プロローグ
神話:愚かな邪神
昔々、あるところに悪い神様がいました。
悪い神様は邪神様と呼ばれていました。
邪神様は悪の技術である魔術を使えました。
その力を使って、人間たちを滅ぼし、自分たちと魔族だけの世界を作ろうとしていました。
邪神様には偉い一人の邪神様と、その配下に七人の邪神様がいました。
八人は人を殺し、物を壊し、悪い生き物のための世界を作ろうとしていました。
偉い邪神様には悩みがありました。
配下の内愚かな一人が、どうにも言うことを聞かないのです。
グハハハハ、オレ様を押さえつけようとは、百年はやいわ
彼は命令を聞かず何でもかんでもやりたい放題。
偉い邪神様は何とか力で言うことを聞かせようとします。
しかし困ったことに、愚かな配下は7人の中で最も強いのです。
偉い邪神様でも、彼をやっつけるのには骨が折れました。
なので、偉い邪神様は彼に対し、
ある程度は放って置いてやろう。だが、本当に悪いことをした時、お前を追放する
と言います。
愚かな配下はとってもわがままではありましたが、仲間が大好きでした。
配下は、その日から静かになりました。
偉い邪神様は安心しました。
それに目をつけたのは、人間たちでした。
彼らは、自分たちを滅ぼそうとする邪神様を何とか倒そうと考えていましたが、心の綺麗な種族なので、悪の技術である魔術が使えません。
邪神様の使う魔術は強力で、手も足も出ず、負けてばかり。
全員で戦っても一番弱い邪神様を一人を殺すので限界だと思っていました。
そこで一人の英雄が思いつきます。
その邪神一人をこっそり殺し、愚かな配下が裏切ったことにすればいい、と。
人間たちは魔導士に従い、すぐに行動しました。
配下の内、一番弱かった邪神様を殺し、愚かな配下が仲間を殺したと触れ回ります。
人間を信じ、怒った他の配下は愚かな配下を殺そうとします。
しかし、愚かな配下は濡れ衣です。
必死に無実を訴えますが、誰も聞く耳を持ってくれません。
愚かな配下ならば、仲間を殺してもおかしくはない。
彼が殺したと決めつけてしまったのです。
愚かな配下は強かったので、殺しに来る配下を一人、また一人と殺します。
そして気が付いた時には、偉い邪神様と愚かな配下だけになってしまったのです。
偉い邪神様は、彼は仲間を殺していない事に気づきます。
人間の策略だったことに、偉い邪神様は怒り、復讐を誓います。
しかし、その頃の人間はかつての数を取り戻していました。
もはや二人だけの邪神様では人間に勝てません。
泣く泣く偉い邪神様は、
仲間を殺してしまった愚かな配下を世界から追放し、
自分は最後まで戦いました。
そして人間の手によって深手を負い、最後には彼もまた、世界から追放されてしまいました。
こうして英雄のおかげで邪神はいなくなり、魔術を使う者は居なくなりました。
人間たちは、魔法の無い安全な世界を作り、平和に暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。