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辺りがすっかり暗くなったので、大きな籠を亜空間倉庫から出す

「それじゃあそろそろ行こうか、 まずは10人これに乗ってくれ」


さすがに籠を持っての移動を 最高速でするわけにいかず、片道30分ほどかけて移動する。距離にして約250㎞くらいだから、ジャンボジェット機よりもかなり遅い速度だったな


そんなこんなで2時間かけて2往復し、全員をうちの敷地に連れてきた


「じゃあ この2軒の建物に分散して今日は休んでくれ。 ちゃんとベッドは用意してあるから大丈夫だ」

「わかりました。 しかしさすがは最奥、中層なんかとは漂う魔力量が本当に違いますね」

「そうだな、この環境で訓練すれば 一時的ではあるけど帝国軍なんかにゃ負けないようになるさ」

「よし、皆聞いたな? 今日はこのまま休んで 明日からの訓練は気を引き締めて行こうぜ!」


結局、倉庫だった小屋に男性獣人12人、旧自宅だった小屋に女性獣人8人が割り当てられ 今日の作業は終了した



徐々に魔力を取り込み 訓練に明け暮れた日々を過ごし、2ヶ月を過ぎた頃には 20人がかりならば、魔虎を討伐できるほどまで強くなっていた。 ちなみに冒険者組合では 魔物に対する脅威度が発表されているが、最奥部まで到達できる冒険者が余りにも少ないため、魔虎に関する情報が無く どの程度の脅威度であるかは知られていない。 それに魔虎以外にも脅威度の高い魔物も多いため、通常の冒険者では辿り着く事も出来ない


「よーしガッシュ、魔虎を持ち帰って捌くぞ。 魔虎の皮は見た目がいいし防御力も高いから言う事なしだな」

「そうですね、肉もうまいし早く戻りましょう」 


体高2m、体長4m近くある魔虎1頭で、5~6人分の服が作れる。 ふわふわだけど丈夫な毛皮は下手な防具より遥かに頑丈で、剣などの刃物を通さない。 なので武道着のように軽装に見えるけど防御力は非常に高いのだ。 鎧と違いそれほど重くないのも利点の一つだ


獣人達の意見を聞きつつ、個性を出す方向で魔虎の服を人数分作る。 武器は以前渡してあるやつで十分なので 武器防具はこれで揃った事になる


それから更に1ヶ月後、事態が急変した。 リーナと護衛が消えた事、クリモに滞在し 儀式魔法用の素材が集まった事、王都にいた密偵が撤退し 帝都に戻ってきた事などが重なり、どうやら儀式魔法の発動を早める決断をしたらしい

アイシスがその魔力の動きを察知し、教えてくれたのだ


俺のお手製のマジックバッグを全員に支給し、水や食料 救護物資をそれぞれ放り込んで、獣人達は出発を待つ


「さて、俺は1回ドルス公爵家に行ってくる。 予定より半年以上早く動く事になったから 邪魔するなと警告してくるよ。 ついでに公爵領にいる獣人奴隷を解放しておけと伝えておく」

「「わかりました。 俺達は待機して体調を整えておきます」

「ま、すぐ帰ってくるけどな」


すぐに出発し、ドルス公爵領の領都へ向かった。 まぁ俺1人なら普通に飛んでも片道30分もかからないだろう


領都のほぼ中心部にある公爵邸、というか完全にお城だ。 そんなお城の中腹くらいに、ちょっとしたパーティでも開けそうな広さのテラスがあったのでそこに着地し、城内に侵入した


内部はなかなかに美しい造りになっており、映画や動画などでしか見ることのなかった 初のお城体験にちょっとにんまりする。

少し歩くとエプロンドレスに身を包んだ いかにもメイドさん!という侍女がいたので声をかけてみる


「ちょっといいか?」

「はい、ええ? どちら様でしょうか? 今日はお客様はいらっしゃらないはず」

「クロードかグラスに伝えてくれ、トーヤが来たと。 それで通じるはずだ」

「え? あ、はい。 トーヤ様ですね、承りました」

「そこのテラスで待ってるから 急いでくれよ」


なぜか特に騒がれることも無く話が伝わりそうなので、入ってきたテラスに戻り 置いてあったベンチに腰を掛ける


10分ほど待っただろうか、ふと見ると 鎧姿の騎士が10人ほどテラスに入ってきて整列する。 最後になってグラスが姿を見せた


「ようこそお越しくださいました。 連絡をくださればお迎えする準備を整えたのですが…」

「ああ、それは気にしなくていい。 こっちも急に決まった事だからな」

「それで、突然のご来場 何かありましたか?」

「クリモで会った時に言った事を覚えているか?」

「覚えています、 当時から1年前後で帝国に騒乱が巻き起こると」

「ああ、その騒乱なんだが どうやら時期が早まりそうでな、 今頃帝都では儀式魔法の発動のために大忙しだと思うぞ」

「ええ? そんな、半年以上も早いなんて…まだ準備は整っていないというのに」

「そんなドルス公爵家に 一つ温情をかけてやろうと思ってな。 この話受けるか?」

「ぜひ伺いましょう。 しかし私の公爵家の行動についての決定権は3位ですので、せめて父を同席させていただきたいのです」

「今ここにいないのか? はっきり言って時間はあまりないぞ?」

「領都内にいるので、1時間ほど時間を頂きたいのです」

「1時間なら大丈夫だな、それでいいぞ」

「わかりました、それではしばしの間 お待ちください」


公爵家の当主か、どんな奴だろうな。 この話を受けるか受けないかは公爵家次第、俺はどっちを選択されても構わないけど どういう決断をするかねぇ

こちらもよろしく

https://ncode.syosetu.com/n3892fz/

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