番外編8の登場人物紹介・裏設定
▼ホルハイム王家所属
ロシェット・ノルテ・ティアーネ 11歳 男の子 半妖精族
鮮やかな金髪と中性的な容姿や体格をした、人間と妖精族との半血種。
英雄王イオニウスと妖精妃ティアーネの間に生まれた長子にして、ホルハイムの王位継承権を唯一持つ人物。
器である身体や精神が未熟なため、まだ才能が開花していない事に本人は苦悩しているが。父親の剣の才と母親の魔術の資質、優れた二つの才能を見事に受け継いでいる。
スカイア山嶺で氷の精霊の暴走により氷漬けにされていたのを救われてから、生命の恩人であるアズリアに一目惚れし。恋煩いの真っ最中。
父親も経験した「成人の儀」で城外に出た機を狙い、再会できる事を願っている。
リュゼ・オルデリーク 121歳(外見は25歳) 女性 妖精族
濃緑色の長い髪を好んで三つ編みに結い、妖精族に代表される麗しい容姿ながら鋭い目線の女性。
東部七国連合と魔導王国ゴルダとの間に広がる森林地帯・魔女の森。その一角にある妖精族の集落が一つ、オルデリーク氏族の出身であり。
人間より腕力が劣る妖精族には珍しく、鉤の付いた戦鎖という特異な武器を使う。そのため彼女の左腕は、アズリアが「巨人の恩恵」の魔術文字を使った時と同等の腕力を有している。
──実は「大地の魔剣・フルンティング」の継承者なのだが。オルデリーク氏族より定められた称号「魔狩人」の厳命により、強大な魔──例えば過去に存在した魔神のような──以外に、魔剣を使用する事が許されていない。
そのため帝国との戦争で魔剣を見せる事が出来なかった。
城内で唯一、ロシェットを男と意識せずに接している女性。
イオニウス・デオ・ホルハイム 46歳 男性
現・ホルハイム国王であり、大国であるドライゼル帝国の侵攻を王都を完全包囲された絶対劣勢の状況から逆転勝利を収めた功績から「英雄王」の名を授かったが。
この戦争で包囲した帝国軍を迎撃するため、何度も所持する「雷の魔剣」の力を解放した結果。代償として寿命を十数年、魔剣に「喰われて」おり。現状、彼の健康状態には何ら悪影響を及ぼしている様子は見られないが。
後どれだけ自分が生きられるか、という漠然とした不安が。王太子であるロシェットと魔導王国ゴルダの第一王女との婚姻を進めた大きな理由でもある。
ティアーネ・ディア・フィレム 151歳(外見は30歳) 女性 妖精族
妖精族特有の美貌に加え、常に笑みを絶やさない穏やかな雰囲気を備えた女性。
華奢な体格が示す程に身体が弱く、ロシェットを産んだ直後から城内に籠りがちだったが。王都包囲戦の疲れと、毒による影響を国王以下周囲の人間に心配され。最近では王都の復興祭を最後に、領民の前に姿を見せてはいない。
活動範囲が城内のみになると、唯一の子であるロシェットに愛情と興味が注がれるのは必然的であり。魔法の指南役を引き受け、一緒にいられる時間を増やした程に、ロシェットへの感情は強まっている。
表立ってロシェットの婚姻を反対はしていないが、胸中では当然、ゴルダ第一王女メルベイユとの婚姻に反対である。
▼ロシェットの婚約者候補
エスティマ 27歳 女性
濡羽色の長髪と砂漠の民によく見られる褐色の日に焼けた肌をした、健康的かつ肉感的な美人。
砂漠の国の現王妃となる前は、イオニウスらと大陸西側を中心に活動していた冒険者であったため。その時の人脈を活かし、外遊を続けて魔族侵攻によって荒廃した国の復興協力を依頼している。
恋多き女性像として振る舞っているが、当人は伴侶である太陽王・ソルダを一番愛しているため。あくまで「一夜の遊び」と割り切れる相手を選んでいる。
同じく帝国との戦争で荒廃したホルハイムに訪れる理由は復興支援ではなく。親友であるティアーネの子・ロシェットへの情操教育こそが主な目的だったりする。
メルベイユ・イラ・ゴルダ 29歳(外見は14歳) 女性
大陸東部の北側に広大な領地を持つ、魔導王国ゴルダの第一王女であり。魔巨像の作成と操作においての第一人者としても名が知られる才女。
色素が抜けた薄い栗色の髪を左右に結った少女の姿ではあるが、年齢は三〇にそろそろ届く。
魔導王国での地位は魔力によって決定するため、第一王女の婚姻相手に相応しい男性が、国内に存在しなかったのもあるが。
ゴルダ国内でも「年齢と外見が乖離した不気味な人物」として、婚姻を避けられてきたという評判もある。
ロシェットに一目惚れした理由は、少女と見間違う中性的な容姿に惚れたのもあるが。彼が秘めた魔法の資質の大きさに気付いたのもある。




