表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/92

71

「トーヤ様…きゃあ」

「お、アイシスか、こんな格好ですまんね」

純情アイシスの顔が真っ赤になっていた。 俺は浴槽の中にいるので、まぁ全裸なわけだね、 しかしこの程度で『きゃあ』とか、日本の中学生でも言わないよな…どんだけ純情なんだか


「失礼しました、 水晶の加工が終わりましたので」

「おおー 仕事早いね、さすがアイシス。 というか、そんなに恥ずかしがるなよ こっちまで照れちゃうよ」

「も、申し訳ありません。 なにぶん男性と関わることが今までなかったもので」

「そうなんだ、まぁそれは今後 俺で慣れといて。 それじゃあ使い方を教えてもらえるか?」

「はい、お任せください」


と、いう訳で 使い方を教えてもらったよ。 何のことは無い、ただ魔力を流すだけだった… 水晶に魔力を流し込み貯蔵する、使用時はその貯蔵された魔力を使い通話?会話が出来るというわけだ これは便利だね。

満タンの魔力で1週間連続通話ができるらしいので、緊急連絡用にしておけば数か月は補充なしでいけるだろう

水晶が4個あるので、クリモの獣人達の所で1セット ミラの所に1セット、 つまり 獣人との会話用とミラとの会話用で、俺が2個の水晶を持っていればいい訳だな。 どっちがどっちだかわからなくなりそうだから目印付けとかないとな


魔物の革で水晶サイズの小袋を制作、 袋に青い石を付けたのが獣人用、赤い石を付けたのがミラ用って事にしよう。 これで多分混同しないはずだ。 それじゃあ早速グリモアから行ってくるか



クリモの町、 あれから2回目の休日に公爵家の仮住まいに招待されたガッシュが、馬車に揺られていた

「こんなに近いのに馬車とか…貴族の考えってどうなってんだか」

「いえいえ、招待した客人を歩かせるなんてできないですよ。なので、しばしご辛抱を」

「いやだって、これなら走った方が速いだろ? まぁ俺達が効率重視しすぎてるのかもしれんが」

「ま、まぁ今はゆっくりしていてください」


やれやれとため息をつきながらガッシュは考えていた。 この『ご招待』の真意は一体なんだ? ただ詫びを入れるだけっていうなら 招待する必要なんてないし、なんせこっちは帝国人が道具扱いしてる獣人だしな。 まぁいいか、あまり難しい事を考えるのは苦手だ、なるようになるだろ

ガッシュは考えるのを放棄したようだ


馬車が止まり、降りた先には ちょっと古い感じがするが小綺麗な建物があった。 ちょっとした宿屋でも出来そうなほどの部屋数がありそうだった


「どうぞこちらへ」

冒険者風スタイルの使者役の後をついて行き、 着いた部屋は食堂のようだった

「ここで少しお待ちください」

言われるがまま席に着き、待つ事にする


お茶が出てきて 飲みながら待つ事10分ほど、 以前会った公爵家の兄妹が入ってきた

「待たせたようだな、先日は妹がなにやら邪魔をしたそうで 謝罪したいと思っていたんだ。 それにゆっくり話がしたい…というものあって、招待させてもらった」

「謝罪は別に…気にしてるわけじゃないから必要ないが、話とはなんだい? 俺としては、以前も言ったが 帝国貴族と関わり合うのは止めておきたいんだけどな」

「まぁそう言わんでくれ、すぐに食事が運ばれてくるから 話は食べてからにしよう」

クロードが侍女に合図をすると、静かに、それでも迅速に食事が並ばれていった

「ああ、最初に言っておくが 獣人にテーブルマナーっていう常識は持ち合わせていないから、そこは理解してくれるとありがたい」

「もちろんだ、 好きに食べて寛いでくれ」


高級そうな感じの料理が 少量ずつちまちまと並んでるのを見てガッシュはげんなりした

(こういうのじゃなく、もっとドーンとくれば食べ応えあるのにな…)

とはいえ、人間種の食事事情もあるだろうと思い 大人しく食べる事にした


「さて、話というのはだな…」

「それは私から話します、 まず一つ目は この町で一番最初に会った時の事、近い将来 帝国に何かが起こる…というような話を貴方はしましたね? 私達はその『何か』が知りたいのです」

ここでグラスが口を開いた。 交渉事は彼女の仕事なのだろうか


帝国貴族、それも公爵というのだから王家の血脈だというのはわかる。 その公爵家に神罰の事を教えたらまずいんじゃないか? そのどさくさに紛れて奴隷になっている同胞を救出するなんて知られると、対応されそうで困るな。 どうするか… ごまかすしかないか

「残念だけど、その『何か』っていうのは俺にもわからない。 わからないが、それはそっちの方が知ってるんじゃないのかい? 何かやらかそうとしてるんだろ?」


侯爵家の兄妹は目を見合わせた、 なんだか目で会話してるかのようだ


「そもそも、その情報はどこから聞いたのです?」

「ん? トーヤさんだけど? あの人は俺と違って何でも知ってるからな。 ついでに言っておくけど、俺達が魔の森から生きて帰ってこれたのも、あの人が助けてくれたからなんだ。 だから…恩人の嫌がる事は、俺は許せないかもな」

「そうですか… それでトーヤ殿とは連絡は取れてないのですか? あの方にも話を伺いたいと思ってるのです。 もちろん失礼な真似はしないと約束しましょう」

「本人がこの町に来た時に聞いてみるよ。 それじゃあ今日はそんなとこでいいかい?」

早く帰りたいので話を切り上げてみる

「そうですね、それでは 是非ともトーヤ殿との橋渡しをお願いします」


どうやら帰れそうだ… ガッシュはホッと息をついたのだった

こちらもよろしく

https://ncode.syosetu.com/n3892fz/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ