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水晶に魔力を込めた翌朝、早速伯爵邸にやってきていた。 正直ミラの個人用にしたいところだが、伯爵家に雇われている身の上だから、一応話を通しておいた方が無難だろう。 教えたくないけど…


「おはようございます! 今日もアリーナ様の訓練の監督ですか?」

「お? 敬語が滑らかになって来たな、 さすがに慣れてきたんだな」

「うん…じゃなかった はいそうです!」

「で?アリーナは?」

「普段ならそろそろ起きる頃ですけど」

「そっか、まぁ今日は新しく作った魔導具を預けようと思って来たんだよ」

「魔導具を? どんなやつですか?」

「遠く離れていても会話できるやつ」

「ええ? そんなことできるんですか?」

「ああ、実験したけど大丈夫だったよ。 これがあれば 何か緊急の要件があった時に、すぐ俺と連絡が取れるって訳だ」

「おおお なんかすごいですね」

「だろ? だけど正直言って伯爵家にはあまり教えたくはないんだよなぁ。 無駄に使いそうで」

「あははは」

「そんな便利な物があれば 使うに決まっていますわ!」

「ほれみろ、そうなると思っていたんだよ。 ミラに持たせたらすぐバレるとも思っていたしな」

振り返るとアリーナが腰に手をやってニッコリしていた。 まぁいるのは気づいてたよ? 聞いてるのがかわってたからこそ教えたくないと釘を刺したんだ


「なるほど、これは置物としても十分なほど美しい水晶ですわね。 それでどこに設置するのです?」

「そりゃーミラに預けるつもりだったんだから、ミラが決めろ」

「えっ ど、どうしよう… うーん」

「では、専用に部屋を一つ用意しましょう。何かあった際にはその部屋に駆け込み、トーヤ殿に連絡する…それでいいですわ! お父様とお母様にもこの事は共有しておけば良いですわね」

「やっぱそうなるか…まぁわかってた事だよ、 想定内想定内」

「あはははは…」


それは本人達に任せるとして、クリモにも行かないとな。 どちらかというと 獣人達との連携の方がこの先大事になるからな


伯爵邸でのすったもんだのせいで、クリモに着いたのは午後になってからだ。 まずは宿に行ってみて 休んでる奴に伝言を頼んでおくか。 基本リーダーはガッシュみたいだし ガッシュに話を通しておけば、メンバー全員に伝わるだろう

それじゃ、買い食いでもして時間潰すかね




「准将殿、本国から伝令がまいりました」

「うむ、通せ」

クリモの町の高級宿『岩熊亭』に、帝国皇帝が放った伝令が到着したようだ

「陛下からの書状になります、返答があるならば待ちますが?」

書状を一通り目を通した准将は ハっとした顔を見せるが すぐに立て直した

「いや、返事は必要ないようだ。 気を付けて戻ってくれ」

「承知しました」

伝令は礼をして部屋を出る、そして宿から出て少し離れた場所で振り返った

「准将閣下ってあんな部下を思いやるような言葉を言う人だったっけ? 偉そうに暴言吐いてる印象しかないけど…まぁいいか、 今日は久々にベッドで寝て 明日出発しよう」

伝令は安宿を探すために歩いて行った


「おい!そういえばリーナはどうした? 全然来ないじゃないか!」

「はっ そういえば来てませんね。 あれから随分経っていますが」

「貴様!まさか忘れていたなんて言わないだろうな! 今から王都に行って確認して来い!」

「は、はい!」


急に言われて慌てて身支度をし、宿を出る

「チッ あれって准将だって忘れてたんじゃねーか。 本当にもう付き合ってられんな」

不機嫌な顔を隠すことなく保存食の買い出しをし、急いで町を出発したのだった



「クロード様、あの者は准将の配下の者です、 どうやら町を出るようですね」

「うーむ、できれば追跡して探りたいが…我らも人員が足りてないからな、今回は見逃すとするか」

「わかりました」

慌てたように町を出ていく帝国兵を見て 思う所はあるが 人手不足は否めず、諦めて情報収集のために組合に向かったのだった




夕刻になり、牙狼の宿に再びやって来た。 獣人達はまだ戻ってないようだが、時間的にその内来るだろう。 宿の食堂でエールを飲みながら人間観察をする

この宿は食堂がメインで、宿に関してはあまり良いとは言えない安宿だ。 それでもメインとなっている食堂は まともな料理が出てくるので、夕刻になると割と賑わうので、エール1杯で席を使っているのが なんだか悪い気がしてくる

なんだか居心地悪いし、ガッシュ達の部屋にでも行くか。 グイっと飲み干して席を立つ


「ガッシュ達はまだみたいだな」

休みになっている獣人に声をかけてみる、 さすがに無言でいると不気味だろうしな

「まだですが、いつも通りならそろそろ帰ってきますよ」

「ちょっと待たせてもらうな」

「わかりやした」


先日のシチューがうまかったなどの話をしていると、ガッシュ達が戻ってきた

「トーヤさん? 来てたんですね。 という事は?」

「ああ、言ってた魔導具 完成したぞ」

「おおおおお。 いやぁいつでも連絡できるって安心感が違いますよね!」


ガッシュに水晶を渡し、使い方を教えてやる。 といっても特別難しいことはないので 簡単に説明は終わる

「例の公爵家、しつこいので俺が1人で行ってみたんですけど なにやら情報収集したかったみたいでしたね。 トーヤさんが来たら会わせてくれって また言われましたよ」

「なんだか諦めが悪そうだな。 仕方ない、その内会ってみるか」


その内…ね。 とりあえず今日は帰るとするか 

こちらもよろしく

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