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第31話

大通りを進む間、リタはまだ自分を責めているようで、ひどく青ざめていた。

家族思いな子だ。

家族に迷惑をかけることに人一倍引け目を感じてしまうのだろう。


「リタ、俺達は悪くない。被害者なんだ」

「……でも、標的になる側にも問題はあるはずだ。

 以前、わたしはアズマやゾフィの助けがなければ攫われていただろう。

 自分は戦いもせず、後ろで震えていた」


俺達は門に続く大通りを走っていた。

大通りは、広い街道にもかかわらず変わらず人気が無かった。


「しょうがないだろ。敵は三人も居たんだ。大の騎士でも大変だ」

「そんな事はない。あの程度のゴロツキ、騎士見習いなら相手にできて当然だ。

 なのにわたしにはできなかった。

 だから、わたしは狙いやすいと思われてしまったんだ」

「……」


この世の剣士は一般人に比べて化け物級に強いことが多い。

その理由は魔力を無意識下に使えたり、そもそも体の組成が違ったりと様々だ。

彼らに比べて、リタは才能努力共に劣っている。

最下層レベルで弱いのも当然だし、しょうがないところもある。


「それに、自分でいうのも何だが、わたしは高く売れそうだしな。しつこく狙われて当然かもしれない」


貴族の騎士なのに弱く、美しい。

人攫い業界の標的の価値は分からないが、そんな人間と分かったら、人攫いも継続して狙うものなのかもな。


「なるほどな。でも、妹を人質にしてまで攫いたい程なのか?」

「分からない」


人攫いは突然現れ、跡形も無く人を攫う。

証拠は一切残さず最短の時間で行動する。

だが、今回の行動はあまりに時間がかかり過ぎる。

兵力を集められてしまうかもしれないし、証拠も残る。

ただリタがカモっぽいからここまでしたとは思いづらい。

それに、前回はゾフィの助けもありかなり痛手を負わせたはずだ。

俺のような魔導士がいきなり現れたのも脅威だろう。

ますます疑問が残る。


いや、手掛かりが無いのに考えても仕方がない。

約束の時間までもう時間も少ない。

まずは行動しなければ。

敵を見つけ、妹を奪還する。

前回はリタが詠唱を失敗したが、今回は大丈夫だ。

ゴロツキ程度ボコせる。殺せる。

俺達は被害者だ。

被害者は何をしても正当防衛だ。


先を急ぐ。


門を出て、街道を歩き始めてから30分が経った。

日は沈み、すでに空には無数の星々が煌めいている。

美しい光景だが、楽しむ余裕はない。

あたりは森になっており、木々に囲まれている。

一本道の街道はいつ襲われてもおかしくない。


「リタ、注意しろよ。

 人質交換っぽい文章だったが、お前を釣って妹共々攫うつもりなのかもしれない」

「分かっている」


寧ろ、その可能性の方が高い。

俺が人攫いならそうする。

人質交換は敵と矛を交えたくないからこそ行うものだ。

リタ本人は弱いと分かっている。

護衛の俺も魔導士だとバレている。

近接戦は苦手だろうと予想するはずだ。

つまり俺とリタを脅威だとは感じていないはずだから、わざわざ人質を返す理由はないだろう。

だから、いきなり飛び掛かってくる可能性も高い。

警戒しなければ。


「……む?」


周囲に目を光らせていると、リタが前方の異変に気付いたようだった。

俺も前を見る。

ひとりの男が立っていた。



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