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47話 ドリアード、娘の危機に登場する

久しぶりに一日に2話投稿出来ました。

前にも書いたのですが、書きだめとかしない人間なので一日に複数話投稿出来るかどうかは、筆の進み具合と作者のモチベーション次第となります。

「……き、貴様は大樹の精霊、だと?」


 自分に致命的な一撃を与えた女戦士(アズリア)にとどめを刺そうとする斬首刑を片手で止めた少女……大樹の精霊ドリアードに向かって悪態をつく蠍魔人(コピオス)

 その両斧槍(ハルバード)の斧刃を掴んだまま、倒れたまま身体を動かせずにいるアタシを見て、怒っているような、悲しんでいるような、何とも複雑な表情を見せて。


「……あの間違った力ある言葉(ワード)をワザと使って魔術文字(ルーン)を暴発させたのね……一瞬でも力を得るために。馬鹿ね、ホントに馬鹿なんだからこの娘(アズリア)は」

「し……師匠……約束、破っちまって……悪いね」


 最初は叱られるものかと思っていたのだが、師匠(ドリアード)の口から出てきた言葉は意外なものだった。


「でも、あの術式を使ってこんな一撃を放てるまでアズリアの魔術文字(ルーン)を受け止める器が大きくなっていたのね。最初はあなたが私の傍から離れることになって随分と悲しんだけど……結果的に旅をさせて良かったのかもしれないわね」


 アタシの額にふと誰かの手が触れる。

 すると、身体中の痛みが戻ってくる……無くなっていた筈の身体の感覚が戻ってきていた。痛みは走るが、腕も動くようになっている。無理をすれば起き上がれそうだが、額の手の主がそれをさせてくれなかった。


「もう!こんなになるまで頑張るなんて……お姉さんが水の大魔法でアズリアちゃんを癒してるけど……一歩間違えてたら死んじゃってたんだからね!お姉さんは怒ってるんだから!」


 アズ湖を守護する水の精霊、ウンディーネ。

 今アタシの額に手を置きながら、目いっぱいに涙を貯めて、いつもの緩い口調ではなく、ポロポロと泣きながらアタシを叱ってくれていたのだ。

 感覚が戻ってきたのは、水の精霊(ウンディーネ)の治癒魔法のおかげだったようで、そんな彼女にも感謝の気持ちに、と何とか動く腕で涙目の水の精霊(ウンディーネ)の頭を撫でてやるのだった。


「ありがとね……ウンディーネ……」

「御礼なんていいのよ……もう、ホント底抜けに優しいんだからアズリアちゃんは」


 頭を撫でるアタシの手を両手で握りしめて涙を流しながら、それでもようやく笑いかけてくれる水の精霊(ウンディーネ)

 

「ねぇ水の精霊(ウンディーネ)?……誰がアズリアと(じゃ)れあえと言ったのかしら。言っておくけどその娘(アズリア)は私のモノって決まってるんだから、余計な手出しはせずに回復だけしてくれないかしら?」


 こちらを見ている師匠(ドリアード)が笑顔のままだが、明らかに苛ついている口調で水の精霊(ウンディーネ)にアタシの回復を急かしてくる。

 それによく見ると、師匠が掴んでいる斧刃にピキピキと(ひび)が入っていく。


「……そ、そんなに怒るコトないじゃない〜ドリアードちゃん〜お姉さんだって久々のアズリアちゃん成分なんだから〜」


 蠍魔人(コピオス)が両手で振るう両斧槍(ハルバード)を掴んでいる小娘(ドリアード)と力比べをしているのに、微動だにすることもないこの不気味な膠着状態を打破するため、魔人は力比べの敗北を認めて自らの武器を手放し背後に飛び退く。


「やはり、6年前の計画で水の精霊、貴様をこの地から放逐出来なかったのが我の最大の失敗だったわ!おかしいと思ったわ……何故この砂漠に大樹の精霊などが現れたのか。それも水の精霊、貴様がいるなら至極納得がいったわ!」


 確かに蠍魔人(コピオス)の言う通りだ。

 通常ならば、植物や樹木がほとんど自生していないこのメルーナ砂漠に大樹の精霊が姿を見せるということは稀有な事なのだ。

 だが、その植物を育むことの出来る水の精霊がいるのであれば、その水を糧に大樹の精霊が顕現することも可能だろう。


 6年前に水の精霊(ウンディーネ)が住まう水源(オアシス)を持つ部族に配下の魔族を潜り込ませ、水の精霊を餌とする魔獣を儀式によって召喚させる計画だった。

 そして今回の侵攻の戦力に加えようと再度、魔獣の召喚を計画したにもかかわらず、魔獣は召喚されず水の精霊(ウンディーネ)を放逐することも出来なかったのだ。


 まさか蠍魔人(コピオス)は、その計画のほとんどの要素を潰したのが自分の背中に大剣を突き刺した女戦士(アズリア)の成果だという事実までは知らなかっただろう。

 もし知っていたとしたら、先程アズリアの首を刎ねられなかったことを大層悔しく思うだろう。


 だが。

 まだ魔族と人間との戦いは続いていたのだ。何も央都(アルマナ)を防衛するために立ち塞がったのはアズリアだけではなかったのを、蠍魔人(コピオス)の頭からは抜け落ちていたのだ。

 城壁からこの戦場に駆け出す女騎士(ノルディア)

 そして……長い詠唱を終えて、自らが行使できる最大威力の月魔法の発動準備が出来た王妃エスティマ。


「受けなさい魔族よ、これが人間(わたしたち)の意地です!

 ────穿て!全てを貫く月煌(アストラ)ッ‼︎」


 天空から降りていく一条の光の柱が蠍魔人(コピオス)目掛けて降り注いでいく。

 


はい、今回はドリアードとウンディーネがメインの回となっていましたが。

このまま精霊たちがコピオスにトドメ、という話ではないのでそういう展開が希望の方、ごめんなさい。


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