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王宮内の客間に国王陛下、宰相、騎士団長が並び 向かい合う形でラジウスは座っていた

「バートリー伯、この度の愚息の行為は謝罪して済む問題じゃないのは十二分に承知しているが、どうか謝罪の言葉を聞き届けてほしい」

「我らの息子達はすでに王都から追放処分としてこの町を出ているが、諜報員を放っているので居場所はいつでも掴める。 もし報復を考えているのならその情報を出す用意はある」


宰相と騎士団長が揃って頭を下げてきた。 とはいえ、ラジウスは背後に帝国が絡んでいるのを知っているため、今更それぞれの息子に報復などどうでもよかった


「別に報復など考えてはおりませぬ、しいて言うならば 王家の側近でありながら容易く魅了されたという愚行を二度と繰り返さぬよう努められよ。 我が娘が味わった屈辱については慰謝料…という形で受けましょう」

宰相と騎士団長、そして王はそれを聞いて安堵したが同時に不安になった。 自身の娘があれほどの恥をかかされたというのにずいぶんと落ち着いているからだ

「バートリー伯よ、そなたは今回の事件についてどう思っておるのだ?」

「今回の事件について…でございますか」

王の問いかけにどこまで話すべきかを瞬時に考える。そして帝国の陰をチラつかせる程度の情報くらいは与えてやろうと判断した

「そうですね、首謀とされるリーナとかいう平民と 王都内に潜伏していた帝国の間者がすでに王都を脱出しておりますが、その間者を数名捕らえて問いただした所 王国内部の混乱が目的だったようですね」

「なんと!間者を捕らえたと申すか。 その者らはどうしたのだ」

「あらゆる手段を用いて問いただした結果、すでに全員死亡しております」

「ふむ、そうか。 我が国を混乱させてからどうするか…という情報はあったのか?」

「いえ、そこまでの情報は持たされていなかったようです。 ただ、まだ数名の間者が王都内に潜んでいるようです」

「うむ、では第4部隊に間者の捜索をやらせるよう手配しろ」

王が騎士団長を見ながら令を出すと、騎士団長は頭を下げて部屋を出ていった


こうして話し合いは終わり、ラジウスは早々に王都を引き上げて領都に戻っていった



ちょうどその頃、領都の防衛用の砦の地下でリーナを拷問していたアリーナが砦を出て伯爵邸に向かっていた

「思ったより簡単に壊れてしまいましたが、かなりスッキリしましたわ。 これもトーヤ殿のおかげですわね」

「あらあら、ここ数日の貴女はなかなか怖い顔をしていたわ。 そろそろ止めないと貴女まで壊れてしまうかと心配していたのよ?」

「大丈夫ですわお母様。 これでも伯爵家の長女です、あの程度でどうにかなってしまう程軟弱ではありませんわ」

「まぁ! なかなか言うようになったわね」


2人が出ていった後、砦では大掃除がなされ 5人の死体は焼却処分されたのだった



「あっ トーヤさんちょっとちょっと!」

組合に入るなりジルが呼び止めてきた

「なんだい? 何かいいネタ仕入れたのかい?」

「うんうん、聞きたいでしょー?」

そう言いながら手を出してくる、 これは…オネダリされている訳だね。クッキーの入った小袋を革袋から出して見せてやった 

「おもしろい話ならいいんだけどねぇ。 どんな話?」

「ちょっとー ほら、前払いするくらいの男らしさを見せる時だよー?」

「それは男らしさと違うでしょう、まぁいいけど」

「ありがとー それでね、最新の情報では… やっぱり第二王子と取り巻きは魅了されてたみたいだよー。 王都中その噂でもちきりだった所に第二王子の王位継承権が剥奪されて、取り巻きの2人は貴族籍剥奪されて王都を追放されたんだってー」

「あらまぁ、国の警備体制に大きな問題があったから起きたことなのに 3人に責任かぶせて収拾させたってかい、王家の行動もずいぶん雑なんだな」

「ねー ホントそう思うよ。 平民の女生徒も行方をくらませたらしいし、警備も雑なんだろうねー」

「そっかそっか、 また何かあったら教えてね」

「うん、まかせてー」


そうかそうか 継承権の剥奪に追放で済ませちゃったか。 身内に甘すぎる権力者は民に嫌悪されるもんなんだけどな、 そこら辺の考えが安直なのは当代の王はたいした奴じゃないって事だね。 俺が手を出さなかったらこの国はどうなっちゃってたんだろうな…怖い怖い

色々と考えながら商店を巡り、在庫薄になっていた小麦を仕入れる。 ハンバーガーがマイブームとなっており、消費が激しかったのだ。 ジャンクフード最高だ!


一度自宅に戻り、ハンバーガーを作ってから伯爵領領都に向かった。 拷問の結果を聞くためだ まぁ下っ端が知ってる事なんて大した事じゃないんだろうけど、知らないよりいいかなー程度の好奇心で聞くことにしたのだ


隠蔽の使い方にも随分と慣れ、今じゃ流れるように町に空から侵入し 物陰で隠蔽を解除、伯爵邸に向かった

「やあ、伯爵に取り次いでもらえるかい?」

赤い彗星なマスクをしていても平然な顔をする衛兵に感心しながら声をかける

「はっ 応接間までご案内します」

うん、話が通っていると楽でいいね。 さてさてどんな話が聞けるかな?

衛兵の後について伯爵邸の中に入っていった

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