3.モモズキ旅立ち
「モモズキ。本当に行くのか?」
「うん。魔王を倒さないといけないから」
身体が大きく育ち、15歳になったモモズキは父親と別れ旅に出る決心をしました。
「そうか。わかった、お前も男だ。考え直せって言っても聞かんだろ」
男はそういうと、納屋から一本の剣を持ってきました。
「モモズキ。これは俺が使ってた剣だ。手入れは欠かさずしてたから問題ない。持ってけ」
「いいの?多分、壊れるよ?」
モモズキが心配する理由は彼の今までの所業にある。
石を握れば粉砕。木を掴めば折れる。
彼は怪力故に、殆どの物を壊してしまうのです。
「大丈夫だ。物とはいつか壊れるようになってる。だから、遠慮して使わないって思うな。こいつが、お前を守るために壊れるなら惜しくない」
「父上……。わかりました!必ず、この剣で魔王討伐してみせます!」
「無理するなよ」
父と別れ、モモズキは町に向けて歩き始めました。
男は将来、町に移り住む予定でしたが未だに山奥に住んでいました。
つまり、モモズキは力の制御が出来なかったのです。
そんな状態で敵と出くわすと、結果は予想出来るでしょう。
「ムムッ!現れたな、魔物よ!父より受け継ぎしこの剣にて貴様を葬ってくれるわ!せいやっ!」
モモズキが魔物に向けて剣を振り下ろすと、魔物は無惨にも真っ二つになり、剣も真っ二つになりました。
「あぁ~~~!?父上~……。父上の剣が!……おのれ、魔王!貴様だけは許さん!」
逆恨みもいいところでした。
そんなこんなで、町まで無事に到着。
道中の魔物は蹴って殴って放ってという感じに潰して退治しました。
「ここが町か。人が多い………」
父以外の人をこんなに多く見たモモズキは入り口で立ち止まってしまいました。
従来が激しい門で立ち止まると良くない事が起こりやすく、モモズキも例外ではありませんでした。
「ちょっと君~。困るよ」
「えっ、はい?」
「君~、どこ出身?身分証明出来るものある?それか、何処から来たか言える?」
「あ、えっと。物…ないです。あと、あそこから来まし…た」
ちょっとコミュ障なモモズキでした。
少しの取り調べで解放されたモモズキは魔物退治の仕事を斡旋している場所を聞き、向かいました。
「ここがぎるど。魔物退治の仕事斡旋所………。よし!たのもー!」
コミュ力が身に付いていないモモズキは他の人とはかなりズレていました。
このような荒事を生業とする輩が跋扈する所で、注目を集める事をすれば絡まれるのは必須。
「おうおう!てめぇ、なんだぁ?ここはお前のようなちっちぇのが来るとこじゃねぇぞ!」
2メートル超えの大男がモモズキに手を伸ばし、建物から叩き出そうとしました。
モモズキはその事に気付かず……。
「おぉ!握手か!よろしく頼む!」
バキィッ!
男の手を掴むと、骨をバキバキに折る音が鳴る。
あまりの痛さに、男はその場で失神。
「ややっ!すまぬすまぬ。力加減がわからず、握り潰してしまった。《ヒール》!……よし!治ったな」
モモズキは幼い頃から父親にスキルを教えてもらい、既に幾つかのレアスキルを覚えていました。
レアスキル:ヒール
対象の損傷部を修復。
ただし、損失部や経過し過ぎた損傷は治せない。
「ヒール…だと?」
「僧侶、には見えないな」
「いや、それよかあの怪力だろ。掴まれたら、終わるぞ」
ざわつく館内をモモズキは奥へと進む。
窓口にて話をするためだ。
「私はモモズキという。今年、15歳になって成人となった。ここは魔物退治の仕事をくれる場所と聞いて来たのだが、間違いないだろうか?」
「え…えぇ。ここでは、魔物討伐の依頼をギルド登録者に斡旋しています。貴方は…登録したいということでよろしいのでしょうか?」
「うむっ!ぶっころしまくるので、仕事を頂きたい!」
モモズキの冒険はここから始まるのだ。
あ、大男はこのギルド一の実力者でお花が大好きな善人です。




