできまったのよ、またよろしくね♪」
「うわあああああああああああああああ!!!!」
科学幼女たちに、新たなる試練(?)が訪れた。
それはかつての“顧問”との、60年ぶりの再会(ほんの数日前にあったけど……)