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第七話 総統閣下と調査隊

 新大陸発見の報告を受けた翌日。


 ボクは古めかしい蒸気機関車が引っ張る列車に乗って港町“横須賀”にやってきました。


 ちなみに、これがエリュテイアになってから初の外出になります。いやー、楽しいものですね、列車の旅というモノは。


 自分がゲームの中で作った国を列車の車窓から見ることなんて思いませんでした。なんだか、新鮮な気持ちです。


 して。


 今回の旅の目的地、横須賀――それは、我が帝国海軍の本拠地です。


 ザ・海軍の街、と言った感じの場所で、赤レンガの建物が良く似合うなかなかおしゃれな場所です。


 現実の日本にある横須賀とは直接的も間接的にもほとんど関係ない都市ですが「首都の近くにある海軍の拠点なら、やっぱり名前は横須賀だよね」と凄く安直な理由で名付けました。


 そして、なぜこの街にやって来たのかと言いますとね……そうです、横須賀の港には新大陸を調査するための艦隊がボクの到着を待っているのです。




 列車で横須賀駅に到着すれば、次は戦前風の黒塗り高級自動車に乗り換え横須賀の街を進み、港に向かうわけなんですが……。


「おお、総統閣下だ! 帝国海軍の戦勝を祝って、総統閣下万歳っ!」


「さすが、総統閣下、今日もお美しい……我が帝国の誉れだなぁ」


「しかし、車に乗っておられるのでは総統閣下ご自慢の太ももが見えぬ。それが残念だ」


「あっ、手を振ってくれたよ! ママっ、総統閣下が手を振ってくれた!」


 何と言うことでしょうか、道沿いに溢れる人、人、人。


 横須賀市民が総出でプラカードや日章旗――我が帝国の国旗を振って出迎えてくれているんです。

本当に、戦前の街に来た天皇陛下をお出迎えするときみたいな雰囲気ですよ。


 ……って、やっぱり国民にもいるんですね、太ももフェチ。


 よく見たら国民が掲げるプラカードにも「総統閣下の太もも万歳っ!」とか書いてありますし。

 

 この国には変態しかいないみたいですね。


 確かに、アヤメさんが着せてくる服、どんな場合でも絶対領域になっていますけど。それってボクが自慢のために太ももを見せているわけではなくてですね。


 はぁ……こんなことになるなら、国民特性に“変態”なんて採用するんじゃなかったですよ。

 ラスバタ内では普通に技術力だけが上昇するデメリットとか無い優秀な特性だったのに……。


 ね、そうですよね、変態筆頭のアヤメさん。


 一緒に車に乗っていて、隣に座っているアヤメさんに問いかけるように視線を向ければ、意味深にニコニコされました。


 あっ、無言で太もも撫でないで……そこはっ弱いから……。


 だめっ……表情に出ちゃうって……みんなが見てるのに……んっ!




 ……

 …………

 ………………




「ふう、やっぱりエリュさんの太ももはいいですねぇ。いくら撫でても飽きません」


「うう……なんで太ももなんですか? ボクの太もも細っこいし、みんなもっとムチムチしたのが好きじゃないの?」


「いえいえ、そんなことないですよ。細くて少女らしい瑞々しさの残る太ももと言うのも素敵で……っと、到着しましたよ」


 突如発情したアヤメさんに撫でられ続けること数十分。


 やっと到着しましたか。


 危なかったですよ、アヤメさんに太ももを撫でられるとくすぐったくて、でも、表情に出すと市民の皆様に不審がられそうで……。


 必死に我慢して、けど、そうすると余計にアヤメさんが燃え上がってしまって激しく撫でてきて。

 

 本当に大変でした。


 この副官NPCの変態性、どうにかならないのでしょうか? どうにもなりませんよね。


 この国の国民、やたらボクの太もも大好きなんですもん。


 なんとなく状況がつかめてきました。


 この国民の変態性、たぶん国民特性が悪い感じに組み合わさったからこんな酷いことになっているんですよ。


 我が大和帝国の国民特性は、“熱狂的愛国心”、“指導者崇拝”、“変態”、“技術的優越”、“精鋭主義”の五つです。


 簡単に言えば“熱狂的愛国心”と“指導者崇拝”で国民団結度とか幸福度とかを上げつつ、“変態”や“技術的優越”で技術力の向上を図るって感じの国民特性編成ですね。


 このうちの“指導者崇拝”と“変態”がたぶん最悪の形で合併して「指導者を崇拝する変態ども」と言う我が国のおかしな国民性が完成しているのではないかと。


 何故、崇拝先がボクの太ももなのかはわかりませんが、まあ、エリュテイアには崇拝できるほどの胸や尻がないのでその代わりに太ももになったのでは?


 まあ、もうしばらくの間は大丈夫でしょう。車から降りて、人目に付くようになれば流石に変な事はしないと思います。


 アヤメさんは、その辺の分別は付けることができる子ですから。




 さて、頭を切り替えていきましょう。


 今回の新大陸調査隊の編成ですが……。


 出雲型装甲巡洋艦『出雲』、『磐手』。


 神風型駆逐艦『神風』、『朝風』、『春風』、『松風』。


 戦闘艦は以上の6隻です。装甲巡洋艦は日露戦争当時のそれとほとんど同性能、駆逐艦は第一次世界大戦前後くらいの性能ですかね。

 ミサイル全盛期の21世紀の艦隊と見比べれば少しばかり心もとない艦隊ですが、それでも主力艦と呼ばれる艦種がいる艦隊です。十分護衛の任を果たしてくれるでしょう。


 そして、その戦闘艦艇に守られるのが、第一海兵師団及び工兵部隊を輸送するための輸送艦、輸送船約20隻と総統であるボク専用の艦『富嶽』。



『富嶽』は、現代で言うなら大統領専用機エアフォースワンみたいな役割を持つ船ですね。

 

 総統であるエリュテイアが公務のために移動する際に使う船、それ以上でもそれ以下でもない船だそうです。


 常備排水量は約5000トン、武装は主砲として15センチ砲を単装で六門ほどとその他小火器を少々。


 外観はちょこちょこと装備された砲と、艦首に総統であるボクの紋章である桜の紋章が入っていることを除けば、いたって普通の客船です。


 仮装巡洋艦的な感じの船だと言えば理解しやすいと思います。


 はい、実に立派な陣容です。新大陸の調査にこれほどの艦隊が必要なのかと疑いたくなるくらいには立派です。


 戦艦に比べれば一段劣るとは言え、主力艦である装甲巡洋艦まで引っ張り出しているんですよ?

駆逐艦の神風型だって、外洋航行にもある程度対応した新鋭の1400トン級駆逐艦です。


 総統であるボクの護衛と言うこともあるのでしょうが、それ以上に国運を賭けた調査任務に海軍のやる気は十分と言ったところでしょうか。


 そして、陸軍。


 第一海兵師団を中心に、付近の師団から工兵連隊を引っ張ってきて編入。新大陸方面軍と名付けそそくさと輸送船に詰め込んで待機中です。


 元々、海兵師団は即応体制だったとしてもわずか一日で出港準備が整うとは異例の速さではないでしょうか?


 流石は我が帝国陸軍と言ったところでしょうね。


 ゲーム中に連発していた嫌がらせ強襲上陸のおかげで、上陸作戦には慣れているのでしょう。

 隙を見せれば強襲上陸、これが我が大和帝国のモットーです。




 さらに戦力はこれだけではないんです。


『お待ちしておりました、総統閣下』


 これから船に乗り込もうと、埠頭に向かっているボク。


 そんなボクに対し、埠頭前の広場に並び、一斉に捧げ銃を行うメイドさん600人。皆さん揃いに揃って物騒なボルトアクション式小銃を装備しています。

 戦闘メイドと言った方がいいでしょうか?


 その整然と整列するメイドさんたちの後ろを見ればちっちゃい戦車が14両おいてあります。

 軽戦車ってやつですね。第一次世界大戦中のルノー戦車に似ています。てか、ほぼそれです。


 彼女たちは、ボクの副官アヤメさん管轄の『総統親衛隊』。ボクの身の回りの警護をしてくれる人たちですね。

 総統であるボク――エリュテイアは女の子ですから、その護衛は当然女性と言うわけです。


 総統官邸の中にも大勢いて、普段は見た目通りメイドさんとして働いてもらっています。廊下とか歩いていると結構な頻度ですれ違ったりします。


 みんな美人ぞろいなのですれ違うと結構緊張します。


 ふっ、美人に対応できない童貞少年の哀しき定めよ――えっ、アヤメさんも美人じゃないのかって? 

 確かに美人ですし、ボクの好みの子ですけど……彼女は残念な美人ってやつです。あれにはもう慣れました。


 今回派遣される親衛隊員は600名ですからちょうど一個大隊です。さらに、軽戦車中隊を編成に加えているようですね。


 ちなみに彼女たちがなぜこんな時にもメイド服を着ているのかと言いますと……えっと、アヤメさん曰く「エリュさんはメイド好きですよね」とのこと。


 いや、その、メイドさんは嫌いじゃないですけど……副官NPCのアヤメさんにメイド服を着せていたくらいには好きですけど。


 これから行く先は新大陸、きっと大変な調査になるんですよ? そんなときに着る野戦服にメイド服は違うのではないでしょうか? 実用性とか全くないですよね? 


 まあ、みんな可愛いからいいんですけど、別に。




 ……はい、以上が今回の調査隊の全兵力です。


 正直に言えば過剰です。


 てか、どう考えても無人っぽい大陸に一個師団1万5000人は不要でしたね。ついついゲームの時の癖で、一個師団送るように命令してしまいました。

 ほら、ラスバタ内では師団が部隊運用の最低単位でしたし。


「閣下、お待ちしておりました。富嶽艦長、夜桜です」


「あっ、よ、よろしくお願いします!」


 タラップを登って、総統専用艦『富嶽』に乗り込むと、黒髪ロングな美人艦長さんがお出迎えしてくれました。

 総統であるボクの乗艦と言うこともあって艦長さんも女の人なんですね。女の軍人とは珍しい。


 おっぱいも大きい……まさにおっぱいぷるんぷるんっ!


 一方のボクはどうですか? チラッと自分の胸を見下ろしてみます。


 ――ぺったん。


 これ以上の表現は不要でしょう。なんだろう、負けた気がします。


 おまけに「ふふっ、気にしなくても閣下は十分可愛らしいですよ。ほら、太ももが特に」なんて艦長さんに笑われるし。


 なんで、ボクはキャラメイクの時にエリュテイアのおっぱいを大きくしなかったんだろう。


 あの時は若く、貧乳がいいと思っていました。


 イッツ判断力足らんかったぁ。

 雑に兵器紹介 『出雲型装甲巡洋艦』編 

 

 出雲型装甲巡洋艦 

 常備排水量 9800トン

 武装 45口径20,3センチ連装砲 二基

    40口径15センチ単装速射砲 14門

    40口径8センチ単装速射砲 12門

 装甲厚 艦側面 180mm

     甲板 102mm

     砲塔 200mm

     司令塔 356mm

 速力 21ノット

 馬力 15000馬力

 航続距離 10ノット 7000海里

 乗員 650名

 大和帝国の主力装甲巡洋艦。見た目は史実の出雲型装甲巡洋艦と大して変わらない。

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