ゆいこのトライアングルレッスンU〜野球部たくみと弓道部ひろしの恋の行方〜
トライアングルレッスンウィーク!
毎日、投稿中。
「ゆいこ、今日も試合見に来てくれてありがとな」
「たくみ、すっごくカッコ良かったよ!」
「まっ、俺はずっとカッコイイからなぁ〜」
「3年生が引退して、いよいよ今度は、たくみ達の番だね」
「ああ、ここから勝ち進んでやるよ。どこまでも!」
「ゆいこを甲子園に連れてってーー!」
わたしは、雲ひとつない空に叫んだ。
「必ず、連れてくよ」
そう言うと、たくみは静かに、わたしを抱きしめた。
「ゆいこ、来年、甲子園に行ったら…伝えたいことがある…」
「へっ…!?」
「それまで、待っててくれるか?」
「うっ…うん…」
ドキドキしすぎて、わたしはそう答えるのがやっとだった。
待っててってことは、つまり!?
わたし達、どうなっちゃうのぉ!?
聞きたくても聞けなくて、わたしは想いを飲み込んだ。
ひろしとたくみは、野球少年だった。
2人がバッテリーを組んで、わたしがマネージャーで…みたいな妄想を何度もしていた。
高校に入り、わたしはてっきり2人とも、野球部に入るものだと思っていた。
でも、どういうわけか、ひろしは精神力を鍛えたいと弓道部に入った…。
ひろしは、たくみと一緒には野球をしたくなかったのだろうか?
わたしは、そんなひろしのことが心配だった。
× × ×
その日、わたしは弓道の練習をするひろしのもとを訪れた。
的を見つめ、構えるひろしの姿はたくましい。
「たくみね、この前の試合勝ったんだよ」
「ああ、そうか…」
「来年は、きっと甲子園に…」
「ゆいこは、いつも俺にたくみの話をするよな」
「へっ…? ひろしは、やっぱり野球がイヤになっちゃったの?」
「別に…。イヤになったのは、アイツが俺に投げる球だ」
「え?」
「まるで、俺のものだって主張するようで…」
「どういう…こと?」
「そうだ、ゆいこも弓道やってみるか?」
「えっ、わたし!? できるかな…?」
ひろしに言われるがまま、わたしも弓道を体験してみる。
「こう、かな…?」
「うん。それで、手がもう少しこうで…ここを見て」
ひろしは、背後から、わたしの構えを直す。
まるで、後ろから抱きしめられてるかのようで、全然集中できない!
ひろしに、この鼓動が伝わっているのではないかと思った。
「ねえ、ひろしは、いつも的の中心を狙う時、何を考えてるの?」
「ゆいこのこと…かな?」
「へぇっ…!?」
「ゆいこの心を撃ち抜くイメージ」
「ええっ!?」
待って、待って!
ちょっと今、サラッととんでもないこと言ってない!?
「ひろし…!?」
ひろしに支えられたまま、放たれた矢が的の真ん中に刺さった。
心を射抜かれた気がした…。
わたしは、たくみを…待っているはずなのに…。
明日は、CAゆいこです!
個人的に一番好きなストーリーです。