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さて、クリモの町で結構お金を使ったので補充しておかないとな

いつもの角と牙を…今日は少し多めの10セットずつ持っていこう すっかり行き慣れたルインズの町

商店露店もほぼ網羅し、どこに何が売ってるかは大体把握している

組合では相変わらず依頼は一切受けないで角と牙ばかり買取してもらってるだけなので、イケメンエルフのロスター君と総合受付のジールとしかまともに喋っていない。 喋ってないだけで、他の受付嬢にはジール経由でクッキーなどのお菓子は行き届いてるらしく、俺がジールの所に行くと鋭い目線が送られてくる事がしばしば

ジールも性格上、遠慮しないで『あれくれ これくれ』と 当たり前のように注文を付けてくるので意外にうざい。 顔に出さないように心がけてるけど…


「おはよー これよろしくね」

組合に入るとまず、ロスター君の所で買い取りをしてもらう

「おはようございます 少しお待ちください」

イケメンエルフは今日も丁寧な言葉使いで対応してくれる。 しかしかっこいいなこのエルフ、さぞかしモテるのだろうと予想

お金を受け取り総合受付に移動。 ジールが待ち構えている

「おはよートーヤさん! 今日は手ぶらかなー?まさかねー」

他の受付嬢もなにやら様子を伺っている雰囲気を出している

「いやいや、俺を何だと思ってるわけ?」

「変わってるけどおいしい物を作る人ー?」

「ひどい言われようだな… ただ円滑に物事を進めたいから賄賂を渡してたつもりだったんだけど もう必要ないかな?」

「そんな事言わないでー ちゃんと期待に応えるからクッキーをもっと」

他の受付嬢も一緒に頷いている

「しょうがないなー」

クッキー20個ほど入った袋をテーブルの上に出すと すごい速さで持ち去っていく

「いつもありがとねー これおいしいから好き」

そりゃぁ砂糖が高級品のこの世界で、甘いクッキーは多分どこ行っても手に入らないんだろう。俺は甘い物も好きだったから自作クッキーは砂糖多めに入れるからね

「なんかおもしろい話とかあるかい?」

「噂じゃ王都の貴族学園のパーティで第二王子が婚約破棄したとかって話を聞いたかなー 公衆の面前で婚約破棄とか常識を疑っちゃうよねー」

「そんな話は心底どうでもいいわ…」 


特におもしろい話を聞くこともなく組合を出る たまには南の森に行って木の実でも拾ってくるかな

クルミとかあればクッキーが更においしくなりそう


と、思ったけど そんな都合よく見つかるわけもなく、奥へ奥へと入って行くと 返り血を浴びた角うさぎがいた

角が真っ赤に染まり、額の毛にも血がついていた

「おいおい、コイツに誰かやられたのか? 血がまだ乾いてないっぽいから被害者はこの辺にいるのかも」

俺に向かって飛びかかってきたのでとりあえず叩き落すと、角うさぎが出てきた方へ進んでみた


木の陰に人影を発見、近づいてみると 太ももを真っ赤に染めた人間種の15~6歳くらいの女の子が座り込んでいた

「おい大丈夫か? もしかしてコイツにやられたのか?」

先ほど叩き落した血濡れの角うさぎを見せる

「大丈夫じゃないです…」

出血のためか顔色が悪く朦朧としてる感じだ

「ほれ 下級ポーションだけど、無いよりはマシだろ?使いなよ」

ポーションの品質を調べるために購入していた下級の物を渡す

ポーションには下級、中級、上級と3種類が組合で売り出されていて、下級だと軽い切り傷などに使い、1個銀貨1枚。中級はかなり重度の切り傷などにも即効で効く 1個金貨1枚 上級は指などが切断されていてもくっつくほどの効果で 1個金貨80枚

正直角うさぎとの戦闘で下級ポーションを使うようなら間違いなく儲からないし、この子の傷はどうやら角が太ももを貫通してるみたいなので、ぶっちゃけ焼け石に水状態だね。でも使わないよりマシって感じ

消毒の効果もあるので、半分は飲ませて 残り半分を傷口にかける 

「ありがとうございます」

朦朧としているけどちゃんと受け答えはできるほど意識ははっきりしてるみたいだ

「ここで見捨てるのも後味悪いから、町まで運んでってやる 荷物はここにあるだけか?」

「はい、なんかすいません」

「町に戻ったらちゃんと治療しろよ」

「わかりました…」

ポーションの効果で出血は少し収まってるようだけど、一応縛り付けて止血をして背中に担いだ

「揺れるけど我慢しなよ」

返事がない 気を失ったようだ。 気を失ったんなら見られることもないし、少し急いでやるか

人間1人担いで走るくらい大した労力じゃないので荷物を落とさないよう気を付けながら森を出た


「森で見つけた怪我人だ どこに連れて行けばいい?」

門衛に声をかける

「組合に連れてってやってくれ 治療所があるから」

「わかった」


一応変に思われない程度の小走りで組合に急ぐ


組合に入って総合受付のジールの元へ向かった


「怪我人を連れてきたんだけど、どうすればいい?」

「あらー こちに治療室があるからそこまでよろしくー 先導するよー」


女の子を治療室のベッドに寝かせるとジールが声かけてきた

「どういう状況だったのー?」

革袋から血濡れの角うさぎを出して見せた

「コイツにやられたみたいだな 会った時は意識はあったんだけど、途中で気を失っちゃった」

「わかりましたよー 怪我人の救助に感謝しますー」


角うさぎに後れを取る程度なら、中級ポーション買うのは厳しいかもしれないな…とりあえずこれ以上はやる事はないな

角うさぎをそのまま買取に出して今日は戻ろう

 

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