61
宴会を終えて 自宅に戻ってきた
「全く…獣人に酒と肉を与えたら危険だな どこまでも飲むなアイツラ」
なかなかのどんちゃん騒ぎで、俺も含めて21人が大騒ぎしたので 一晩でコカトリスの買い取り代金がパーになってしまった。 まぁそこはいいんだけどな
さて、暗い内は雑草も元気がないから朝日が昇ってからにするとして 今日の所はアイシスの綺麗な顔を見てから休むとしよう。 伊達に女神様じゃないからなぁアイシスは、 アイシスをデレさせるにはクッキーを持っていけばいいし よし行くか
「やあお疲れさん、 在庫はあるか？一応持ってきたんだけど」
クッキーを入れた大袋をアイシスに手渡す
「ああ、ありがとうございます！ 魔力をたくさん含んだゴルドアプルが練り込んでいるせいなのでしょうか、これを食べるととても癒されるのです」
「そうなんだ、まぁ喜んでもらえたんなら良かったよ。 例の召喚陣はどんな感じ？」
「はい、じわじわと地脈の魔力を吸い上げて 魔方陣展開に必要な魔力が3割ほど溜まった…という所でしょうか。 現状だと、どこの世界と繋がって召喚されるか まだルートが完成していない状況ですね」
「そうなのか、まぁ神族の決まりで 召喚されるまでは手出しできないって事みたいだから、召喚されちゃう人にとっては大迷惑な話だろうけど 頑張ってもらうしかないな」
「そうですね、一度起動してしまった儀式魔法陣は 途中で止めると地脈に多大な影響を残してしまうので、発動させてしまうのが一番安定するのです」
「まぁそういった難しい事はわからないから任せるよ。 それじゃ俺は休むよ、アイシスも適度に休んでな」
「はい 承知しております。 それではお休みなさいませ」
軽く手を上げてアイシスの部屋を出て 自分の小屋に戻る
「そういえば この小屋、いつまでもこのままじゃいけないな。 先日は客を泊めたわけだし もう少し大きくしてもいいだろうな。 よし、今日は明るくなったら新居の計画でも練るとするか」
いそいそと寝床に潜り込む、 やはり布団は素晴らしい
夜が明けた。 今日もいい天気だ 日課の畑の手入れ、魔牛の乳搾り、コカトリスの卵の回収などを済ませて新居について考えてみる。 人間だった頃は土木の仕事をやっていたわけだが、建築にも多少の知識はある。 とはいえ、地球の建築物のように 下水との配管、配電盤の設置や各部屋に電源を引く…なんて事は この世界では不可能なのでスルー案件。 どこの町でもトイレなどの生活排水は、穴を掘ってスライムを放逐していれば済んでしまう。 排水だけでなく野菜の皮や肉の骨などの生ごみもまとめて処理してくれる優れものだ。 水気の多い沼地に生息するスライムを捕獲し、流通しているので 1匹銀貨5枚ほどで買うことが出来る
まずは新居の位置を決め、穴を掘ってから魔法で崩れないように固める。 ガッチガチに固めてから魔法で整地し、基礎部分を盛り上げる。 もちろん日本の在来工法でよくあるコンクリートの基礎…のように土を盛り上げ 魔法で固める。 この地に来た時、自分用に伐採してあった木材を亜空間倉庫から取り出し、なるべく無駄にならないようにしながら角材サイズ、梁サイズでカット 持てる知識を総動員して日本にあったような一般住宅を作って見せよう。 ま、さすがに時間はかかりそうだけどな
紙とペンが無いから 頭の中でなんとか設計図を描いてみる。 1階には居間と客間、排水用の穴の上にトイレ、穴に向かって水が流れるように土を加工して洗い場と台所。 2階には自分の寝室と予備の部屋を2部屋、 イメージを整え1階から木材を加工しつつ組みあげて行く。 職人の様に最初に全ての材料を加工して組み上げるなんて事はできないので、下から進めながらその都度加工して行こう
なんかだんだん楽しくなってきたな、 自分の住処を自分で手作りなんて ある意味ロマンのある作業だ。 日が暮れる頃には基礎、玄関部分の土間、柱の立ち上げまで完了し、倒れないよう筋交いを打って本日の作業は終了としよう
いやー楽しいと時間が過ぎるの早いなー。 明日はミラのとこに顔を出して、アリーナの稽古と称するダイエットを見てやらないとな。 今日は早いけど寝床に入って、新居について色々と妄想しておこう。 何かいいアイデアが思いつくかもしれないしな
日が変わり夜が明けた。 妄想してて思いついたのは…一応嫁がいる事だし？ちょっと大きめのベッドを作ろうかとか、2階の寝室を支える柱をもう少し補強しようかとか、大黒柱を魔法で固めた土にしようかとか、割とどうしようもない事ばかり思いついていた
さて、伯爵家に向かいますかね。 余り早くに行っても起きてないだろうから ルインズの組合に行って世間話でもしてからにするか。 そういえばグリモアの町の組合って行ったことが無いな…どんな依頼があるか興味はあるし ルインズに行くのやめてグリモアの組合に行ってみるとしよう
