表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/92

85

「では、儀式魔法の詠唱を開始する。各自 気力と魔力を振り絞り貢献するように それでは…始め!」


開始の合図とともに、30人の魔法使い達が詠唱を始める。 直径10メートルほどの魔方陣を取り囲むよう布陣し魔力を込めていく

儀式魔法での召喚を早めたため、地脈からの魔力の吸い上げが足らず 詠唱中の魔法使い達の持つ魔力をどんどん吸い上げていく。そのため、並んでいた魔法使い達が魔力を枯渇させ、次々と膝をついて行く 


魔方陣が輝きだした。それはもう目も開けられないほどに、 そしてついに…


「成功だ!我らの英雄がとうとう来て下さったのだ!」


魔方陣の中央に1人の男性が立っていた、 驚きの表情をしたまま周囲を窺っている。 黒髪をサイドに流し 身長180センチ程の青年が 確かにそこに召喚されていた


「我らの呼びかけに答えてくれた事を感謝する。 我らの窮地を救うため、そなたの授かった英雄の力を使って欲しい。 まずは我らの主である皇帝陛下に会ってもらいたい」

「え? 英雄?皇帝陛下? 何を言って… もしかして、これは異世界召喚ってやつか?」


召喚された青年は、動揺しつつも現状を理解しつつあるようだった


「控えいっ 皇帝陛下のお成りである!」


大きな声で宣誓され、魔方陣が描かれてるだけで他に何もないこの部屋に 不釣合いなほどの華美な衣服を着た壮年の男性が入ってきた


「お前が英雄の資質を持った召喚者か、これからは我が国のために働いてもらう。 師団長、隷属の準備をしろ」

「ははっ」

「召喚された直後は加護の力を使いこなせないと言い伝わっておる、兵器に仕上げるのはそれからでも十分だ」


皇帝の言葉に 魔方陣を囲んでいた魔法師団の者と近衛兵が入れ替わり、青年を捕らえようと動き出した




『トーヤ様、召喚魔法が完了いたしましたので 私も始めたいと思います』

『ああ、よろしく頼むよ。なるべく尊大で偉そうな感じでよろしくね』

『尊大で偉そう…ですか』

『そうそう、普段みたいな優しそうな雰囲気を隠してほしいんだよね。罰を受ける側が勘違いしないように』

『承りました。なるべくご希望に沿うように致します』


「そろそろ始まるぞ、準備はいいか?」

籠の中で出番を待っていた獣人達に問いかける

「こっちはいつでも!」

さあて、始めようかね




『我が名はアイシス、 この大地に住まう我が子らに対し告げるべく事象がある。 これは神託である!』


頭の中に直接響くように、アイシスの声が届いてきた。 突然の出来事に帝国民はキョロキョロと周囲を窺ったり 空を見上げていたりしていた。


『この大地を育むための地脈の力を無許可で吸い上げ、利用し あまつさえ己が欲を満たすために異世界の者を召喚し、大地の和を乱すための兵器として使おうなど この創造神アイシスに対する反逆であると判断した。 更に 同じ大地に住まう者でありながら、隷属を用いて獣人族を使役するなど言語道断である。 よって… 全ての帝国人に対し神罰を与えるものとする』


神罰…という言葉に反応したのか、帝都民は悲観に暮れた表情を出していた


『この大地に生きる全ての民に等しく与えていた加護、 その全てを剥奪するものとする。 創造神アイシスが造りしこの大地で、今後は今までのような安寧は訪れない事を宣言する。 これは神罰である!』


神罰の宣言がなされたので、獣人達にかけていた隠蔽を解く

「よーし 出番だ! 仲間を解放してやってくれ!」

「おう!」


獣人達が倉庫の中に押し入ったのを確認し、籠を亜空間倉庫にしまう

「よし、俺も働こうかね」

先ほど 大きな魔力が放たれていた場所を目指して飛び立った




その頃、ドルス公爵領では…


「これが神託… って事は、今頃ミュー達は頑張っている頃なんだろうな」

ガッシュは南の方角、帝都の方を見ながら独り言を呟いた

「トーヤ殿の言っていたことは本当だったのですね」

点数稼ぎとばかりに食料を持ち込んで来ていたグラスも驚いた表情を隠せないようだった


加護の剥奪を宣言された直後から、護衛として連れてきていた騎士に異変が起こり始めたのだ。 訓練で身に着けた 魔力による身体強化が突然使えなくなったため、着こんでいる鎧の重さに耐えられなくなった者が続出し、その場から動けなくなったのだ


「なんだ?公爵家はトーヤさんの事を信用してなかったって事かい? まぁそんなんだから判断を誤るんだよ。 今更だろうけどな」

「確かに判断が遅れたのは認めざるを得ません、しかしながら 事後の対応は真摯に行っています。 なのでトーヤ殿に対し 何卒口添えを頼みたいのです」

「残念だが、帝国の奴隷にされていた俺に頼むのは間違ってると思うんだがな…」

「分かってはいます。 しかしトーヤ殿に近しい貴方にすがるしか道は残されていないのです」

「帝都が片付けばこっちに来るんだ、まぁ頑張りな。 俺はやる事あるからもう行くからな」


早々に話を切り上げ、公爵家から持ち込まれた食料の片付けを始める

「帝都や他の都市にいる同胞もやっと解放されるか…やっとだな」

こちらもよろしく

https://ncode.syosetu.com/n3892fz/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やっとですね^_^ 楽しく読ませて頂いてます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ