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バートリー家で朝食をもらってからルインズに帰る事になった。 もちろんその前にトマトの苗を購入し、亜空間倉庫にポイ
「よし、んじゃ帰るか。 また目隠ししないとな」
「えええ またアレやるの? ううう」
「諦めろ」
ササっと目隠しをしてから隠蔽、 ルインズに向けて走り出した
「ふー到着」
目隠しされて固まっていたミラに声をかけて降ろしてやる
「はぁ…ルインズの町だ。 遠いはずなのに」
「細かい事は気にすんな、後 他言は無用な」
「うんわかってる。というか 言っても誰も信じないよこれ」
「よし、じゃあ俺は帰ってトマト畑を作らないといけないからもう行くな。 ミラも軽く運動してから休んだ方がいいぞ、 お金が心配なら狼の在庫はまだあるんだろ?それを捌けばいい」
「うんそうする、なんかベッドが豪華すぎて寝れなかったよ…」
「んじゃまた来るから、訓練だけはサボらないようにな」
そう言い残して魔の森の方向に向かって小走りで出発、 一応ミラの姿が見えなくなってから隠蔽して空路で帰宅
さて、この魔力の濃い森の中でトマトが普通に育ってくれるか試さないとな。 農業の知識がもっとあれば良かったんだけどこればっかりはなぁ… サラリーマン家庭で生まれ育てば縁はないもんな しょうがないからまずは植えてみてから考えよう
その後は畑の世話をしつつミラに対人戦闘…といっても、結局やる事は 相手にビビらない事なんだよな。 魔物と違って言葉でも攻めてくるから それにビビって固まってしまわないようにしないといけない。 慣れていないと、睨まれて怒鳴られたらビクってなっちゃうからね。 後は人間の急所、これを少しでも知っていれば殺さずに無力化が可能になる。 主に男なら股間とか鳩尾への打撃とかね
それ用の警棒のような武器も作って持たせてみた。 ミラは十分素早い動きが出来るから、 武器を持つ手を攻撃して叩き落し、その後で鳩尾を突くなり股間を蹴り上げるなりやれ! と言ったら 非常に嫌そうな顔をしていた
稼ぎを奪おうとする盗賊や、若い女を売り物にする奴隷商人とかから身を守るためには覚えておいた方がいいだろう。 一応王国法では 正規なのは犯罪奴隷のみで、借金奴隷はグレーゾーンになっているが 割と横行している。 借金奴隷と見せかけた強制奴隷は、主に野盗などの犯罪者が拉致して売り飛ばすっていうのが各地で起こっている
そんな連中から自衛できるようになれば安心できる。 やっぱり現代日本じゃ奴隷とかフィクションでしか聞かないし、その内容もひどい物が多いから 奴隷なんて言葉を聞くとイラつくよね
そんなこんながありつつ、 夕刻にクリモの組合に来ていた。 目当ては獣人達のリーダーのガッシュだ 狼系の獣人で、速さを身上としつつも、筋肉質でゴツイ体格をしている。 早速ガッシュが現れた
「ガッシュ 今帰りか?」
「あ、トーヤさん 今日は買取りしてもらって終わりですね」
「ちょっとガッシュに頼みがあるんだあよ、話を聞いてはくれないか」
「もちろんいいですよ! って、俺だけですか?」
「うん、見た目が凶悪そうなのガッシュが一番だからな」
「なんですかそれ、ひどいなぁ」
「買い取り済ませたらいつもの店に行こうか、話すだけなら全員連れてきてもいいぞ。奢ってやるし」
「わかりました!急いでやってきます!」
いつもの店に全員集合
「それで…凶悪そうな俺が何をすればいいんです?」
「いやね、 今ちょっと色々仕込んでる弟子みたいのがいるんだけど、17歳だったかな?…の女なんだけど」
「ほぅほぅ」
「対魔物の戦闘ならそこそこできるようになったから、対人戦闘を教えているんだけどな。 やっぱりこう…相手が盗賊だったり犯罪者になるだろうから、仮想敵をやるのに俺じゃ見た目の威圧感が足りないと思ってな、 それでガッシュに指導員をやってもらおうと思ったんだよ」
「なる…ほど? なんか納得したくはないんですけど」
「なーに、ただちょっと睨みを利かせながらオラオラやって稽古をつけてくれればいいんだよ」
「いやまぁ、トーヤさんの頼みなら断りませんけど…俺だけでいいんですか? ほら、他にも強面がいますよ? 何種類か揃えた方が良くないですか?」
ガッシュが道連れを作ろうと仲間の方を指さす
「ちょっとガッシュ、アンタより強面はここにはいないよ!」
「ミューは黙っとけ! あ、トーヤさん ミューなんかどうですか? 威圧感のある女性にも慣れておかないと!」
ミューと呼ばれた猫系獣人を見てみる、 うん 確かに姉御って感じで雰囲気あるな
「アタイは構わないっすよ トーヤさんの役に立てるならむしろやりたいっす」
「そうか? それじゃあ頼もうかな。 いつ頃動けるようになる?」
「もう明日からでも構わないですよ。 狩りの方は皆順調ですから」
「そうか?んじゃ2人、 今から俺の家に来るか? そして明日の朝一番でルインズに向かう」
「もちろんいいですよ!」
「それじゃあ悪いけど、出かける準備を頼む」
「「はい!」」
よしよし、稽古の相手ゲットだぜ