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校内案内


 パーシヴァル様が学内を案内してくれる間、すかさずにお父様の手を取る。

 全ては彼を間近で見るため。

ラッキー、横顔がバッチリ見える。


 私は、彼を見上げた。

漫画のパーシヴァル将軍も士官学校に行ってたって、主人公ダリアに語ってた。

 確かそこで劇をしたのよね?

神話の若い男性神だったかしら?


 ああ、見てみたい。

もう、パーシヴァル様を食い入るように見つめていると突然、目があった。


 推しに見られてる。

かぁーっと顔に血が上った。

 悪役令嬢が持つような扇子が欲しい。あれがあれば、視線など気にせず推しを見放題なのに。

 でも、こんなチャンス二度と無いかもしれない。

 絶対に目を逸らさないんだから。


 彼の説明は流れるように流暢でわかりやすかったと思う。たぶん。

 私は、彼の顔と声を聞くのに精一杯で一切、士官学校の中を見ていないからわかんないけど…。


 そんな私に気を使ってくれたのか。

彼は私と妹のミランダをテニスに誘ってくれた。

 

 一瞬、パーシヴァル様と少し手が触れる。ビリビリと身体中が痺れるような感覚がした。

 やっぱり推しの力は素晴らしい。推しによる感電死なら、本望ですわ。


 マリー先生は、無表情で『ただの静電気です。』と夢も希望もないことをおっしゃるけど…。

 静電気違うもん。もっと甘いキラキラした恋の何かなんだもん。お願い、夢を見させて!そういうことにしてくださいな。


 パーシヴァル様は私達と一緒にボールとラケットで軽く遊んでくれた。その後、他の学生とのテニスの試合を見せてくれた。私はその姿を堪能する。

 はじける汗がキラキラの輝く金色の髪に反射してる。

長い手足から繰り出されるサーブが決まる。


「カッコいい。」


 前世とは違う。私は13歳、若いのだ。思う存分ミーハーしてやろうじゃないか。


「パーシヴァル様って素敵。ねぇ、あなたもそう思わない?」


私は、同担拒否などしない。推しを布教し共に盛り上がりたい。マリー先生も私の推し活に入りませんか?


 そんな全てを諦めたような目で見ないで。


「パーシヴァル様、とても素敵でしたわ!」


「ありがとう。レディ・エスメラルダ。」


 にこやかに微笑まれるお姿にきゅんとする。ああ、そのタオルになりたい。

 名前を呼んでいただけるなんて。光栄のいたり。

同じ世界で生きていけるなら、当て馬女王も悪くないかも。女王になる確率はほぼないけど…。


 極めてやろうじゃない、推し活!

情報は、全てを制すってパーシヴァル将軍もおっしゃってたわ。


「パーシヴァル様~。」


 私は、丸1日パーシヴァル様についてまわった。

結局、二時間だけの学内の案内係だったパーシヴァル様は、一泊二日の間中案内係として、ずっと側にいてくれることとなった。

 お父様の目的だったリチャード将軍が風邪で案内できなかったのも幸いした。甥のパーシヴァル様を案内係に任命してくれるなんて。ありがとう。


 家族の呆れたような目も最早気にならなかった。

お読みいただきありがとうございます!


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