2話 幼女科学者、再開の衝撃
2話 幼女科学者、再会の衝撃
森の小道を歩く5歳美少女、コノハ。
手には先ほど鍛冶屋からもらった銅板と亜鉛の破片、そしてレモンを大事そうに抱えている。
「ふぅ……これで実験に必要な材料は揃ったかな?」
まだ夕方だが、陽は傾き始め、森の木々はオレンジ色に染まっていた。
その時、突然前方から声がかかった。
「ねえ、何してるの?」
振り返ると、そこには同じく5歳くらいの幼女が立っている。
金色のツインテールとは違い、長くて黒い髪を揺らし、涼やかな瞳でコノハをじっと見つめている。
「……あ、ユイちゃん?」
コノハは驚いたように声を上げた。
「え?」
幼女は不思議そうに首をかしげた。
「あなた、何してるの?」
「なんでもないよ」
コノハはレモンと金属片を抱えなおし、ちょっとそっけなく答えた。
なにか懐かしい感じがするのは何故だろう……
「まさか……黒谷……か?」
幼女はじっとコノハの顔を見つめ、声を少し震わせた。
「え、まさか水谷……?」
コノハは目を丸くした。
二人の顔は驚いたままだったが、次の瞬間――
バシッ!
ユイ(幼女の姿の水谷春斗)がコノハの胸ぐらを掴んだ。
「心配したんだぞ! 俺だけ転生とかふざけんなってな!!」
ユイの表情は笑っているのに、目は鋭く、まさに怒りのラリアットが炸裂しそうな迫力だった。
「だ、だって、転生はコントロールできねえし……」
コノハは慌てて言い訳しながらも、内心は嬉しかった。
「おまえ、まさか幼女でここにいるなんて……」
「そうだ。理論家はお前の助手だ。転生先でお前と会うとは思わなかった!」
「お互い幼女だけど、中身はジジイだからな……」
二人は顔を見合わせて、わずかに苦笑した。
「……苗字ないんだよな、この世界」
「そうだな。平民は苗字を持たないらしい」
「じゃあ、コノハとユイでいいか」
「うむ。これからは幼女科学者コンビとしてやっていこうぜ」
夕暮れの森の小道で、そう誓い合った二人の幼女。
これから科学の力でこの世界を変えていく、幼女天才科学者コンビの幕開けだった――