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「お嬢様、ミラ様の採寸が終わりましたのでお連れしました」

アリーナは現れたスーツ姿のミラを見て驚いた顔を見せる

「まぁまぁ!似合うと思っていましたがこれほどとは…いいですわ!」

なにやら興奮気味である

「只今、ミラ様のお部屋を整備中ですので 夕方までには片付くと思います」

「わかりましたわ。 それではミラさん、本日よりよろしくお願いしますわ。 今日は侍女について屋敷を案内してもらって、場所などを把握してくださいまし。 夕方にはお父様にも正式に紹介いたしますわ」

「わかりました、 よろしくお願いしますアリーナ様」

「ではトーヤ殿、続きをいたしましょう」

「ふむふむ、なかなか似合うじゃないかミラ。 まぁどこに何があるかってのは知っておくのは大事な事だ。忘れないようにな」

俺も偉そうに意見してみる… まぁミラなら大丈夫だと思うけどね。 そしてアリーナに向き合う、 ちょうど柔軟を終わった所なので これから腰回りの脂肪を落とすために、ボクシングでいうフックを左右で連打させる。 ボクササイズとはよく言った物で、 腰を回転させる運動することによって 普段なかなか使わない部分を稼働させようという事だ。 おまけに回し蹴りも流れに組む、 これは全体重と蹴り上げた足の回転力を片足で支えないといけないので、太ももと脹脛の鍛錬になり バランス感覚を養うのにも貢献する動きになる。 当然腰を回転させる動きなので腰回りの鍛錬にも十分なる

今日はシャドーでやってもらっているけど、殴る蹴るをやっても手足が壊れないような素材でサンドバッグみたいな物を作った方がいいな。 アリーナ以外の侍女たちはスカートなので蹴りは無しで…

フックも回し蹴りも、本物のボクサーや空手家のようにする必要はなく 要は腰を回転させる運動…という事でやってもらっている。 重心やバランスは必要だけど、腰をタメる…とか威力に直結する要素は不要だと判断したからだ。 まぁお嬢様と屋敷に勤める侍女だからね

体力なんて微塵も無いお嬢様のペースに合わせ、ゆっくりと休み休み運動していく。 こんなんでも毎日続ければ体力もつくだろう


そんなこんなで昼になり、昼食を済ませて俺だけ伯爵邸を後にした。 他に用事はなかったしな

 


数日前、 どこにでもありそうな貧相な馬車が帝国と王国を隔てる国境を密かに越えていた。 馬車の中にはドルス公爵家のクロードとグラス、侍女が2名乗っており 周囲に護衛の騎士が5名 騎乗してついていた。 騎士といっても鎧を着こんでるわけではなく、いかにも冒険者風を装って簡素な防具を纏っていた

帝国と王国を結ぶ主要街道を避けるように魔の森に沿って東に進んで行く。 目的地は帝国軍が密かに入り込んでいるクリモの町だ

主要街道を通ればルインズ、王都を経由してからクリモへと続いてるのでかなり回り道になるし、万が一にも帝国貴族の関係者に見られたくなかったから 道は悪いが最短距離を進ませているのだった。 それに急がないと食料が持たないという理由もある

ドルス家の密偵が調べたところ、帝国軍准将の1人がクリモの町を拠点とし、儀式魔法の素材を収集しているとの情報があったので それらを調べるのと 帝国内が不穏の為、帝国を離れて様子を見ようと話し合われ、身を隠すにもちょうど良いと向かう事になった

クリモの町で軍関係者と鉢合わせしないように2名の騎士が先に向かっている


「グラス、疲れていないかい? 予定では後2日でクリモに到着する。 着いたらゆっくり休ませてあげるからね」

「大丈夫ですわお兄様、王権派が雇った暗殺者がうろうろしている領地にいるより遥かにましです」

「保守派は見て見ぬふり、どこの派閥にも属してない我が公爵家は邪魔でしょうがないのだろう。暗殺者まで放ってくるとは強硬策にも程がある、 相手にするもの馬鹿々々しい限りだからね」

「クリモは広い町だと聞いてます、 先に向かった者達が軍部の泊っている宿を調べることが出来れば 行動範囲も分かりますし、身を隠すのにちょうど良いと思います。 准将も身分を隠しているはずなので、広範囲には動いてないはずです」

「そうだね、 しばらくはクリモで王権派の動向を探ろう」


2日後、無事何事もなくクリモに到着したドルス家一行は 先触れが確保した 空き家だった一軒家にて一息ついていた

「無事に到着できたな、兵たちには交代で十分な休養を取らせよ。 侍女たちは食事の用意と寝室の身支度を頼む、 その後でゆっくり休養してくれ」

クロードの言葉に従者達は礼を取り散っていった

「グラス、食事を取ったら今日はゆっくり休むといい。 これから数日は長旅の疲れを癒し、 今後の活動内容を詰めよう」

「わかりました、お兄様も休んでくださいね」

「ああ、もちろんだ」

2週間ぶりにベッドで休めるので、非常にうれしそうな顔をする妹を見ながら今後について考える


王権派は密かに進めている儀式魔法と同時に王国と戦争を始めるだろう。 現状 我が公爵家ではこれを止める術は思い当たらない、 保守派には恐らく圧力をかけて黙らせていると予想され、各派閥に属さない貴族…下級貴族なら取り込み、我が家のような上級貴族には武力行使しているものと予想される。

さて、どうしたものか… クロードは腕を組んだまま考え込んだ  

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