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第二十二話  遥香の恋 ③ 

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 俺、こと安田大毅が勤める放射線科まで、耳鼻科の重岡医師は、真面目を絵に描いたみたいな見た目をしているけどエグい奴っていう話は流れて来ているし、騙される奴が一定数常に存在するってことは有名な話だったりするんだけど、7階脳外科病棟にまでは広まっていなかったのかな。


 一緒に食事をしていた女が宮脇の同期らしいんだけど、うまいこと言われて弄ばれたのは間違いのない事実だろう。


「安田!今日は職員食堂で脳外科のレディたちと食事してただろー〜?」


 先輩放射線技師である田野倉さんは、昼休憩から帰ってきた俺を捕まえてニヤニヤ笑いながら問いかけてくる。


「脳外科はホットスポットだからな!また面白話とかゲット出来たのか?」

「いやー〜、この前、ICUの古谷先生に水死の死霊が取り憑いているって話はしたじゃないですかあ?」


 俺はわざと田野倉さんに、

「意外に知らないところで、自分が関係した女が死んでいるー〜、なんて事があるもんなんですねー〜―」

 と言いながら、田野倉さんの後ろの方を眺め続けると、ニヤニヤ笑いをしていた田野倉さんはサッと顔を青ざめさせた。


「実は、7階で霊感強いっていう看護師さんが、田野倉さんをこの前たまたま見たらしいんですけどぉ・・・」


「なになになになに?俺なの?俺?怖い!怖い!怖い!怖い!」

「やっぱり先輩、聞かない方がいいと思いますよ」

「へっ?なに?」


「今は、結婚できない女性も、結婚できない男性も増えて増えて仕方がない世の中なんですよ。そんな中で、無事にかわいい嫁さんをゲットして、かわいいお子さんまで生まれた先輩に・・・余計なことは言わない方がいいと思うんで」

「へっ・・・・」


 俺が先輩の顔を見つめると、先輩の顔は青から白へと変わっていき、仕切りに後ろを何度も振り返っている。


 小児科に勤める自分よりかなり年下の嫁をゲットして、可愛い子供も生まれたというのに、ホラー好きの女の他に、更にもう一人、尽くし系の女に手を出そうとしている先輩に釘を刺す。


 先輩に遊ぶ女が増えると、先輩の仕事が俺へと振り分けられる率が高くなる。

 せっかく結婚して子供も居るんだから、職場でくらいは大人しくしていて欲しいと思うのは仕方がない事だろうよ。ああ、病院内のモラルってどうなっているんだろうなぁ。


 放射線科の田野倉は、妻子持ちのくせに、ホラー話が大好きな恋人に面白話をするために、大毅にホラーな話を集めさせていたわけですね。そういう奴に限って、そんなお前の周りに(生き霊が)憑いているぞ!!というのがあるあるらしいんですけども、視える人には視えるらしいですよね。すごいなーと思いますとも。


モチベーションの維持にも繋がります。

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