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先に応接間に案内されたので ミラをここに残して厨房に行こう

「ミラ、朝食を作ってくるからちょっとここで待っててくれ」

「わ、わかった…早く戻ってきてね。 緊張しちゃう」

「早く慣れろ ここが職場になるんだから」

「はーい」


厨房に行き、料理長とその部下達に軽く挨拶をし ゴルドアプルではない通常のりんごを使ったりんご酢でパンを焼き、コカトリスの卵焼き、ポテトサラダと野菜スープで朝食っぽく整える。ついでに塩、胡椒、砂糖なども在庫として置いていく。 そして2人分を見繕って先ほどの応接間に持っていく


「ミラ、朝食にしよう」

「はーい! トーヤさんのご飯はおいしいからいいよね」

「素材がいいんだよ、 コカトリスとか使ってるしな」

「コカトリスって、魔の森の東側中層にいるんだよね…高級品だね」

「コカトリスは肉もうまいけど、卵が大きくていいよな」


朝食を済ませて一息入れているとアリーナがやってきた


「トーヤさん ミラさん、おはようございます。 今日の修行はミラさんも参加するんですの?」

「あの! 先日のお話、受けようと思って今日は来ました」

「まぁ!まぁまぁそうですの、 それはうれしい限りですわ。 それではミラさんの気が変わる前に早速契約いたしましょう」

アリーナはミラに少し待つよう言ってから部屋を出ていった。 契約書の準備をしに行ったんだろう


「アリーナ様の言っていた修行って?」

「ああ、いくらお嬢様だといっても運動不足からくる体調不良なんかを解消するためと、メインの目的は美容と健康だな。 特に健康は金があっても買えないから自分でどうにかするしかないから やらせてるんだよ。 まぁ美容に良いと聞けば、女の子はやる気を出すからな」

「美容に良いんだ…私もやっていいの?」

「構わないけど、ミラに普段やらせているストレッチの劣化版だから 毎日の日課をやってれば参加の必要はないな」

「ああ、なるほど? あれって美容に良かったんだ」

「基本的には全身くまなく動かして汗をかき、代謝を促すだけで十分なんだよ。 ただ貴族令嬢ってやつは、ドレスのために体型を維持しなきゃいけないから 食生活で栄養取り切れない事が多いんだよな、だから運動して不要な脂肪を減らせば ちゃんと栄養を取りながらも体型を維持できるっていうだけなんだよ」 

「んー なんだか難しいんだね。でも確かに鍛えていれば太らないもんね」


なんて話をしているとアリーナが入ってきた


「お待たせしましたわ、 こちらが契約書ですわ よく読んでからサインしてくださいませ」

「は、はい」


アリーナが来るとミラの態度が急にかしこまる。 やはり平民にとって貴族というのは雲上の人扱いなのだろう


「基本的には屋敷の警備は専用の者たちがローテーションでやっておりますの、ミラさんは何もないときは自身の訓練を、出かけるときには護衛としてついてきていただくわ。 それで護衛時に着ていただく衣服の採寸をこれからしていただいて、すぐに作ってもらいますわ」

「わかりました アリーナ様」

「それではこの侍女について行ってくださいまし」


ミラは採寸の為退室していった



ルインズの組合では 朝の混雑が過ぎ去ったので 受付嬢が仕事をしながらお喋りに興じていた

「まさかミラちゃんが貴族の、しかも伯爵家のお嬢様の専属護衛になるなんてねー。 バートリー家のアリーナ様って例の婚約破棄事件の方だよねー 世の中狭いよねー」

「それよりもミラちゃんがこの町を出ちゃったら、トーヤさんが来なくなったりするのかな?」

「トーヤさんが来なくなったら困るから聞いてみたんだよねー、 そしたら定期的に来るって言ってたよー」

「そうなんだ、それを聞いて安心したよ。 あのクッキーの味を知ってしまったら…ね」

「作り方も聞いたんだけど アレに入ってるバターってのが魔牛から取った牛乳から作ってるらしいから、一般人には無理なんだよねー」

「魔牛って魔の森の中層にいる魔物でしょう?依頼したら高くつきそうだよね」

「だからあのクッキーに値段をつけるなら、かなり高価になると思うんだよねー。 だから トーヤさんとは仲良くしないといけないね!」

「そうだね!」


ミラの心配もしているようだが、大部分がクッキーの事であった。 これに関しては餌付け作戦が成功しているという事だろう



アリーナと侍女達が修行と称した運動をしている頃、ミラは全身をくまなく採寸されていた。 ルインズで生まれ育ち そして早くに両親を失ったミラにとって、自分のサイズに合わせた服なんて初めての事である。 当然採寸されるのも初めて 相手が女性とはいえ体中を触られまくる事に対し、恥ずかしさで悶えていた

「これで終了でございます。 完成まで今しばらくお待ちください」

侍女の1人が頭を下げて礼を取る

「いえいえとんでもない! いくらでも待ちますので!」

「服が完成するまでの間はこれを着てください」

出てきたのは執事が着るようなスーツ服のような物… あれよあれよと着替えさせられ、スーツ姿に短剣装備という状態になった

「これは…素敵です!」

侍女の一人が呟いた 

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