第3章の登場人物紹介・裏設定①
第三章は登場人物が多いので二つに分けます。
前編は三章開始〜エクレール出発(41話)までです。
ホルハイム王国:雷帝・イオニウス王が治める国、金の鉱脈が数多く存在する黄金の産地。王都はアウルム。
スカイア山脈:ホルハイムとアル・ラブーン国境にそびえ立つ険しい山脈。山頂には有翼族らの集落が存在する。
・エクレール:ラクレールの姉妹都市。
・ラクレール:ホルハイム第二の主要都市。
・メレアグロス:ニンブルグ海に接する最西端に位置するアル・ラブーンとの定期便のある港街。
・イオ:ホルハイム最大の金脈が眠る金鉱都市。
・ホルサ村:スカイア山脈の麓近辺にある小さな農村。
・古代遺跡:先代国王時に復活した魔神ウンブリエルを祀っていた遺跡。
⬛︎スカイア山脈〜有翼族の集落
リュゼ・オルデリーク 120歳 女性 妖精族
ホルハイムより遥か東に位置する魔女の森にするオルデリーク氏族の中で稀に誕生する、外の世界の魔を刈る魔狩人の血統を持つ妖精族。
ちなみに120歳は人間の年齢では24歳程。
腰まで伸びた濃緑色の髪を三つ編みにし、キツい目つきと碧い眼をしている。利き腕の左腕は筋力増強を発動させたアズリアと同等の膂力を誇る。
オルデリーク氏族に代々伝承される大地の魔剣フルンティングと呼ばれる剣と鎖で繋がる鉤爪を所持しており、現在は同族のよしみでホルハイム王家に仕えている。
サイラス 32歳 男性
長い金髪を後ろで束ねた槍使いの冒険者を装っていたが、実はホルハイム近衛騎士の一人であり、王都に帰還してからは防衛軍の一隊を指揮する立場である。
最初に遭遇した時に寒さで凍えていたのも、近衛騎士としての立場から外での任務経験の無さを露呈してしまった形となってしまったが。
ルーナ 24歳 女性
短く切り揃えられた癖のある茶髪で、サイラスと同じく短剣使いの冒険者を装っていたが。こちらはロシェットお付きの使用人兼護衛を務めている。
毒に詳しいのは、偉い立場の人間を護衛する立場上どうしても毒に詳しくならざるを得なくなった事情がある。
アイビー 26歳 女性 有翼族
栗色の羽毛と肩口まで伸ばした髪の女性の顔を持つ、スカイア山脈を棲家とする魔獣である女面鳥と良く似た妖精族や岩人族と同様の亜人の一種、有翼族の女戦士。
集落の見張りをしていたところを、山の主たる飛竜に発見され追い回されていたのをアズリア達に助けられる。
ちなみに有翼族の脚の鉤爪は、人間の身体程度なら軽く持ち上げられるほどの筋力である。
ロシェット・ノルテ・ティアーネ 10歳 男性 半妖精族
短く切りそろえられた金髪に、少しばかり妖精族の面影を残す程度の尖り具合の耳と中性的な顔つきを持ち、その礼儀作法や振る舞いから地位の高い子供だとアズリアは推測していたが。
実はホルハイムの王位継承権第一位であり現ホルハイム王イオニウスの唯一の実子である。
まだ初陣は経験しておらず、王妃ティアーネの溺愛もあるためか知識はあっても経験が圧倒的に足りていない。
マリウス 10歳 男性 有翼族
後述の氷の精霊の暴走によって集落のあるスカイア山脈の頂上付近で分厚い氷壁に閉じ込められていた有翼族の王子。
有翼族は女性率が非常に高く、男子が誕生する事が稀有なため「王子」と呼ばれて非常に大切に育てられる。
この一件でホルハイム王子ロシェットと仲良くなり、後に帝国軍に王都が包囲された際に空中から物資を届ける提案を快く引き受けた。
セルシウス ?歳 女性? 精霊
銀髪の凛々しい女性の姿と口調のスカイア山脈一帯に宿る氷の精霊だったが、「is」の魔術文字の暴走によってなのか、それとも元々の好戦的な性格からなのかアズリアと拳を交える事となった。
得意技は氷の魔力を拳に纏わせる「凍結拳」。
その時に徒手空拳で戦う自分に合わせて武器を使わず拳で向かってきたアズリアを気に入り、ロゼリアとの最後の決戦時には自分の意思で登場したばかりか、左眼に一時的に宿り氷の精霊と一体化する「精霊憑依」を使わせていた。
⬛︎辺境の村ホルサ〜
ロッカ 5歳 男子
辺境の村から一家総出で逃げ出したが、父親クレイと母親エレリーを追ってきた帝国兵によって殺害されてしまった。
アズリアに助けられた後、村の教会で同じく親を無くした子供達と一緒に暮らしていくこととなったが、今でもたまに共同墓地に眠る両親へと花を手向けるために不意に姿が見えなくなるらしい。
ガーネフ 32歳 男性
ホルサ村を占領していた帝国軍を率いていた魔術師……だったが。村を奪還しようとしたアズリアに追い詰められた際に部下を身代わりに逃亡しようとしたのを看破され、呆気なく討たれる。
本来の力を発揮したならば、地魔法を得意とし上級魔法まで使い熟す強敵だった。
ゴードン 53歳 男性
南の辺境に位置するホルサ村の村長として帝国軍の侵攻に際して被害を最小限にするために、さしたる抵抗もせずに村を明け渡した。
アズリアが村を奪還し、エッケザックス傭兵団と合流した後に帝国軍の圧倒的優勢だったホルハイム戦役を逆転する一手を授けたのは間違いなく彼であった。
エル 12歳 女性
村の教会で様々な事情で親を無くした子供を集めて、イスマリアから内密に持ち出してきた麦酒の製造法で収入を得ていた修道女。
頭巾で隠れているが腰まで伸ばした金髪である。
実はイスマリア聖王国で「聖女」と呼ばれ、教会内で唯一の女性枢機卿だったのだが、地位ゆえに身動きの取れない現状に厭気が差しイスマリア教会、そして聖王国から出奔したという過去を持つ。
彼女が使う治癒魔法は、通常の治癒術師が使う同じ魔法でも、治療出来る負傷の深さが違う。
ザック 15歳 男性
教会で共同生活をしている孤児らのリーダー格として、歳下のエルを尊敬しながら麦酒作りや新入りや歳下の子供の世話をしている。
村が復興し戦争の傷痕が癒えたら、冒険者になって教会に金を入れようとしているために、今は隠れて剣の特訓をしている。
トール 35歳 男性
エッケザックス傭兵団の団長として、無精髭を生やし無骨な格好の外見からは想像出来ないが、筋力強化の初級魔法と戦鎚を使う戦闘巧者。
御者経験があったり、団の金庫を管理していたりと実は相当な苦労人だったりする。
7年前に帝国から出奔したばかりのアズリアを当時結成したばかりの傭兵団に誘ったのは彼だが、手を出そうとしてボコボコにされて以来アズリアを「姉さん」と呼んでいた、という過去がある。
オービット 28歳 男性
エッケザックス傭兵団の一員でアズリアがいた頃からの数少ない仲間の一人でもある。
普段から口元を首に巻いた布で隠して表情を悟られまいとしている。鞭と剣の両方の使い道がある連結刃の使い手で、純粋な戦闘よりも隠密行動や諜報活動が得意。
履いている魔法の靴は、発動させると自分のごく近い周囲の音の発生を防ぐ効果を持つ。
「朱色」のフレア 25歳 女性
エッケザックス傭兵団の一員でアズリアがいた頃からの数少ない仲間の一人で火魔法が得意なため「朱色」の異名で呼ばれる魔術師なのだが、豊かな金髪に露出の高い服の外見でそう見られる事は少ない。彼女が掌に装着している魔法の護符は、火魔法に限り魔法の発動や威力を増幅する効果を持つ。
村で保護した際には、ナイトゴーント隊が使用する特殊な毒で意識を失い生命の危機だったのをエルの治癒魔法で一命を取り留めた。
エグハルト 35歳 男性
エッケザックス傭兵団の一員でアズリアがいた頃からの数少ない仲間の一人。アズリアより頭一つ背の高い男で、得意武器の投擲槍を引寄せの魔法を使って最大限の威力を発揮するこの傭兵団の射撃担当。
村で保護した際には、利き腕の指の骨折と複数の矢傷で重傷だったがアズリアの生命と豊穣の魔術文字で治療を受けた。
⬛︎エクレールの街
ガイン 42歳 男性
エクレールの街を占領していた帝国軍の指揮官だった帝国重装騎士。全身を黒い鎧で固め、オルテアとマッシャーの三位一体攻撃「三重突撃」を得意としていたことから「漆黒の三槍」と帝国では呼ばれていた。
「三重突撃」の起点となる大楯での大楯攻撃を担当していた。
オルテア 46歳 男性
ガインやマッシャーと同じく「漆黒の三槍」としてエクレールの防衛に就いていた帝国重装騎士。
「三重突撃」では得物である長槍での突撃を担当していたが、その突撃を見せること無く、フレアの火魔法で散る。
マッシャー 39歳 男性
ガインやオルテアと同じく「漆黒の三槍」としてエクレールの防衛に就いていた帝国重装騎士。
「三重突撃」では槍ではなく大鉈で突撃を横に逃げた相手に最後尾から横薙ぎする担当だった。
ユーリア 20歳 女性
エクレール領主の一人娘で栗色の腰まで伸ばした髪をした物静かな女性。領主であった父親が帝国軍に扮したハーマンとザフィーロ男爵の手の者に「帝国軍との衝突で唯一戦死した領主」として謀殺されてから、その不甲斐なさと哀しみでさらに口数が減ってしまっていた。
オービットが見つけ出した証拠によって汚名が返上され今ではその顔に笑顔も戻り、住民らのたっての希望で正式に領主が任命されるまで代行を懸命に努めている。
ノース 58歳 女性
エクレール領主家に代々仕えていた使用人長の初老の女性で、御者が出来ることがきっかけでラクレールへと同行してもらう事となった。
料理や野営の準備を粛々と熟す腕前もさるものながら、手袋や靴に金属板を仕込んでいるその蹴りは一撃で帝国兵を倒してしまう程の威力である。
ハーマン 40歳 男性
エクレールの街を中心にホルハイム南部に数店舗を持つ商人で、ザフィーロ男爵の後ろ盾があることで品物を不当に安く買い叩き、競争相手を蹴落として利益を上げていた。
本人は背が低く髪の薄い肥満体。
ザフィーロ男爵 42歳 男性
細身の灰色の長髪の神経質な男で、領主に爵位がないのをいい事に様々な悪事を繰り返していた。ザフィーロ本人は自分こそがエクレールの領主に一番相応しいと思い込んでいたようで、その不満をホルハイム南部を攻略していたロゼリア将軍に利用され、結果帝国と内通しエクレールの街を売り渡した張本人。
 




