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そういえば 見た目の変化だけど…
黒髪は変わらず 身長は少し伸びて180センチくらい 細めの体格だけど筋肉質 肌の色はやや浅黒で、20代前半くらいに見える容姿
新築の自宅で初めて風呂に入った時まじまじと見つめてしまった
この若返ったような肌の張り艶 いいんじゃない?これ
ヴァイスはだいたい1200年くらい生きてるって言ってたけど それに比べると45歳って赤子同然だな
よし 今日も魔法の試行錯誤しなきゃな
翼を隠せるようになったら町へ行って畑にまく種を買うんだ! あ、買うためにはお金がいるのか…
魔物狩ればいけるかな
雑念を抱きつつ修行に励むのだった
2か月が過ぎた
光学迷彩魔法は進展無し がっかり
防壁の内部は、種が手に入ればいつでも植えれるように整備して放置…
唯一植えている金色のりんごっぽいやつ10本、どういう訳かもいでももいでも毎日実がなる 普通においしいためほぼ主食になっている
水を撒くときにちょこっと魔力を込めると実が更に艶々して良くなったので日課に追加
住んでるマイホームの他に、一応来客用の小屋を建ててみた
この森に漂う魔力をどうやら吸い込んでるらしく、全然空腹感がわかないけど やっぱ気分の問題でりんごや、外に出て牛っぽい魔物を狩ってきたりして食べている
ぶっちゃけ日本人の肉体労働系の会社員が捌き方なんて知ってるわけもなく、手探りでいろいろな部位を無駄にしながら覚えてきた
ただ焼いただけから始まった野生の料理は、りんご汁を漬け込んで焼いてみたり いい匂いのする葉をまぶしてみたり、その葉を乾燥させて粉末にしてふりかけてみたりして なんとか味付けにも成功していた。
そして今日も光学迷彩魔法の研究 この2か月、色々試してみた結果 偶然空間魔法と呼ぶべき現象を起こせるようになった
普通に何もない空間に切れ目を入れ、亜空間と言えるような場所と繋げることが出来た
偶然の産物だが亜空間に物をしまい込めることが分かって、荷物や狩った魔物などを隠しておけるのだ。どうやら亜空間の内部は時間の流れが違うようで、沸かしたお湯を入れて3日後に出してみたけど全く冷えてなかった これはゲームやアニメによくある収納系みたいに使えるだろう
同じようなやり方で空間と空間を繋げることにも成功していて 所謂空間転移もできるようになった
この空間転移に限っては、繋げた先の座標が必要で 行ったことのない場所には繋げられないようだ
「うーん…日本の座標がいまいち掴めないな もう2か月過ぎたから電気とか止まってるかもなぁ、それよりも住んでたアパートの解約しないと親兄弟に迷惑かかるかもなー」
転移魔法を覚えたことにより、なんとか日本とのルートを開拓して後始末をつけたかった
たしか契約の時に勤務先とか書いた覚えがあるから会社にも連絡いきそうだな…というか無断欠勤だな
ヴァイスとともに移動する前に片付けておけばよかったとトーヤは天を仰いだ
「ん?」
突然空間が揺らぎ、魔力の流れを感じた。 この魔力は…
その揺らぎから出てきたのは神王エメリアともう1人…誰だ?
「待たせたようだな、紹介する この者がこの世界を管理してる神族のアイシスだ」
銀髪巨乳の美人さんなのに相変わらず重役のような偉そうな喋り方…
「この地を管理しているアイシスと申します。トーヤ様のお噂は聞き及んでおります それでは引継ぎをしたいと思います」
なんとアイシスの髪の毛が水色だ…さすが神族? しかしこれもまた美人だ、美人しかいない世界なのか?
まぁ他人事だしいいか
「はぁどうも、ある程度の話さえ聞ければ引継ぎとかしなくていいっすよ?管理とかやりたくないんで」
「ならばどうだ? いっそアイシスをそなたが従えて、共に管理すればいいのではないか?」
「ええ?」
エメリアがなんかとんでもないことを言ってきた 自分の束ねる種族の者をあっさり他人に任せるとか、神族に人権はないのか
「アイシスよ、お前は今よりトーヤ殿の配下となり 誠心誠意努め上げよ」
「その令承りました トーヤ様、今後ともよろしくお願い致します」
「はい?なんでそうなるの?」
「まぁいいではないか、これを機会に我ら神族との深い繋がりができれば今後も更に友好的になれるだろう」
「まずはアレだ お試しでいいかな?」
きっぱりと断われなかったのは、この2か月1人で暮らして…はっきりいって会話に飢えていたからだ。こればっかりは2か月じゃ慣れないよな…
「まだ引継ぎが終わってないのでな、今回はこれで失礼する。 アイシスよ、後は頼むぞ」
「承りました」
エメリアが姿を消した
「それじゃまずは、この世界の有り様について教えてもらえるかな?」
とりあえずできることを確認しておくか
アイシスが言うには この世界は大きな大陸が1つあり、その他は大小様々な島があり ほとんどの者が大陸で生活しているとのこと なぜなら船の発展が進んでいなく、海にも魔物がいるため海洋進出する者が全然いないそうだ
とはいえ、例外は多少いるらしく 近海の島などは発見探索されているそうだ
今いる森は大陸の中心から見てやや北西に位置しており、この森林地帯の直径はおよそ500㎞ 外側はまだ若木が多く今もなお広がってるという
森から見て西側、俺が海から入ってきた土地がカインズ帝国が大陸のおよそ4分の1を領土としてる軍事国家で、100年ほど前に起きた大戦で西側に追いやられたそうだ
人間至上主義で人間以外の種族 エルフやドワーフ 獣人などに人権を認めていない
森から南側にアルカイト王国 こちらも大陸の4分の1を領土にし、帝国との国境付近では常に小競り合いが起きている。 この国は100年前の大戦で対帝国用にエルフなどの亜人達を戦力として登用しており、その名残で種族間でのいざこざは少ない
当代の王が凡庸で じわじわと帝国の侵攻に後れを取っており領土を失いつつある
森から東側 100年前の大戦で名を上げた地方貴族が独立し、複数の貴族達で手を組み アマンダ連合国を立ち上げ現在に至る こちらも中央付近から東側へ領土を持ち大陸の4分の1を保持している
北側は永久凍土があり、森まで南下しても気温が上がらず 農業に不向きなため上記の3国からも放置されており、少数民族が暮らしている程度だという。
そしてこの森 大陸を渦巻く魔力の流れが滞る場所で空気中の含有魔力量が多く、その魔力の中で生きている魔物達はそれを吸収し強い個体になっていくため 人間種では太刀打ちできない『魔の森』と言われてるそうだ。