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「なんて話だったんだい?」

食堂で夕食にありついているとさっぱりした様子のミューが入ってきた。 人が面倒な役割をやっている時に水浴びをしてやがったな? ガッシュは眉をしかめながら返事をしないで食事を続ける

「ちょっと!なんか言ったらどうなんだい?」

「ぁあ? 先日のお詫びをしたいから都合の良い日に来てくれってさ。 俺とトーヤさんに」

「はぁ 用事ある方が来いとか、さすが貴族の考え よくわかんないね」

「招待って言えばいいと思ってるんだろ。 面倒くせぇ」

「で?トーヤさんに知らせるのかい?」

「トーヤさんがこの町に来た時に話そうと思ってる、いちいちそんな話で呼びつける訳にもいかんだろ」

「まぁそりゃね、私個人としては、トーヤさんに会えるのはうれしいから歓迎したいけど」

「そりゃー俺だって、トーヤさんがクリモを拠点にしてくれればって思うけどよ 忙しそうだからな…色々と」

そう言い終わると、残っていた料理をもりもりと食べだした 



アルカイト王国 王都から真っすぐ南へ、馬車で12日ほど進むと 地下洞窟型のダンジョンがある。 海の見える丘の上に ある日ぽっかりと出現し、中から魔物が溢れだし大災害を引き起こした事が過去にあった。 当時、多大な犠牲を払いながらも鎮圧に成功し 現在は冒険者組合が管理し、中から発掘、もしくは魔物からのドロップする資源などを採集するとともに、中にいる魔物の間引きを行っている。

鎮圧された後に ダンジョンのすぐ脇にダンジョン都市というべき町が出来上がった。 町の名は『マニー』 魔の森の資源を採集するために出来たクリモと同じように、ダンジョンを潜る冒険者を支援するための町の規模はクリモを大きく上回る

冒険者を除いた商人、宿屋、武器防具屋などを経営する者とその家族だけで2万人の人口がある。 それに加えて組合の職員、各地から流れてくる冒険者でいつも賑わっているのだった。 そこに、ヨレヨレに汚れきった若者が2人 マニーの町に辿り着いた


「やっと着きましたね、徒歩での移動は本当に疲れました」

細目で長身の若者がぼやく、 あまり体力には自信がないタイプで 王都からここまでの移動だけで疲れ果てたようだ

「何を言っている、ここからが本番じゃないか。 家から持ち出した金はもう残ってないんだ、稼がないと食事も取れないんだぞ」

愚痴をこぼす相棒に叱咤の声をあげる ガッチリとした体躯で、大剣を背中に担いだ若者。 やっとの思いでマニーの町に着いたものの、宿に泊まる資金が無いのだ

「何もかもあの女のせいで…」

「そうだ!あの女への恨みを魔物にぶつけるんだ! すぐにダンジョンに行くぞ!」


この2人… 細目の長身がガロン17歳。 筋肉質の方がイワン17歳。 『元』貴族の令息だった

ガロンは伯爵家、イワンは侯爵家の生まれで 将来は国の要職に就くものと言われ、 王家に仕えていくはずだった2人。 そう、この2人が宰相と騎士団長の息子であり 第二王子の側近として付いてたにもかかわらず あっさりと魅了にかかり、帝国から送られたリーナの手足として操られ 貴族家の令息として余りにも恥を晒した為に 家から絶縁を言い渡され、王都から追放されたのだった


家を出された時に持ち出した金はもうない、生きるためにはダンジョンで魔物を狩り 素材を売るしかないのだ。 幸いにも 騎士団員として訓練していたイワンはそれなりに実力があり、若くともダンジョンの浅い階層なら困ることなく戦えるだろう。 ガロンは文官のため、戦闘力はあまり無く 荷物持ちに徹する予定のようだ


マニーのダンジョン。 現在の攻略最深部は45階層、 10階層ごとに地上部までの転送陣が置かれていて 一度各階層の転移陣を使い地上に戻れば、次からは地上からも転移できるようになる。 

難易度としては、45階層に現れる魔物は 魔の森の中層部奥地と同等程度であり、魔の森と違って魔物を回避して進みにくいという点では ダンジョンの方が難易度は高く感じられる。 どうしても戦闘を回避できない場合が頻繁に起こり、通路も狭いため 大人数で物を言わせることも厳しい

とはいえ、浅層部では角うさぎなどの低級な魔物が出るため 実戦経験の少ないルーキーでもそれなりに戦える場所なのだ


イワンとガロンは休む間もなくダンジョンへと入っていった

「最低でも今日の宿代くらいは狩らないとな、 疲れもあるし3階層くらいまで行くか」

「ええ、戦闘ではあまり役に立たないから任せますよ」


しかし、2階層に現れる狼を相手に 2人は苦戦していた

「チッ こいつら動きが速い!」

騎士として訓練を受けていたイワンだが、 対魔物ではなく対人の訓練だったため 動きの俊敏な魔物に攻撃を当てる事がなかなかできない

「ダメだ!1階層に戻ろう」


早々に諦め1階層に戻り、角うさぎを狩ることにした。 だが角うさぎのドロップでは2人分の宿代を稼ぐ事は厳しく、 食事だけ取って 野宿する事になった…

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「あっさりと魅了にかかり」が何度も出てるけど、これって自力で抵抗できるものなのかな?意志が強ければ跳ね返せるのか、あるいは魔法抵抗的な判定なのか。単なる運とかだと泣くに泣けない感。 …
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