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魔の森では含有魔力量が多いせいか 非常に高い効果を出す優秀な薬草や、そこに暮らす魔物達の肉質も優れているらしく 森の浅いところでは頻繁に狩りが行われている
それらの素材を買い取り収集しているのが冒険者組合 この組織は国境を越えて活動できるように現存する3国により承認され、各国に加担しない中立組織をうまいこと実現していた。まぁ一部腐った役人はいるみたいだが
この冒険者組合が主導して、野菜などの輸送、各商人への販売、そして冒険者からの買取と業務は多岐にわたる
そして冒険者の活動の指針となるのが冒険者ランクだ
ランクは12歳以下のGランクから始まり、新人のF~最優秀のAまであり 戦力だけでなく知識や賞罰も考慮され、ただの脳筋だとC以上に昇級できない仕組みができている
魔の森は外縁でEランクパーティ推奨となっており、中に入るほど対応ランクが上がっていく。ぶっちゃけ中心部はAランクのみで編成されたパーティ15~20人が推奨だが、現在登録されているAランクは8人しかいない
なるほど 誰も来ないわけだ
そして強さを比べるとなると…この世界の全人類種を相手にしても女神アイシス1人で制圧が出来るという
そのアイシスと同レベルが1万人いても神王エメリアには勝てないらしい
余談だが、全ての世界で最も強いのは天界序列1位の天使イクシードだそうだ やや劣る感じでヴァイスとフィー この2人は同格らしい
そしてエメリアが続くらしい そしてそして!イクシードとヴァイスの魔力を受け取った俺は…魔力だけなら世界一 宇宙一 誰よりも多いらしい わーお
この世界の宗教は女神アイシスを祀るアイシス教のみらしい 教義としては、大地の実りを大事にという事で この世界の戦争に火計は使われない。
使って大地を破壊しようものなら神罰を落とすらしい こわっ
とりあえず大雑把だけど この地の世界観はこんなもんかな
次はっと
「魔法について聞いてもいいかな?」
「なんなりと」
「まず、この翼を隠す事が出来る魔法はある?物理的でも見た目だけでもいいんだけど」
「ございます 空間を処理する方式で物理的に隠せます」
「おっ ぜひやり方を教えてほしい!」
「承りますが…管理の知識についてはいいのでしょうか?」
「それについては申し訳ないけど、今まで通りやってくれないかな こことは違う異世界の出身者だから考え方が全然違うと思うんだよね」
「それはそうでしょうが」
「だからアイシスさんに今まで通りやってもらって、気づいたことがあったら口出しさせてもらうよ」
「承りました 後、私の事はアイシスと呼び捨てにしてくださいますよう」
「うーん…個人的には馴染みのない人を呼び捨てにする習慣はないんだけど、まぁわかったよアイシス」
「では、隠匿魔法について説明します」
うん 隠匿魔法ってのは背中から翼の部分のみを亜空間にしまい込むという単純な物だったのですぐ出来た。
これで本格的に異世界デビューだな まずは冒険者登録してお金を稼ぎ、野菜や果物の種集めを当面の目標にしよう
あっと忘れるところだった
「後は転移魔法についてなんだけど、以前住んでいた国に行きたいんだよね」
「残念ですが、界渡りについては魂に制限があるため一部の例外を除き 一度出た世界に戻ることはできないのです」
「あらら、戻れないのか… で、一応聞くけど例外とは?」
「自分の魔力を込めた魔導具を設置して転移点を作る事、そこに暮らす生命に自分の魔力を宿す事、後は例外中の例外として 私たち神族の王『時間と空間を司る神』エメリア様のみが任意で転移できる事…くらいでしょうか」
「前住んでた世界でさきにやっておかなきゃいけなかったって事なんだね…残念だ でもあれ?それだとヴァイス達はこの世界から出て行ったから、もう来れないって事?」
「いいえ あの方達とトーヤ様は魔力の繋がりがありますでしょう?その…魔力の譲渡とか キ…キスで繋がりができてますから」
アイシスが少女のように頬を染めながら言う キスで照れるなんて若いのか?
「あー あのキスはそういう意味があったんだ…なるほど エメリアさんにくっついて移動とかって?」
「エメリア様だけが移動してしまって、本人以外は残されるそうです」
「なるほど…都合よくいかないってわけね しょうがないか」
残念だけど日本に戻ることはできないらしい まぁ見た目が多少変わってるし若返ってるし どの道日本で暮らしてはいけないんだけどね
免許証の写真とあからさまに見た目が若返ってたら面倒なことになるのが目に見えてる
身内には悪いけど失踪したって事で割り切ってもらおう
「後…一応なんだけど 世界の管理ってのは一体どんな事をやってるの?」
「我ら神族の使命として、大地の成長を見守る事を重要視し 地脈の調整、自然に出来てしまう空間の裂け目の除去などをやっております。なかでも重要なのは、知恵のある人間種が空間の裂け目を人為的に作り出し、世界線を越えて生命を呼び込む 所謂『召喚』を行う事があるのですが、ごく稀に我々の管理していない世界から邪悪な者を呼び出してしまうことがあるのです。 それが大地を破壊し、汚し、大地そのものを殺してしまうことがあるのです」
おおう これは聞かない方がよかった案件かもしれないな どこの世界でも環境破壊は人間の仕業なんだね
「邪悪じゃない召喚もあるって事だよね?」
「はい、世界線を越えた魂と肉体は 通常の人間種を越えた力と精神が宿ります。その者らを勇者や英雄などと呼び、戦争に利用したという事は過去に数度ありましたね」
「兵器扱いなんだ…ひどいもんだな そんな場合はお仕置きとか?」
「いいえ、基本的に人間種が何をしてどうなろうとも我々は関知しません 森に火を放つとか水源に毒を流し込むとかであれば罰を与えてますが」
「そうなんだ とりあえず今聞きたい事はこんなもんかな、それじゃあ今まで通り管理はよろしくね」
「あのっ 私とも魔力路の開通をお願いしたいのです」
「ん?開通って…まさかキスとか?」
「い、いいえ 魔導具で出来ます。このブローチを衣服のどこかに付けてもらえれば それを経由して魔力路が繋がります」
「繋がったらなにかあるの?」
「トーヤ様と離れていても魔力路を通して会話できたり位置情報を共有できたりします」
「なるほど了解したよ」
これはアレだな? アクセサリ枠でブローチを装備した!って感じなのかな