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「それではトーヤ様 私はどこで暮らせばいいのでしょうか?」

「へ? 今までやってた場所でいいんじゃないの?」

「いいえ、私はトーヤ様の直属の配下になったのですからトーヤ様の拠点で共に暮らす所存です」

「ええええ 突然言われても来客用にって作った小屋しかないなぁ、新しく作るから仮って事でそこでいいかな?」

「承りました 新しく作って頂けるというのでしたら少しばかり希望がございます」

「ん?出来る事ならいいけど?」

「地脈の動きを探るために10メートルほどの深さで地下室が欲しいのです」

「それくらいなら出来るな 了解したよ」

「ありがとうございます」

アイシスは礼をして小屋に向かっていった


よし、まずはアイシス邸を作りますか!

亜空間を倉庫にして伐採した木材がまだまだたくさん残ってる、地下室に関しては魔法でぎゅうぎゅうに固めてやれば大丈夫だろう

魔力の扱いにも慣れてきたし、さっそく始めるか


翌日 完成しました

我が家の隣にログハウスっぽい丸太をメインで三角屋根 うん、俺の家よりうまく作れた

16帖くらいののワンルームに風呂場トイレ地下への階段室 地下は8帖くらいの広さで周囲の土をガチガチに固め、通風孔を2か所設置 トイレに関しては、自身を清潔に保つための魔法をアイシスに教えてもらった為 魔物を解体してる時に出てきた魔石ともいうべき石に浄化の魔力を込め設置 すると魔力が切れるまで無臭で清潔に保てるんだそうだ。 これは自宅にもつけた


下品な話…魔人である俺も、神族であるアイシスも飲み食いすればちゃんと出るのだ なのでトイレは必須


さてさて

急いでやる事は他にないので、いよいよ野菜の種を手に入れるため行動しようかな

聞いた話じゃ帝国とやらは差別しまくりだというので行かない。 聞いてて気分悪かったしな、亜人種に人権与えないとか何様だ

行くんならアルカイト王国のどこかの町に行って、必要なら冒険者登録だな 身元確認とかあったらまずいけど…


「アイシス、ちょっと出てくるね 数日帰らないと思う」

「承知しました そのブローチに魔力を込めて言葉を念じてくだされば私に届きますので、御用がありましたらいつでもどうぞ」

「わかったよ」


いよいよ現地人との遭遇か コミュ障のつもりはないけど緊張するな 

とりあえず上空から町の規模とか見てみないとな 面倒ごとは回避の方向で


颯爽と飛び立ち南へ進路を取った




カインズ帝国北部 魔の森に隣接する領土を管理するドルス公爵領

3代前の王の弟が興した公爵家 王家の血筋とはいえまだ歴史が浅いのと、国への貢献度が低いため帝国内での立場は伯爵家と同等の扱いになっている貴族家である


「お役に立てず申し訳ございません」

「わかったわ 礼を受け取って下がってちょうだい」

やや小太りの40台と思われる男が頭を下げて出ていく 相手をしてい少女が不満そうな顔を隠すことなくドカっと椅子に腰を掛けた

「やはりダメでしたか…あの者以上の医者はもういないかと」

「こうなっては仕方がないですわね 腕利きを集めなさい」

「本気ですかお嬢様?どれだけ被害が出るかわかりませんし、全滅の恐れもあります」

メイド姿の侍女と思われる女性が困惑顔で尋ねる

「お兄様を助けるにはもうこれしかないのよ」

「わかりました」

「3日で集めなさい 頼んだわよ」

「はっ」

後ろに控えてた侍女に顔を向けドアに向かって指をさすと その侍女は頭を下げて出て行った

「どんな怪我や病も回復するという奇跡の果物、ゴルドアプル手に入ればお兄様はきっと回復なさるわ」

「魔の森の中心部にしか実らないという黄金の果物ですか…」

「獣人奴隷も使いなさい 壁にはなるでしょうから」

「承知しました」

残っていた侍女も出ていき 1人になったところで窓際へと歩いていく

「ドルス公爵家の未来のためにはお兄様を何をしてでも救わなければ…」

この少女 ドルス公爵家長女 グラス・フォン・ドルスは窓の外を見つめながら、大怪我で床に臥せっている公爵家の嫡男 兄のクロードを思う


5日前 クロードが次期領主として視察中に魔物の群れに襲われたのだ、しかも普段現れないようなCランクの魔物が群れを成して この事態を現領主のアギスが帝国内の他の貴族による魔物の陽動とみて捜査している。

帝国内で唯一魔の森に隣接していて、魔物から取れる肉や毛皮などの素材 それらを加工する技術が売りになっている公爵領の恩恵を欲しがる者が多いのだ。

公爵家には子供が2人しかおらず、次期領主の嫡男は当然として 長女のグラスも婿を取り、領内の管理をすることが決まっている

グラスの婿という立場も帝国内の貴族達にはぜひとも欲しいものであり、その場合嫡男に万が一があれば一気に領内の内政に手が届くかもしれない…と各家で次男三男の教育が急ピッチで進められているくらいだ

魔物に関しても、魔石に何人もの魔法師が何日も魔力を込めて放つことで ある程度誘導できることが分かっていて、クロードが視察に出ていた時に使われた形跡も見つかっている

濃い魔力を好む上位ランクの魔物は、普段なら漂う魔力の濃い森の奥地で暮らすものだが、奥地での生存競争に勝てない魔物は自然と外側に溢れてくる Cランクが本来森の外に出てくることはめったにない現象だったので クロードを狙ったという疑惑は深まったのだ

「我が公爵家に手を出したことを後悔させてやらなければ そのためにはお兄様が絶対必要なのよ」

グラスは窓の外を睨みつけた

 

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