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王太子

本日一話目です。


 パーシヴァル様から、手紙が来た。


「レディ・エスメラルダの涙は私の胸ポケットに全部閉じ込めた筈なのに。

 脱走した不埒ものがいるみたいで困ってるんだよ。至急、新しいハンカチが必要だ。

 来週、休暇で会いに行くから、補充を頼む。」 


 はい。パーシヴァル様!

パーシヴァル様の為に夜を徹して縫い上げましょうとも。マリー先生、毎日作りおきしている大量のハンカチを持って振り回さないで。

 新たに作るのはそれを差し上げてからですって?作品は鮮度が命。今作りたいのです。


 ミランダよ。私の作品を物色して、舌打ちするのはやめて。全てにパーシヴァル様のお名前と私の名前を刺繍していますが、何か?

 ジャンにあげるハンカチ?マリー先生に頼みなさい。

私はハンカチ屋さんではありませんことよ。


 

 私達が庭園で騒いでいると王太子殿下がやってきた。


「こちらから、華やかな笑い声がするから、つられて覗きに来てしまったよ。」


 うーん。ダンディでカッコいいけど、相変わらずチャラい。しかし、今日は珍しくいつもぞろぞろと引き連れている女性達がいない。

 ようやく戦局を理解して、自粛したのかしら?

早く女性達の誰か一人を選んで世継をもうけてくれませんか?

 この上跡継ぎで揉めたくありませんことよ。


「王太子殿下お騒がせしてしまいましたわ。」


「エスメラルダは可愛いな。」


「お上手ですのね。」


 ありがとう、私は可愛いわ。

だって当て馬(?)だもの。

 前世の私もびっくりするくらい日々綺麗になっていってるわ。お肌もしっとりすべすべだしね。


 そういえば王太子殿下は今日はいつものダンディさが少しなりをひそめているわ。まあ、少しやつれたその風情も素敵って社交界の女性達がこぞって称賛するんでしょうけど。


 女遊びを自重して、少しはお父様を見習って国王と軍略を練りなさいよ。


「エスメラルダが日々美しく成長しているのは、恋をしているからなのかな?」


 うーん。王太子よ。おまえの頭の中はお花畑なのかい?まあ、私の頭の中はパーシヴァル様で占められているから、人の事は言えやしないが。


「あら、伯父上様。ごきげんよう。」

ミランダよ、ありがとう。助かった。


「ミランダ、元気かい?また、大きくなったな。もう重たくなったな。」


 王太子がミランダを抱き抱えた。


面食いな妹は、王太子がお気に入りで見つけるといつも抱っこして貰っているのだ。


「私も早く結婚していたら、こんな子供達がいたのかな?」


そりゃ、お父様より年長なのですから、いたでしょうとも。あなたがふらふらしていなければね。


「まあ、叔父上様。子供扱いは、ひどいわ。私はもう一人前のレディよ!」


 王太子殿下が妹を、抱えながら笑っている。

お父様のお兄様にあたるのに若く見えるのは何でなんだろう?



 そして、それが私が王太子と会う最後の機会となった。

私の人生の歯車は大きく狂い始めるのだった。


午後に番外編アップ予定です。

よろしくお願いいたします。


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