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第百三十三話 総統閣下と別荘

 本国の病院に連れていかれて「見事なまでの無傷」という診断結果を頂いたり、100万の帝都臣民の前で軍事パレードをしたり……。


 いろいろあったけど、元気なエリュテイアです。




 して、そんなボクが、いまどこにいるかですけど……。


 煌めく太陽、白い砂浜、可愛いメイドビキニ姿のアヤメさん。


 はいそうです、満州沖にある親衛隊所有のプライベートアイランドのビーチですね。


「エリュさん、暑くはないですか? ……はい、魔法で冷やしてあげますね」


 と、ボクは何も答えてないですけど心を読み取って、魔法で涼しい風を送ってくれるアヤメさんとビーチパラソルの下、仲良く並んでジュースを片手に一休み中です。

 

 ふふん、ボクのアヤメさんは完璧なのです。ヘレルフォレードでしっかり魔法を学んでいるのです。


 ……えっ、ボクですか? 


 いいじゃないですか、ボクの魔法のことなんて。




 そんなことより。


「オーッホッホッホ! このフレート王国女王シャール、メイドごときには負けませんわっ! いきますわよ、リン」


「わかっています! くっ、しかし手ごわい!」


「総統閣下が見ている手前、敗北するわけにはいかないな……ほら、そっちにいったぞ、西」


「了解であります、夜桜大佐!」


 休憩中のボクの目の前で行われている親衛隊のメイドさんVS異世界の貴族様のビーチバレー対決を眺めましょうよ。


 ……あっ、別に彼女たちは友達だから呼んだわけじゃないですよ?


 シャールさんを始めとした各国の王族さんたちとか、その付き添いのリンさんとかを『大東亜共栄圏会議』のためにこの島に呼んだんです。


 それで、せっかく南国に来たんだし、会議をする前にちょっと遊ぼうって……それだけです。


 ちなみに、この場にいるのはリンさん、シャールさん、それとセレスティアルの聖女ロシャーナさんだけですね。

 警戒中のビキニメイド姿の親衛隊員に囲まれながら、みんなで南国を楽しんでいるところです。




 ちなみに、その他の王族の方々は……。


 高齢のエリザベートさんは「歳だからビーチは少し……」と、島の高台にあるボクの別荘『エリュシュタインハウス』の空調の効いた部屋で静かにティータイム。


 男性の皆様は「総統閣下の水着姿を男なんかに見せるわけにはいかない!」という過保護な親衛隊によってビーチへの立ち入り禁止にされたらしいです。 


 ……まあ、あっちはあっちでバルカ国王とディアナさんというダブルマッチョがラブラブですし。


「せっかくの海だ、遠泳と行こう!」


 と、ドルチェリ国王ヴァルヘイムさんを巻き添えにして謎の遠泳大会を始めて、楽しんでいるらしいのでよしとします。






 ……さて。


「うぐっ、負けてしまったのであります……閣下、面目ありません。この西、敗北の責任を取って、切腹します」


「落ち着け、西少佐、総統閣下の神聖なビーチを血で汚す気か?」


「しかしであります! このまま生き恥をさらすなど……」


 ボクの周りも騒がしくなってきましたし、そろそろ、海に向かいますか。


 ふふんっ、実は今日の水着は結構気に入っているんですよ。アヤメさん好みの白のビキニタイプですけど、フリルが付いていてですね、とっても可愛いんです。


 立ち上がって、くるんと一周。アヤメさんに、水着姿をアピールします。


 ほらほら、アヤメさん。どうです、似合ってますか?


「ふふっ、よく似合っていますよ。エリュさんが気に入ってくれてよかったです」


 そう言って微笑んでくれるアヤメさん、その手を引っ張って海に突撃します。


 ……実はあんまり泳げないんですけどね、ボク。




☆☆☆☆☆




 エリュさんの水着姿が可愛すぎる!


 はい、笑顔で私の手を引っ張るエリュさんと、一緒に海に向かっているアヤメです。




 エリュさんをこの島に連れてきて大正解でした。


 可愛い私のエリュさんを合法的に、毎日毎日、いろんな水着を着せ替えして遊ぶことができます。

 

 今日は、海外のお客さんが島に到着して、一緒に遊んでいるので可愛らしい系の普通の水着ですけど……。


 まだ、親衛隊しかこの島にいなかった昨日なんて……えへへ。


 思い出すだけで、ニヤニヤが止まりません。


 別荘のエリュさんの私室で、昔――そうですね、この世界に移転してきた直後くらいにエリュさんに着せようとして拒絶されたほとんど紐みたいな水着を見せる私。


 それを見て……。


「えっ、またそれですか? そんな破廉恥な恰好は嫌です」


 と、あの時と同じように拒絶するエリュさん。


 けど、あの頃と今では、私とエリュさんの関係性は全く違います。そうです、恋人関係です。


 一途なエリュさんは恋人に対してはちょろいので「そんなに嫌、ですか。せっかく似合うと思って選んだのに……」と、しょんぼりすれば死ぬほど嫌そうな顔でしたけど着てくれました。


「これ、見えて……ないです、よね?」


 なんて、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに手で体を隠すエリュさんが、何ともいえない背徳感でして最高でした。


 そのまま、別荘から連れ出して一緒にビーチに……と、思ったんですけど。


「お外に行くのは恥ずかしいから嫌です。アヤメさん以外の人にこんな姿見られたくないです。外に連れて行かれたら、ボク、泣いちゃいますよ?」


 と、可愛いことを言いながら涙目になっちゃったので、その日は別荘内のプールで二人きりで遊ぶことに……。


 何をしたのかは乙女の秘密ですけど、とっても気持ちよかったです。




「……どうしたんですか、アヤメさん? ぼーっとして……って、鼻血!? 大丈夫ですか」


 っと、いけませんね。


 昨日のエリュさんを思い出すだけで鼻から忠誠心が溢れてきてしまいました……。こういう時は治癒魔法でちょちょいと回復です。


「なんでもないですよ、エリュさん。安心してください。それじゃあ、遊びましょうか?」


「えっ、うん……」


 ちょっと心配そうにしながら「そんな魔法が使えるなら、変な薬なんか使わなくてもボクの傷治せたんじゃ……」と腑に落ちない顔をするエリュさん。


 けど「気にしたら駄目ですね」と悟ったような表情をした後、浅瀬で私と二人パシャパシャ水遊びに興じます。


 ご覧ください、この絶景っ!


「んっ、やっぱり水着って恥ずかしいですね。動いていると、ずれそうで……」


 なんて、エリュさんが、動くたびに水着がずれないか気にしているんです。その一つ一つの動きが愛らしいです。


 知ってます? 私のエリュさんはとっても恥ずかしがり屋なんですよ、可愛いですよね?


 ……けど、心配する必要はないんですよ?


 エリュさんの下着や水着には、私が独自開発したずれ防止の魔法が掛かっているのでずれたりすることは絶対にありません。


 それどころか、私の許可がなければ脱がせることもできなくなっています。エリュさんですら、一人では脱げません。


 一種の貞操帯ですね。


 ……ちなみに、エリュさんはこの魔法の存在にいまだに気づいていません。お着替えもトイレも、ずっと私が手伝ってあげているので自分で脱ぐ機会がないからですね。


 エリュさんが、いつになったらこの魔法に気が付くのか、気づいたらどんな反応をするのか……楽しみですね。




 ……って、今度はどうしたんですか、エリュさん。


 手が止まってますよ、じーっと砂浜の方を見つめて……。


 あ、ビーチバレーが気になるんですか? 


 あれは、『ドキドキッ! エリュさん争奪ビーチバレー大会』ですから、エリュさんは参加できませんよ?


 あの大会で優勝した一組、二人だけが今日一日、私と一緒にエリュさんと遊ぶ権利を持つんです。


 まあ、この島にはエリュさんの護衛とか『秋津洲』の乗員とかで、4000人くらいの親衛隊がいて全員参加しているので……。


 今日中に決着がつくとは思えませんけどね。


 明日からは、本格的に会議が始まりますし、『ドキドキッ! エリュさん争奪ビーチバレー対決』は優勝者無しでおしまい。


 今回も、エリュさんを独り占めできそうです。


 

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[一言] >ドルチェリ国王ヴァルヘイムさんを巻き沿いにして  検索∶巻き沿い  っと……。  もしかして∶巻き添え  大阪弁 巻き添い  …………なるほど。
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