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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アル中ゾンビは腐らない!

作者: 夜乃四兎

そのうち、長編に書き直しするかもしれません。

誤字報告、感想いただけたら嬉しいです。


父が、死んだ。酒好きの親父らしい急性アルコール中毒だった。

悲しい、嬉しい、苦しい、楽になった、悔しい…ざまぁ、みろ。

ぐちゃぐちゃした思いが重なって、涙も出ない。

ぼんやりとしたまま始まった通夜…しゃんとする間も無く、事件は起きた。



親父の遺体が消えた。



少し目を離して食事を取っている間に、忽然と消えていたのだ。警察の事情聴取、マスコミやメディアも騒ぐ中、今だに解決の見通しはつかない。


家に帰ると、酒瓶抱えて旨そうに酒を飲む親父がいた。

生きてたのか、はたまた、息を吹き返したのかと脈を取ろうとするが…



「…脈、みつかんねぇ」

「取り方下手だなー‼︎胸に手当てれば…」

「…音、しねぇ」

「つーか…冷たいんだけど」

「死んでんじゃんかよぉぉ⁉︎」

「ぎゃあぁぁ‼︎悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散ん‼︎」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…って、謝る必要ないんだけど⁉︎寧ろこっちが謝ってほしいんだけど‼︎」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…」


阿鼻叫喚、その後、落ち着きを取り戻し、状況把握。


親父は死んだ、でも、喋ってるし、触れるから身体はある、でも、脈はないし、体温もない。


結論、ゾンビ。


食人衝動はないらしいが、飲酒衝動があるらしい変なゾンビ…


だが、なぜ腐らないかの話題になり、ガバガバ酒を飲む姿に、皆アルコール漬けのマムシを連想して納得。


とりあえず、警察にこんなこと話せないし、ご近所にも秘密にする。必死に事件解決の糸口を探す刑事さんには心苦しく思うけれど仕方ない。


が、


親父がまた消えた。


何故だと思ったら、茶の間の机に残された書置き…家の酒が切れた為に家を出たらしい。


仕事や学校にいった兄弟に連絡し、探しに行く。

やっと見つけたと思ったら、血塗れの人間の前で俯く父…

人を殺したのかと思いきや、酔っ払って遺体の上に吐瀉物まき散らしていた。



オイィィイ!?ふざけんな‼︎



ひょんなことから事件に巻き込まれてしまった…だが、警察に父親を発見される訳にも行かず、とりあえず父親を近くにあったポリバケツに隠して119番


吐瀉物が掛かった遺体を見てなんとも言えない顔をした刑事と監察官にホントは自分じゃないのに…‼︎と泣きたくなる。

死体を見て気が動転したんだよね、とか…大丈夫、今にきっと良いことあるから…って慰められて、もうなんか遣る瀬無い…つうか、真昼間から酒呑んでると思われてるし‼︎


吐瀉物のDNAを取っとかなきゃいけないといわれ、綿棒渡されるが、自分のじゃない…‼︎


監察官が目を離した隙にゴミ箱に隠れていた父親の口の中に綿棒を突っ込み、何とか採取成功。


勢いよく突っ込ませたせいで、血がついていた…監察官に、そんな力いっぱいしなくても…と、引かれてもう一回泣きたくなる。


送って行くと言われたが、親父がゴミ箱の中に居る…ゴチャゴチャ増えていく警察関係者と野次馬…


私&親父ピンチ…‼︎


と、思った時、車で迎えにきた兄2をテープ越しに発見…‼︎ゴミ箱を指差しジェスチャーで親父が居ることを伝えれば頭を抱えて…


ジェスチャーで俺が気を引くから、そのすきに親父をゴミ箱から出せ!


出して顔見られたらどーすんの⁉︎

何とかしろ‼︎


帽子をかぶっていたことを思い出し、兄2が気を引いている隙にゴミ箱の蓋をとりニット帽を親父に深く被せ、ぶつかったように見せかけてゴミ箱を思いっきりテープの向こう側に蹴って親父を野次馬の中に突っ込ませた。 


何とか危機を脱出したが、今度は殺人の容疑がかけられてしまった‼︎


そして、親父に殺してないかと聞くと、殺した犯人をなんと目撃していた‼︎


が、それを言えるわけもなく、証拠もない…


こうなったら容疑を晴らすために犯人逮捕の証拠を見つけるしかない‼︎


家族会議で決定。


そして家を抜け出していた親父は、こってりとばーちゃんと母に絞られ、抜け出さないようにロープで縛られている。

警察に事情聴取されている間に、家族は親父を変装させて町を探索。 


殺されていたのは、酒造家。殺したのはバイヤーだった。

酒造家、しかもその酒は親父のベスト10に入る銘酒だったらしく、親父のやる気に火がついた。娘のピンチで火がつけよ!と蹴られるが、酒がかかった親父は伊達じゃなかった。

なんと、証拠も動機も見つけた‼︎それを親父にそのまま言わせる訳にもいかないため、スーツケースに親父を詰めて、無線式イヤホンを耳にかけて話して行く。



犯人は無事逮捕!

スーツケースの中身を聞かれ…


「事件でメモっといたこととか…」


ほのかに臭う吐瀉物臭と酒臭…この野郎、ゲロリやがった‼︎


「エチケット袋と酒です‼︎」


あ、そう…引き気味の刑事に涙がちょちょぎれる。


よかったよかったと安心し、親父はいつ死体に戻るんだろうと朝飯を食べながら何気無くTVをつけたら…



自分の無実を晴らした酔いどれ探偵誕生‼︎のテロップに自分の姿…



全員食べてた物が、全て噴出された。


吐瀉物掛けた容疑者は、無実を晴らした酔いどれ探偵…しかも、要らぬ称号までつけられた‼︎


「よっ、よいっ⁉︎はっ、はぁっ⁉︎」

「だっはっはっ!いいな!酔いどれ探偵‼︎」


TVを指差し笑う元凶に、ぶちり、と、頭の奥で大事な琴線が切れた音。 


「さっさと腐っちまえ‼︎このアル中ゾンビィィ‼︎」



でも、やっぱりまだ腐らない…orz


主:はよ腐れ、お腐れ様

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