幸の薄いお前の始まりの話
エピローグ
幸の薄いお前の話
私は驚くほど非常に幸が薄く、今日は晴れてるから傘はいらないだろうと折りたたみ傘を置いていくと必ずと言っていいほど帰ろうかなという時に限って大雨が降ったり、こちら側は特に面識はないはずなのだが相手から勝手に好かれてストーカー被害にあったり、待ち合わせの日に限って張り切って早めに出たはずなのに電車が人身事故などで遅延し遅刻してないのに遅刻になるなど、こんなことが続きまくった結果、学生時代でのあだ名は幸薄と呼ばれていた。
そんな効果もあってか現在社畜歴三年目の私であるが、社内でも女が極端に少ない部署で肩身の狭い部署ではあったが、勝手に健気に(こちらは野郎どもについて行くために死ぬ気でやっているんですがね!)働く若い子たまらん精神なのか上司に働く姿を気に入られ、この度憧れの都内店舗勤務となった。
所謂出世ルート突入といったところである。私は目立ちたくないのに出世なんてなんて迷惑なんだと私は思った。
まず私自体が田舎の店舗配属だったので都内勤務となると今まで片道20分だったのに片道2時間以上かかるのである。え?引っ越し?実家サイコー!!なので絶対に嫌です!
通勤時間伸びるだけでなにもいいことがないと言うのに行けという上司は鬼畜である。もはや軽い旅行じゃないだろうか…?これ行き帰りに映画見れちゃうよね??なんて無駄なの…行き帰りも勤務時間にならないかしら。
近場でお高い給料だけくれるだけでいいのに、出世ルートなんて茨の道進みたいと思いますかね?私は少なくともそんなサクセスロード辿りまっせ!な華々しい出世は特に望んではいないしむしろ行きたくない…でもこれを断るとこれまた「行きます」というまで説得され無駄な時間を食うのが目に見えていたので渋々承諾したのである。ある意味幸が薄いというべきなのか…出世欲がある周りの人達から見れば贅沢な悩みである。
ん?なんでそんな場所で働いているかですって?よく聞いてくれました!!!貴方優しいですね!
芸術系の大学に進学した弊害というべきだろうか、募集してる就職先がかなり限られているのだが、職種をよく見ずに初任給の高さだけでこの職場を選んだのである。本当にアホである。
面接時に「志望理由は給料が高いからです!!」と素直な感想で志望理由を言ったら面接官から「君!いいねぇ!!!その変人っぷり最高!!!採用!!!」とまさかの高評価でトントン拍子で決まった職場であるが、そういう面接官が人事をしたのだから当然のごとく変人の溜まり場になっておりもはや日本中の変人を集めているんじゃないか?と言わんばかりに変人が多く、しかも仕事は目で見て盗みな!心で感じろ!!という無茶苦茶な弱肉強食な体育会系の職場だったことに気がついたのは入社後であった。正直とても後悔しました。はい。猛反省しておりますとも!
田舎の店舗ですら弱肉強食がすごいというのに、都内店舗なんて出世欲の塊達がいる場所で私は生き残れるのかしら…本当に幸が薄いのが憎らしい。
でもまさかこの渋々受理した異動で「君」に出会い、こんな関係になるなんて思いもしなかった。
そんな幸が薄い私の物語、始まります。
初投稿で拙い文章ではありますが、ゆっくりのんびり書いていきます。
次はやる気のない君のパートを書いていきます。