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翌日
余計なお世話かもしれないと思ったけど、魔の森産の薬草を持って組合に顔を出した。ロスターの
所に行って先ほど採取した薬草を出す
「おはよう 昨日の女の子、容態はどうだい?」
「おはようございます 夜には意識が回復しましたが、一応そのまま泊まってもらってます」
「そっかそっか この薬草使っていいから治療してやってくれる?」
「え?この薬草使っても…? これなら中級ポーション作れる薬草ですけど」
「まだ若いのに後遺症とか残ったら可哀そうじゃん。俺は女の子には優しいからさ おっさんならやらないけどな」
「あはは そうですか。それならわかりました 3分の1もあれば治療できますので残りは買取しますね」
「ああ、うまいことやり繰りしてね」
魔人になって見た目が若返ってるけど、これでも二児の父だったんだ。若い子が怪我で苦しむ姿はあまり見たくないってのが本音。 ま、元気になってくれればいいな せめて角うさぎに負けないくらいに…
今日は組合の資料室で、魔物の出没情報、買い取りできる部位、薬草や食べれる物の分布なんかが分かればいいなと思ってる。 後は魔導具についても何かわかればいいな、アイシスに聞くと極端な例ばかりだから 世間一般での認識やなんかもわかればいい
昼を告げる鐘が鳴っている。 思ったより熱中していたようだ 魔の森の資料に、北側の深部に生息する巨大な蜂の魔物がいるらしく、その蜂の集める蜜が絶品なんだって書いてあった。 これは取りにいかないとダメだな
確かに森の北側は全然行ったことないからどんな魔物がいるか知らないからな…でも資料にあるって事は、その蜂蜜を手に入れるだけの実力を持った奴はいるって事だもんな。
実際先日、獣人達も東側だけど深部まで来てたしな、聞いた話じゃ25人で来て 8人しか生き残ってなかったけど… その8人も俺が行かなきゃ死んでただろうし 俺の家に辿り着ける者はなかなかいないんだな
バタンっ!
勢いよく資料室の扉が開いた
ん?と思いながら音のした方を見ると、昨日の女の子が立っていた
「お?もう歩けるようになったのか そりゃ良かった」
「あの!昨日はありがとうございました! おかげですっかり回復しました! 私はミラといいます! それで…あの、薬草代なんですが…」
「ああ、俺はトーヤ アレは物のついでだったから気にしなくていいぞ そんな事より角うさぎなんかにやられてんじゃねーよ」
「あれは…その、不意を突かれちゃいまして 面目ないです」
「油断すんなって事だな 今回の事は良い経験をしたと思って次に活かせよ」
「ホントそうですね あのまま誰も来なかったら昨日の時点で私、死んじゃってますもんね」
「その通りだ。 1人で回るんだったら休む時は木に登るとか工夫しないとだな」
「ホント気を付けます」
「そうしてくれ んじゃ俺はもう行くから、頑張れよ」
「あの!また会えますか? 今はちょっとお金がないのでお礼とかできませんが、次に会うことがあればその時にご飯でも…」
「ここの組合にはちょくちょく顔出してるから、縁があれば会えるんじゃないか? 後、稼ごうとするのはいいけど無理はしないようにな」
「じゃあ次に会えた時にはぜひご飯でも!」
「そん時にはご馳走にでもなるか」
「はい! では気を付けて!」
ミラと別れて組合を出る なかなか元気な娘だったな、真面目そうだし コロっと騙されそうで怖いけど、今の所 この町で頭の悪そうな奴は見てないから大丈夫かな
露店で串焼きを買って亜空間倉庫に入れ町を出て南の森へ向かう 明るい時間は森の中から急上昇して行くと見つからずに離れることが出来るので、そのまま自宅に帰る
「アイシス、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな? あ、これ町で買ってきた串焼き 食べてね」
「いつもありがとうございます それで、聞きたい事とはなんでしょう?」
「2年後に帝国に神罰を与えるって言ってたじゃない? だからそれに合わせて奴隷になってる者たちを解放させようと思ってさ、帝国の使ってる隷属の魔導具を解除、もしくは無力化させる方法はあるかなーと思ってね」
「なるほど、基本的に魔導具というのは 使っている魔石のキャパを超える魔力が注ぎ込まれれば魔石が割れ、その機能を停止します」
「ふむふむ」
「現在使われてる隷属の魔導具だと、恐らく低級上位か中級下位の魔物の魔石を使用して、空気中の魔力と 魔導具を付けられた者の魔力を吸い上げて機能する物なので、元々魔力の少ない獣人達には割れるほど魔力を注ぎ込むことはできないでしょう」
「その魔石を壊すための道具を作るとしたら?」
「先日作った発信機能の付いた魔石のように、トーヤ様が上級魔石に魔力を注ぎ込み 隷属の魔導具に触れさせれば吸収しきれずに割れる事でしょう」
「なるほどね、それじゃあ上級魔石を10個くらい用意して どうせ俺も召喚された者を確保しに帝国へ行く予定だから 俺が直接壊すのも有りだな」
「その時は私も行きますのでお手伝い致します」
「そうかい?まぁまだ2年後の話だから急いだもんじゃないけど、俺も少しずつ準備するよ」
「承知いたしました 私はトーヤ様の配下でございます。お言いつけ下さればいつでも動きますので」
「そういう堅苦しいのは望んでいないけど、手を貸してもらえるのは心強いと思ってるよ」
とりあえず魔石に魔力を込めるのはまだしない方がいいな、他にもいい方法があるかもしれないしね
畑の様子を見に行こう