表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/36

33話「その名も“まおほいけん”計画始動!王都復興、ちょっと休憩」

33話「その名も“まおほいけん”計画始動!王都復興、ちょっと休憩」


事件の翌日。

王都・臨時政庁──通称・仮政府タワーにて。


「誘拐事件の余波は予想以上です。報道規制はしているものの、各地から不安の声が……。よって──」


高官たちに囲まれた円卓会議室の最奥。

金色の刺繍入りローブを纏った一人の老貴族が、荘厳な口調で言い放つ。


「王都復興作業は、すべて一時中断とします。期間は最長で一週間」


リリカは、思わず椅子ごとひっくり返りそうになった。


「えぇ!? せっかくインフラ班が調査開始したばっかりだったのに!」


「民の安全と不安解消が第一だ。騎士団の再編や遺児対応も急務。復興はその後だ」


「……くっ」


悔しげに歯噛みするリリカ。隣ではサクラが「あ、じゃあその間にちょっと休み……」と呟くが、瞬時に科学幼女たちの目がギラリと光った。


「ふふ……そうか、一週間あるのね?」


「ええ、そうかそうか、逆にチャンスってことじゃない?」


「どうせやることないなら、魔王城を我ら科学部の――」


「保育園兼研究所兼寮にしてやろうぜ!!!」


その瞬間、全員がピタリと一致した。



魔王、絶句す


数時間後──魔王城・謁見の間。


「お前ら……本気か?」


魔王ルークは、あまりのテンションの高さに押され気味だった。


「この一週間で! 魔王城をまるごと近代化する!」


「保育園としての法的基準? 知らん! そもそもこの国、保育制度ないでしょ!」


「この際、居住機能も追加だ! グレイとサクラ先生も住もう!」


「ちょ、え、私まだ正式採用じゃ──」


「黙って住んで! もう住んで!」


「魔王城を……保育園に……?」


魔王は天を仰いだ。


「しかも、改装後の名称は──」


「まおほいけん(魔王保育研究拠点)」


「どうしてそんなダサい略称に!? 魔王って字、残す必要ある!?」



改装計画、スタート!


早速、科学幼女たちは持ち前の技術と転生知識を動員し、魔王城の改装を開始した。

•第一期工事:保育園フロア整備

•謁見の間はお昼寝ルームへ転用。絨毯を敷き詰め、天井にプラネタリウム機能を設置。

•元・牢獄は絵本ライブラリと音楽遊び室に転用(元が牢獄とは思えぬ癒し空間へ)。

•第二期工事:研究室ゾーン構築

•地下階は各科学者専用のラボへと変貌。爆発対策魔法陣も施されており、爆発してもOK。

•グレイの研究室は「筋肉進化論再検証室」と名付けられ、早速コノハと論争勃発。

•第三期工事:居住スペース整備

•東塔には幼女専用ドミトリー、名前は「ちび☆キャッスル」。

•サクラ先生用にはバリア付きの静音居室「しずかなる部屋」が与えられた(寝不足対策)。

•魔王には誰も触れない「魔王専用トイレ」が残された。


「うおおおおお! トイレだけ原状維持ぃぃぃ!!」


魔王、号泣。



保育園、運営方針を決めよう!


一通り改装が終わった後、リリカが宣言する。


「これより“まおほいけん”の運営会議を始める!」


「園の方針は? 教育方針は? 食事は? お昼寝時間は?」


「いや、それより保護者いないのに誰を保育すんの!?」


という根本的なツッコミは無視され、議論が白熱。


「科学と魔法のハイブリッド教育だよ! 魔法で野菜を育てて、科学で料理する!」


「トイレの水は自動洗浄魔法+節水リサイクルシステムにしてるから清潔!」


「ちゃんとお昼寝時間に“無重力魔法”使ってリラックスできるようにしたし!」


「それ保育っていうより宇宙ステーション……!」



そして──


その夜。まだ仮運営とはいえ、魔王城の空気はがらりと変わっていた。


「おれの……おれの城が……保育園に……なった……」


「魔王保育所って名前、結構評判いいらしいよ?」


「うるさいわ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ