7話 アズリアら、大きな飛竜を迎え撃つ
「……我に巨人の腕と翼を。wunjo」
力ある言葉を唱えることで右眼の魔力を解放し、その魔力を全身の筋肉へと浸透させていく。まだ腕の痺れは取れていないものの、これで飛竜に力負けはしない筈だ。
急降下からまた上空に舞い戻っていった飛竜に対してアタシは痺れの残る腕で何とか大剣を構え直し、空へ吼える。
「アンタの相手はっ……このアタシだよッ!」
アタシの挑発じみた叫び声に反応したのか、それとも自分の攻撃で仕留め損ねたことを不満に思っていたのか。
今度は間違いなくアタシを目標に定め、二つの爪を突き立ててこようと急降下してくる飛竜。
その急降下攻撃を真正面から受け止める……今度はただ大剣を構えて待つだけじゃなく、相手の突進に合わせて爪を剣撃で弾くために大剣を振りかぶり。
急降下攻撃とアタシの剣撃が衝突する。
先程は力負けした飛竜の突撃も「wunjo」の魔力で筋力が増強されている今だからこそ押し負けることなく、逆に二つの爪に大剣の一撃を浴びせられ、予想外の反撃にダメージを受け怯む飛竜。
「足引っ張ってごめんなさい!援護しますっ!」
すると、アタシの背後で傷を治療されたルーナが持っていた短剣を、飛竜の身体を覆う硬い鱗のない腹を狙って投擲し、突き刺さりはしなかったものの手傷を負わせる。
短剣による傷を受けた飛竜が、もう一度空へ舞い戻ろうとするも見てわかる程に翼が痙攣して上手く空を飛べずに、何度も地べたに着地しては飛ぼうとする行動を繰り返す。
「……なるほど、痺れ毒かい」
「そうよ。あまり褒められた手口じゃないけどね」
痺れ毒で弱っている飛竜の脚にリュゼの鎖が絡みついて上空に飛ばれるのを阻止する。
今の弱った飛竜となら何とか力比べしても競り合える、というルーナの痺れ毒を含めた上での作戦だったのだろう。
「アズリア!今なら貴女の剣で仕留められる筈です!……ルーナの毒はそれ程長くは持ちません、早くッ!」
「任せておきなッッ!」
「サイラスもアズリアの援護を!」
「了解した!周囲の警戒は任せた!」
アタシとサイラスが武器を構え接近する気配と殺気を感じ上空へと逃れようと、痺れ毒に侵されながらも何とか翼を羽ばたかせる飛竜だが、身体を束縛する鎖を握るリュゼとの力比べに負けて上空に逃れることが出来ない。
「散々手こずらせやがって!これで最後だっ……喰らい……やがりなッッ‼︎」
大剣を振りかぶったまま、空を飛ぶ飛竜のお株を奪うように地面を蹴って高く跳び上がり、体重を乗せて振り下ろした剣撃は飛竜の肩口から縦に真一文字に胴体を深く斬り裂いていき、大量の血を噴き断末魔をあげながら暴れ回る飛竜だったが。
「まだ倒れないか?なら……これでどうだッ!」
側面からサイラスの槍での刺突が首を貫通し、それが最後の一撃となり地面に力無く崩れ落ちる。
「……動かないな……やった、のか?」
「ええ、それにしてもあの飛竜の一撃を本当に受け切るなんて……さすがね、アズリア」
「いや、今回の勝利はアタシだけじゃない。リュゼやルーナ、サイラスもいたから勝ち取れたんだよ」
飛竜が事切れたのを確認すると、張り詰めた緊張を解いたアタシを含め四人が集まって肩を叩いたり頭を撫でたりしながら、互いの健闘を讃え合う。
そして飛竜との戦闘中姿を消していた、助けを求めていた謎の多い女面鳥が再び姿を見せると、アタシ達の元へと降りてきた。
「ニンゲンたち、あの魔獣を倒してくれて本当に感謝する」
降りてきた女面鳥がコチラ側に頭を下げて、生命を助けられた礼をしてくる。
人間の言葉を話すだけでなく、アタシ達に対して敵対的な態度を取らないなんて、魔獣である女面鳥にしては先程から不可思議なことが続きすぎている。
「いや、アタシ達もアンタら女面鳥の巣に用件があったから丁度よかったよ」
「こちらの言葉が理解出来る知能があるなら……どうかお願いする。お前たち女面鳥が連れ去って行った人間の子供を我々に返して欲しいっ」
すると、目の前の女面鳥は、
「えーと……色々と誤解を解いておきたいのだが、まず我々は女面鳥ではない。外見はよく似ているのだがな……」
『…………は?』
この場にいるアタシ含む四人が素っ頓狂な声をあげて、目の前の女面鳥を見てしまった。
「……我々は魔獣となった女面鳥ではなく有翼族という。妖精族や岩人族と同じくニンゲンに近しい種族だ」
作者としてのわがままを書きます。
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