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マニーのダンジョン、1階層。 この階層を徘徊してるのは角うさぎなどの比較的小さく、初心者でも狩れる弱い魔物ばかりだ。 だがその階層で、鎧を着こみ 大剣を振り回している若い冒険者がいると話題になっている
そこそこ体つきが良く、持ってる大剣や着ている鎧も上質な物で それだけの装備があってなぜ1階層なのか…と嘲笑の的になっていた。 動きを見てみると 大雑把で大振りな攻撃、とても実戦経験があるとは思えない素人ぶりで、 角うさぎを相手にしてるのに1人は完全に荷物持ち 効率が悪すぎるし、哀れに思った先輩冒険者の助言にも耳も貸さずに偉ぶる態度、ダンジョンで活動を始めて3日目ですでに『あいつらはボンクラ、手を貸す価値もない』と言われ、相手にされなくなった
今日も1階層の外れの方で、ブンブンと空気を斬る音が聞こえる
「くそっ 弱いくせにちょこまかしやがって!この俺を誰だと思ってやがる!」
短剣でも、なんなら素手でも倒せるような魔物に重く 大きな大剣を振り回すイワン、宿に泊まって体を休められる日は来るのか… それは誰にもわからない
クリモの町の住宅街、現在ドルス家が買い取った元商家の屋敷では ガッシュとトーヤを招待するべく放った使者が屋敷に戻り、クロード、グラスの前にいた
「トーヤ殿がいろんな町で活動していて、次にいつクリモに来るか不明なため約束はできない…との理由で断られました」
「そうか、早いうちにわだかまりは解いておきたかったが いないのなら仕方あるまい。ご苦労だった、下がってくれ」
「はっ」
部下が出ていき、部屋にはクロードとグラスの2人だけになった
「とはいえ、なるべく早くに話し合いの場を作らないといけません」
「ふむ、そうなんだがな」
「最初に獣人に会った時の事を覚えていますか?」
「ああ、なんでここにいるのか問われた時だろう?」
「あの時、帝国に何かが起こるような物言いをしてたのが気になってまして。 もしかしたら帝都の動向を何か知ってるのかもしれません」
「うーむ、 しかし我らの密偵ですら 何らかの儀式魔法を行おうとしてる…くらいしか掴めていない物を、あの者達が知っている…とは思えんのだが」
「お兄様、あの獣人は 魔の森の最深部でゴルドアプルを採集し、生きて戻ってくるほどの実力者ですよ、何かしらの手段があってもおかしくはない…と、思います」
「ふむ、お前がそこまで言うのなら 今後も継続して交流を持たせよう。 おまえもうまくいくよう策を練ってくれ」
「わかりました」
「ふふーん」
砂糖を煮詰めるための大鍋を使い、大量のシチューを作っていた。 あちこちで好評を得たのがちょっとうれしかったので、ガッシュ達獣人にも食べさせようと 大鍋で煮込んでいたのだった
「しかし失敗したなぁ、 新居の台所でこの鍋が使えないとは… まぁこんな大鍋で料理しようとは考えてなかったしな」
新居の台所は、日本人の感覚で『ちょっと広い』程度で、大量生産用の大鍋を置けるスペースが無かったのだ。 仕方ないので古い方の家で鍋に火をかけている
「ただでさえ大食いな獣人が20人もいるからな、普通の鍋じゃ足りる訳がないからしょうがない、 これにハンバーグでもつけりゃきっと足りるだろ」
じっくりコトコト煮込んでいる間に、20人分のお椀、皿、スプーンを隕石素材で作る。なんと贅沢な!
すると背後に気配を感じた
「トーヤ様、この匂いはシチューという食べ物ですか?」
振り返るとアイシスが空になった小鍋を抱えて立っていた
「そうだけど…足りなくなった?」
「はい、その…とても美味しかったもので」
「よし、じゃあその鍋に入れるか」
「よろしくお願いします!」
ニッコリと女神スマイル。 やっぱ美人のスマイルはいいねぇ 癒しになるわ
並々とシチューが入った鍋を抱えてアイシスは戻っていった。 完全に餌付けが成功してるな…
食器類、大鍋を亜空間倉庫に入れ、クリモに向けて飛び立った
「よおガッシュ、ちょっといいか?」
クリモの町の組合内、森から戻ってきたガッシュを早速捕まえる」
「トーヤさん 来てたんですか? すぐに買い取りを済ませてきますね」
買い取りを済ませて戻ってきたガッシュに、牛乳を使った料理の試食を頼む
「いいんですか? トーヤさんの作る物はなんでもうまいですからね!」
「一応全員分あるから、宿で待機してる連中にも声をかけてやってくれ。 それで20人と俺が飯を食える場所なんだが、なんだったら町の外にでも出るか?
「あー確かに、食堂で持ち込みは睨まれますからね。 町の中も落ち着かないので外に出ましょうか」
「じゃあみんな集まったら行こうか」
「急いで集合かけます!」
クリモの町から見て、魔の森は西側 なので森に狩りに行くときは西門を通る。 王都方面へは南門、 東と北にも門はあるが、ほぼ使われていないので 宿から近い方の門、北門から外に出て 外壁のそばで食べる事にした
暗くなってきてるので、明かりを取るための松明も4か所設置してテーブルを中心に置いた。 獣人はもう全員来ているので、食事会を始めよう
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