妹よ
ミランダはまだ、9歳だというのに、なんたる女子力。
既にジャンにあざとくもじゃれついている。
自分が子供だということを存分に自覚し理解した上で、相手の懐に飛び込む技、見事なり。
ミランダ、恐ろしい子。
いやいや、これは真似すべき素晴らしい技では?
まだ、13歳いけるかもしれない。
しかし、前世喪女たる私は、あそこまではっちゃけられなかった。
しかし、ミランダのおかげで、楽しいティータイムを過ごせたのだった。
コンコン。
軍の関係者が、入ってきた。
大きな箱を抱えている。
もしや…。
「ご令嬢達と歓談中すまないね。劇が好評だったから、ポートレートを撮影させてくれないかな。」
なぬ?推しの姿を後世に残せるチャンス到来?
「素晴らしいですわ。私もパーシヴァル様のポートレート欲しいですわ。撮影見学してもよろしいですか?」
えぇ、推しの生写真欲しい。しかも、素敵な衣装でなんて。
後ろではミランダがジャン様に撮影をおねだりしていた。ミランダよ、グッジョブ!
君のあざとさって味方にすると、めっちゃ心強いな。
撮影は夢のように美しかった。座ったパーシヴァル様を後ろに立ってバックハグするジャン。神話の世界から抜け出た神々のように気高く美しいのに、なんだかいけないものを見ているみたいに艷めいて見えた。
こんなけしからん体勢を指示するなど、このカメラマンなかなかやるな。
乙女心をよく理解しておるではないか。
ぬぬ。ミランダがカメラマンに何かおねだりを始めた。
「ジャン様お一人のポートレートを撮影して欲しいの。」
なんと?ミランダよ。素晴らしいではないか。そなたの我が儘は無尽蔵だな。それでは私も、便乗することにしよう。
「パーシヴァル様お一人のも撮影して欲しいですわ。」
私の推し活はミランダという素晴らしきサポーターを得たことにより、より一層加速したのだった。
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