表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/92

76

クロードは立ち上がり、ヨロヨロとテーブルに手をつく


「どうした? 聞いてやるから弁明とやらをしろよ。 待ってるんだぞこっちは」

「まず、私達ドルス公爵家は これまでの帝国内の常識を変えようと活動しています。 軍事主義やそれに伴う獣人に対する環境の変化など、地道ですが進めています。 昨年、そこにいるガッシュ殿を含めた獣人10名を 奴隷から解放したというのも その一環です」

「なんかいい話風に言ってるけど、ガッシュの時は 魔の森の最奥部までゴルドアプルを採集しろって条件だっただろ。 普通に考えて それで良い事をしたって思ってるのがおかしいだろ。 あの時だって俺が居なかったらガッシュ達は全滅してたんだぞ?」

「あれは…緊急事態だったのと、帝国内で最強と言われる冒険者パーティの補佐として同行してもらっただけなのです」

「何が補佐だ、あの時の俺らがどんな扱いされてたか知らないわけじゃないだろう? ろくに休憩ももらえず、食事も満足に与えてもらえない、不寝番は当然の事。 肉壁として前線に放り出されるなんて毎度の事だったからな」


黙って聞いていたガッシュが 当時を思い出したのか、なにやら憤慨している。 まぁ話を聞けば起こるのは当然だけどな


「隷属の魔導具のせいで逃げ出す事も出来ず、もう死ぬしかないって所でトーヤさんに助けられたんだ。クロードさんだったか? アンタが今生きてるのはトーヤさんのおかげなんだが、そこはどう考えてるんだ?」

「いやー 何も考えてないと思うぞ。 だって貴族だぞ? 思い通りになって当然だって思ってるんだろ」

ガッシュが熱くなってるので、便乗して煽ってみる

「あの時のゴルドアプルだって、トーヤさんが採集したやつを譲ってもらったんだ。 それどころか領都の入り口まで送ってもらったし、 解放された後もこうして面倒見てくれてるんだ トーヤさんに敵対するってんなら俺達はトーヤさんにつくからな」


ガッシュの勢いに飲まれてるのか、クロードもグラスも黙ったままだ。 今のうちに 今日言おうと思ってた事を伝えて、反応を窺うとするか


「例の准将とやらも帝国に帰ったみたいだし、あんたらも帰った方がいいんじゃないか? あの軍人達がいなくなれば 用事はないんだろ?」


「は?」


ん? 反応が悪いな、 もしかして軍人が帰ったのを知らなかったのか? そんな感じだな


「准将が帝国に帰ったと?」

「そうだけど 知らなかった? もう3日くらい前だよな?ガッシュ」

「そうですね、4日前に組合に来なかったので 岩熊亭を調べたら引き払ってましたから」

「だ、そうだぞ?」

「そうだったのですか…言い訳に聞こえるかもしれませんが、 最低限の人員しか来ていなかったので 情報の収集が遅れていたようですね」


「まぁ それは俺達には関係ない話だな。 今日、わざわざここまで来た理由は 今後一切獣人に関わるな…と通告しに来たんだ。 理由はわかるだろ? それさえ飲んでくれれば 大人しく撤退するけど、どうする? もちろんそんなの受けられないって言うなら、この場でさっきの続きをして 物理的に関われないようにしようと思ってる」

「待ってください、帝国が獣人達に行っている非道は理解しています。 我が家はそんな獣人達を保護しようと動いています、 なので獣人の協力は必須なのです」

「せっかくだがそれは必要ない、後1年もすれば帝国は滅びの危機を迎え、帝国内にいる獣人奴隷は皆救出するから あんたらが動くと却って邪魔になりそうだからな」

「帝国が滅ぶ…?それはどうしてですか?」

「まぁ、もう手遅れで 改善の余地はないから教えてやるか。 帝国は今、地脈の力を無理やり吸い上げて 儀式魔法の準備をしているだろう、 そもそも 地脈の力ってのは 創造神アイシスが、この大地を育むために流し込んでいる力だ その力を不当に吸い上げた…となれば 創造神アイシスの怒りを買うのは当然って事になるよな、 もう神罰が下される事は決定しているんだよ」

「創造神アイシス様とは、教会の経典に登場する女神様ですよね? 実在するとはとても…」

「別に信じなくても構わないよ、ただ、帝国人は この大地に生きる物に与えられていた創造神の加護の力を失う事になる。 その神罰が落ちる時に便乗して俺も行動するってだけだ。 どうだ?早く帝国に帰って皇帝に報告したらどうだ?」

「…」


公爵家の面々は黙り込んでしまった、 ちょっと情報過多だったかな。 まぁそれでも もう引き返せない所まで魔方陣に魔力を吸わせてしまったんだ、 今更どう足掻こうと あの魔方陣は止められないからどうしようもない


「その話、本当なのですか?」

グラスが何とか振り絞ったような声で質問してきた

「別に信じなくてもいいって言っただろ? 帝国人に与える慈悲はすでに失っているからな、 今後の心配はしておいた方がいいんじゃないかな」

「今後の心配…ですか」

「ああ、今まで当たり前の様に受けていた創造神の加護、その恩恵も失われるって事だからな。 魔力なんかは特にそうだな」

「そんな…」

「ま、今まで行ってきていた罪を裁かれるって訳だ。 やる事やったんだから 責任取るのは普通だからね」


さて、帰ってくれるんなら いよいよ本気で獣人達の救出のために動きますか。 皇帝に報告されて、獣人に八つ当たりされても困るからな。 多少のプラン変更くらい対応してやるよ 

こちらもよろしく

https://ncode.syosetu.com/n3892fz/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ