表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/92

64

「ガッシュ! 来たよ来たよ例の帝国貴族の使いが。 夕刻にまた来るって」

「ええ?もうかよ…昨日の今日だぜ?」

「そんなの知らないよ、頑張って丁寧な対応してやったんだから、後は任せるよ!」

ミューはガッシュに丸投げするようだ

「マジかよ…」

ガッシュはこれから来るかもしれない使者に会うため、軽く汗だけ流しに向かった



魔の森の中心部 自宅を中心にトンカンと木槌を叩く音が響き渡る。 短剣の製作を放り投げて 新居に手を付けているのだ

木槌で叩きながら柱と梁の重なる部分を微調整する。 寝室予定の下、部屋そのものを支える柱は太く強化され ちょっとくらい嫁さんと頑張っても床が抜けないように作っていく。 それに大きめで立派なベッドを作ったら、きっとそれも重いだろう。 だから強化した、 うん これ大事

玄関のある面を残し、他の3面に板を貼り、その外側にサイディングみたいに見えるよう カットした石を積み重ねていく。 うん、外から見たら石造りの家に見えるね


「ふぃ~ やっと家っぽく見えるようになったな。 内側の壁はどうしようかな、日本みたいに資材が無い以上 木目1択なんだけど、どの木の木目が良いかな」


集成材や合板する技術なんて持ち合わせていないため、板状にカットした物を継ぎ接ぎするしかない。 そうなるとフローリング材みたいな継ぎ接ぎすれば綺麗に見えるだろう、 うん 少しサンプルとして作ってみるか


なんだかんだと作業をしてたら日が暮れてしまったので、本日の営業は終了にした。 いくら体力があるからと言って 暗い中 地味な作業していると 工期の厳しい現場で嫌々残業してたのを思い出すので止めた

気分を変えて、今日はシチューを作ってやろう。 肉も野菜もたくさん入れて、パンをつけて食べればきっとおいしいだろう。 作り方はなんとなく覚えているので試作から


「うん、うまい!」

ちょっと味が違うっぽいけど、これはこれで有りだな。 試食係に食べさせてみよう


「アイシス、ちょっといいかい?」

「はい、なんでございましょう?」

「新作…というか、故郷の味を再現させてみたんだ。 味見してみて」

「まぁ! ぜひいただきます」


具材たっぷりシチューにパンを添えて用意すると、 即座に食べ始めるアイシス

「これはっ!」

肉の塊を口に入れ語り出す

「なんとも優しい味ですね、牛乳を使っておられるのですか とてもおいしいです。 パンを浸して食べると更に良いですね」

ニッコリと女神スマイルをいただいたので、自分以外の舌にもおいしいとわかった。 うむうむ

「じゃあ鍋ごと置いていくから食べてやってね。 無くなったら教えて」

「はい、ありがとうございます。 それと、もしよろしければ ハンバーグの在庫がもう…」

「わかった、作っておくよ」

「お願いいたします」

この女神様はホントによく食べる。 まぁ作ったものが喜ばれるのは気分が良いから問題ないけどね

腹も気持ちも満足したので今日はもう休むとしよう



「先日 不快な思いをさせたお詫びをしたいと我が主から伝言を預かっています。 つきましては、我が主が拠点としている屋敷に招待したいとの事で、都合の良い日を教えていただきたいのです。 ガッシュ殿と 名前は伺ってませんがもう1人の方とおいで願いたいのです」

「都合の良い日と言われてもなぁ、俺はともかくトーヤさんはいつ来るかわからんし 下手に約束はできないんだ」

「トーヤ殿…と申されるのですか、その方はどちらに?」

「ルインズ行ったりグリモア行ったりと忙しい人なんだよ。 こっちも急遽連絡取りたい時は ルインズの組合に伝言頼むしかないからなぁ、そこは何とも言えない」

「そうですか…それであれば、ぜひとも連絡を取って頂きたいのですが、よろしいですか?」

「いや、せっかくだが断らせてもらう。 俺達も生きる糧を得るのと 修練するのと忙しいんでな、 いくら貴族様が相手だとはいえ 一方的な我儘に付き合う程暇ではないんだ。 そう伝えてくれ」

「それは困る! こちらも招待するよう言い使って来ている、了承の返事を頂かないと困るのです」

「アンタもこっちの都合は一切無視して自分の意見だけをごり押しするんだな。 とりあえず今の話を持って帰ればいいじゃないか、トーヤさんはいつ来るかわかんないし 大恩あるトーヤさんを呼びつけるなんて事はしたくないんだ」

「…」

使者として現れた 冒険者風の騎士は黙り込んでしまった。 しかしガッシュにとっては譲るわけにはいかない話だ

「そういう事だから、今日の所は帰ってくれ。 いつ来るかわかんないけど、もし来たら話は通してやるが、その結果が拒否って事も十分あるからな」

「…承知しました、 また来ると思いますが その時はよろしくお願いします」

使いの者はそう言って宿を出て行った

「はぁ~ ホント貴族ってのは面倒くさいな」

盛大に溜息を吐きながら愚痴をこぼす

「飯食って寝るか!」

ガッシュは早々に考えるのを諦めて食堂に向かうのだった

別作品も目を通りてもらえるとうれしいです

https://ncode.syosetu.com/n3892fz/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ