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国王

 

 国王陛下が、体調を崩された。王太子亡命と戦時下の心労が祟ったのだろう。

 病床で私に話しかける。


「エスメラルダが成人するまで生き長らえたかったが、どうやら限界のようだ。将来エスメラルダを王配として支えてくれる人物をリストアップしたから、後で目を通しておきなさい。」


 そのリストにはランス王族や貴族の中から、魔力、家柄、人柄に秀でた人物の名がずらりと記されていた。

 もしかしたら、お祖父様は私が女王になることについて、ある程度想定をしていたのかもしれない。

 こんな詳細な調査、一朝一夕には出来ないもの。


「お祖父様、ごめんなさい。私はパーシヴァル様をお慕いしています。パーシヴァル様以外の方とは結婚する気はありませんわ。」


「彼は我が国の王位継承権を持っているとはいえ元ガリア王族、外国籍だ。議会や国民の反感は大きいだろう。エスメラルダの治世を支えることはできない。」


「わかっています。私の人生の全ては、この国に捧げるわ。だから、生涯独身を貫く覚悟は出来ていますわ。」


 まあ、前世も独身だったし、意外と良いもんだよ独身。

 だって、好きでもない人と結婚なんて虫酸が走るし。

 

 ましてや、その人に気を使って今まで集めに集めた推しグッズ捨てるとかありえないんだけど。

 私はお葬式で、今まで集めた推しグッズを堂々と棺にいれて貰うんだ。この国は火葬じゃないからあの世でも直筆の手紙とポートレート(もじゃもじゃも含む)に囲まれて過ごす所存。どうか私を止めないでくれ!


 お祖父様が哀れに思ったのか私の手を握った。

「エスメラルダ、すまない。」


 いや、いいよ。悪いのは亡命した伯父上だから。

国難に国を捨てて愛を取るとか、頭湧いてるな、あいつ。

 あんな、どうしょうもないやつが国王になるより、身体の弱い父上の方が100倍ましです。


「父上。私がなんとかしますから。」


「アルバート。すまん。」


 いやいいよ、お父様。

私が生涯独身なのは、既定路線だし。覚悟は決まった。

 あと十年もすれば、パーシヴァル様は、国の英雄と崇め奉られる存在になるんだ。

 そして、主人公ダリアと恋に堕ちる。


 彼のバラ色の未来を奪ってはいけない。


 お読みいただきありがとうございます。


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