「ゴッドファーザー」と「パリは燃えているか」の曲の比較
ウィキペディアによると、『映像の世紀』というNHKのドキュメンタリー番組は、戦後50年と、NHKの放送開始70周年、そして映像発明100周年と銘打たれて制作、放送された。
その主題曲「パリは燃えているか」は日本の作曲家、加古隆の作であるが、私はこの曲を、自分の内で秘かにニーノ・ロータの「ゴッドファーザー」と比較して、それに匹敵する秀作と位置づけている。
ニーノ・ロータといえば、古くはフェリーニの「道」や「太陽がいっぱい」、その後は「ロミオとジュリエット」などの音楽を手掛けた巨匠で、果たして私の内でのこの比較が、公正な比較として成り立つのかどうかはいささか疑問だが、「パリは燃えているか」はそのドラマチックな曲想、劇的に映像を盛り上げる効果、そして高い完成度、どれをとっても決して当時の「ゴッドファーザー」にひけをとらないと私は思っている。
唯一、大きな違いは片方は大ヒット映画の主題曲として世に出、「パリは燃えているか」は、地味なNHKのドキュメンタリーのテーマ曲であったということだ。
もしこの曲がもっと話題性のある映画の主題曲であったなら、これは遠く海を渡り、世界中の人々に愛されていたかもしれないと私は思うのだ。
「パリは燃えているか」ーー本来これは1966年のアメリカ、フランス合作の映画で、作品の最後、無線から響くヒットラーの言葉から取った題名だったと記憶しているが、そういう安易なタイトルのつけ方だけが、僅かに惜しまれる。