番外編2の登場人物紹介・裏設定
ハティ・ギザ 24歳 男性
砂漠の民らしく浅黒く焼けた褐色の肌に、短く切り揃えられた黒髪に精悍そうな顔立ちをした、美男子ではないがそこそこに魅力的な容姿の青年。
アズリアのことが好きで好きで堪らない。
元々、部族でも一、二を争う剣と弓矢の腕だけでなく、アズ湖での漁や湖の水を引いて農作業の改善をしたりなど、部族の若者を中心に支持を集めていた。
央都アルマナを襲った魔族の大侵攻を撃退してのち、コピオスに敵わなかった自分を不甲斐なく思い。部族に代々継承されてきた「火神の加護」を自在に制御出来るようになるため鍛錬を続けていた。
ユメリア・ギザ 20歳 女性
ハティの妹であり優れた技量の治癒術師でもある、艶のある長い黒髪の美しい容姿の女性である。
アル・ラブーンの筆頭騎士ノルディアと共にホルハイム戦役に参戦した際に、元々それなりに学んでいた格闘術の手解きをノルディアから実戦形式で受け、部族内では並ぶ者のいない腕にまで鍛えられて帰ってきた。
この度はリュードラから求愛を受けていたが、リュードラだけではなく年齢を問わず部族の男性陣からの求愛を数多く受けているが。
アズリアを慕う余り、男性には目も暮れてない。
アストス 58歳 男性
7年前の火の魔獣の暴走によって、自分の父親である先代族長が生命を落とし、そのどさくさに紛れて試練を果たさずに族長の座に就いた。
族長の特権で金や女性などを貪る一方で、部族の政治は父親の真似事をしていたが、アズ湖の登場で集落の生活様式が一変し、その変化に真似ではついていけるはずもなく徐々に求心力を失い、代々世襲制だった族長の座を息子ではなく、部族の英傑であるハティに譲るよう部族の戦士らから要求される。
その焦りから今回、一連の計画を思いつく。
リュードラ 25歳 男性
外に出ないためか身体は不健康に肌が白く腹が出ているのだが、目の下にある深い隈がさらに不健康そうな印象を与える青年。
族長アストスの一人息子で、族長である父親の背中を見て育ったため、集落内でも立場を傘に着た傲慢な振る舞いを繰り返し、すっかり孤立していた。
魔族マフリートに利用されたのは、潜在的に族長の血筋に眠るか「火神の加護」に近い火属性の魔力量からである。
つまり、リュードラが真っ当に鍛錬を重ねていればハティと同じく「火神の加護」を扱える技量に達していたかもしれない潜在能力はあったのだが。
砂漠竜
メルーナ砂漠全域に生息する、一般的には二頭立ての馬車ほどの全長であり、最大級ともなると城ほどの大きなともなる竜属の一種で。
頭部こそ鋭い牙に特徴的な角など竜属のそれではあるが、翼を持たず基本的には砂地に潜り、まるで水を泳ぐように砂を掻き分けてその巨体で猛突進し大きな口を開けて獲物に襲い掛かる。
メルーナ砂漠では大規模な砂嵐や流砂と同じく災害の一つとして捉えられているが、砂漠竜避けの護符を持っていればまず襲われる確率はない。
バルガス 34歳 男性
シルバニア王国ランベルン伯爵家に雇われていた人間相手に拳を振るう拳闘士だったが、アズリアに重傷を負わされ治療のため今までの稼ぎを全て失ってしまい、面子も潰され砂漠の国にやってきて様々な荒事を達成し調子に乗って今回のリュードラの護衛とハティらの襲撃依頼を受けた。
全身の傷痕はアズリアにやられたモノである。
ウンディーネ 精霊
7年前に火の魔獣に喰われなかったおかげでアズ湖を生み出し、火の部族によって祀られてきた水の精霊である。
精霊はあまり人間に関わらない性質なのだが、アズ湖を適度に活用し、自分を祀ってくれている火の部族のハティたちを結構目に掛けている。
今回、試練の合間に現われてハティの魔力暴走を止めるための魔導具を用意したのも、以前からハティの鍛錬を見守っていたからである。




