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第二話  ナースコール  ①

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

「ねえ、ナースコール鳴っているから行ってきてくれない?」

「はい!行ってきます!」


 2交代制とか3交代制とかあるらしいんだけど、うちの病院は3交代制というやつを取り入れていて、日勤、準夜勤、深夜勤というものがあって、今日は深夜勤務だから夜中の十二時から朝の九時まで働く事になっています。


 うちの病棟は40床あるので、夜勤は看護師二人が働くことになり、一人20床をみる形になるわけです。


 今は深夜の2時35分、急変がなければ1時間ずつ仮眠を取れたりするんですけど、観察室(重症の患者さんが入る、ナースステーションの隣にある部屋)にいる患者さんの容態が急変したため、二人とも仮眠に入れていない状態です。


 まあ、私は一年目の新人なので、先輩が仮眠して良いと言えば仮眠するし、仮眠するなと言えば出来ないし。この仕事を始めてからは夜中は寝ないでも生きていける体になりました。


 病棟はもちろん消灯されているので、真っ直ぐ伸びる廊下は夜の闇の中に沈んでいます。足元を照らすライトなんて洒落たものは廊下にないため、ペンライト片手に進んでいくわけです。


 ナースコールはナースステーションでコール音を止められますし、部屋の前にあるボタンを押してもコール音を止めることが出来ます。


 夜中ですし、ナースステーションでコール音を止めてきた私は、患者さんが呼んでいるはずの部屋へと入りました。四人部屋なんですが、退院2名、オペ後にICUへ移動の患者さんが1名いたため、痩せたおばあちゃん一人が寝ているわけで・・


「・・・・ぐっすり眠っているなあ」


 カーテンで囲われたベッドの方へペンライトの明かりを向けると、ぐっすり眠っているおばあちゃんの姿が目に入る。 

 ナースコールボタンは枕元にあるけれど、おばあちゃんが押したようには見えなかった。


 呼ばれていないならそれでいい。

 私はナースステーションに戻って、明日の朝につなげる予定の点滴の準備を始めていると、再びナースコールが響き渡った。


 病床にいる患者さんが看護師さんを呼んでいるという事で、すぐに気がつくように、ナースコールって響き渡るようなメロディになっているような気がします。


 すぐに停止ボタンを押して、ナースコールが押された部屋を確認します。

 また、706号室の女性四人部屋、おばあちゃん一人しかいない部屋。

「いや、待てよ・・・」

 ナースコールが押されたベッドは、おばあちゃんのベッドではなかったようです。 


 再び赤いライトが点滅して、軽やかで煩いベートーベンの『エリーゼのために』が鳴り響く。即座に停止ボタンを押したけれど、おばあちゃんの真向かいのベッド、つまり空きベッドのナースコールが押されたわけで・・


 急いで706号室へと移動した私は、カーテンで囲われたおばあちゃんのベッドではなく、いつでも患者さんが入れるようにスタンバイ済みのベッドの方へと移動しました。

 ナースコールのボタンへと繋がるコードは壁から伸びているし、コールボタンはベッドの上、枕元に置かれています。

「抜こう」

 故障かもしれないので、私はナースコールのコードを壁の接続から外す事にしました。


 そうしてナースステーションへと戻ると、再びナースコールが鳴り出した。


「ちょっと、見に行ったんじゃなかったの?患者さんが具合でも悪くなっていた?」

 先輩看護師さんが怒りで顔をどす黒くしながら私を睨みつけてきたんですけど、

「いや、そうじゃないんですよ!」

 この病院に入ってからというもの、ほぼほぼ、先輩看護師さんの9割が私にヘイトの感情を抱いているんだけど、私の所為で何度も、何度もナースコールが鳴ったわけではない。どうしてこれでお怒りになるのだろうか?理不尽。


「いや、なんかおかしいんですよ!」


 おばあちゃんの前のベッドは空きベッドなのに、頻回に鳴らされるナースコール。

 壊れたと思って、ナースコールのコードを壁から外して来たのに、再び鳴り響くエリーゼの願い。


「え?」

 怒り心頭だった先輩は、説明を聞いた後に、慌てた様子で706号室に移動すると、

「え?」

 と言いながら、壁から外されて床頭台の上に乗せられたナースコールを手にして眺め、

「え?え?え?」

 と、言いながらナースステーションに戻ると、椅子に座りながら、

「え?え?え?」

 と続けている。


「えっ・・・・とぉ・・・・・」

 とりあえず〜、

「706号室のナースコール、壊れたかもしれないので業者さんに連絡した方がいいんですよね?業者さんに連絡って、私たちがするものなんですか?」

 新人の私には、ナースコールが壊れたときの対応とか、はっきり言ってよくわからない。


「えええ?」


 先輩は私の顔を見上げると、ぶるぶるっと顔を横に振って、

「今日はもういいわ、明日考えましょう!」

と、気を取り直すように言い出した。


 今はもう深夜二時・・・四十五分なので、明日って事は、今日の日勤で申し送りするんじゃなくて、その次の日勤でという事になるのだろうか。

「もし本当に壊れているのなら、私から師長さんに言うから」

「そうですか、ありがとうございます」


 次の次の日勤となると私は休みなので、対応してくれるのなら有り難いです〜。



 夜中のナースコール、これは実話です。オチは次話で明らかとなるので、次に進んでお読みいただければ幸いです!モチベーションの維持にも繋がります。


もし宜しければ

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