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おっさんが放屁魔法を獲得した訳。

読んでいただいてありがとうございます。




 おっさんは元来戦争とは無縁だった。


 毎日水をやり芋を育てみんなに食べてもらう、そんな田舎で世捨人の様に暮らしていたのだ。


「今日もよく育っているなぁ」


 そんな毎日芋の成長を微笑みながら待ち望む只の人だった。


 プオッ!


 快音を掻き鳴らせて出て来た音はおっさんの屁だった。


 「ははは、良い屁だ! 健康の証!」


 そんな時おっさんはふと思った。


 「……溜めたらどうなるんだろう?」


 それはほんの些細なことだった、溜めたら……我慢したらどうなるんだろうと。


 二日溜めた、良い音が鳴った。 三日溜めた、より大きな音が鳴った。 四日溜めた、重低音がよく響いた。


 「私はいつまで溜めれるのだろうか?」


 そこに気付いたおっさんは天才だった、その日から屁を我慢し始めた。


 だが一向に限界が来ない、スリムだったおっさんの腹はメタボのように膨れていった。


 そうして二年がたった、体型はメタボ、体からは抑えきれない異臭が蔓延した。


 「もう良い気がしてきた……」


 気付くのが遅い、だかこの時おっさんは屁をコントロールすることが可能になっていた。


 「今は456芋程か……」


 おっさんは自分の屁の残量すらも分かる様になった、そうして彼は限界を知る。


 「およそ3000芋分か」


 おっさんの肛門の括約筋は驚異的だった、そしてその限界が漏れた時、男女十人を含む殺人未遂事件が起きた。


 そうしておっさんは勇者になった。


 だがおっさんは戦いに興味が無かった、それもそうだ、おっさんは芋農家であって勇者に程遠かった。


 だからおっさんは戦いを避けてきた、魔族もドラゴンも、そして……魔王も。


 「もう限界だ……」


 彼はパーティーから抜けようと思っていた、だが向こうから追放の憂き目にあう。


 「これも何かの運命なのか……」


 おっさんは最初自分の村に帰ろうとした、だがそこで魔族の少女に会ってしまった。


 そうして肌で感じる。


 私は面白おかしく過ごしたいだけだった。


 屁をこくのも近所の子供が臭い臭いと笑いながら揶揄うのが見ていて面白かったからだ。


 だから、こんなこと間違っている。


 人間と魔族が血を流すなんて。


 「間違っているんだぁ!!!」


 全てのおっさんが保有しているガスを放出する。


 二個食ってちょうど3000、おっさんの最終兵器。



 「カオスティックボンバーぁあああ!!!!」


 


 おっさんの周囲にガスが噴火の様に雪崩れ込む。


 防御不可能の最強の攻撃、そしてその屁をこいた本人は。


 「ちょっくら! 話つけてくるわぁあ!!」


 飛んだ。


 V1ロケットのごとく真っ直ぐに、音の壁を余裕でぶっち切り最高速で。


 人間の首都へ。



 


 王都の上空に未確認の飛行物体が近付く、真っ黄色のガスを噴射して。


 王国の城の真上から降り立った。


 すどぉおおおん!!!


 クレータを作り出しながらおっさんは着地した、この戦争の火付け役。


 王様へ。


 「国王よ、勇者ただいま帰還いたしました」


 煙の中から立ち上がったのはスリムになったダンディなおっさんだった。


 「え? 天井から? は? だ、誰?」


 「この私をお忘れですか?」


 「…………ポッ」


 男でも惚れてしまうほどの美貌を持っていた、おっさんは元々は超イケメンだった。


 「国王様、こんな下らない戦争やめましょう」


 「勇者? あれメタボじゃない?」


 「メタボになりましょうか? 二年程かかりますが……」


 「いや、そっちの方が圧倒的に良い」


 おっさんは国王と視線を合わせ話す。


 「もう一度言います王様、戦争を辞めましょう」


 「……何を言ってるんだ」


 「人間と魔族に違いはない、どちらも血の通った人だった」


 「貴様……誑かされたのか」


 「いえ、私自身世界を見て思ったことです」


 「血迷ったか………勇者にあるまじき発言! 貴様は勇者失格だ!」


 「……仕方ないですね」


 そういっておっさんは王様に背を向けて歩いていく。


 「待て勇者よ! どこへ行く!」


 「王様、私は平和の為にこれからは戦います。 仲間と共に新しく」


 「平和……」


 「そうです、あと事後報告になってすいません。 もう私勇者じゃないんですよ」


 「勇者……じゃない?」


 「ええ」



 ——破り捨てたので——




 そう言って勇者は仲間の元に戻った。


 最南端のオアシス「ベルーシャ」そこには様々な人が住む様になった。


 人間、エルフ、ドワーフ、ドラゴン……そして魔族。


 その影響は既存の魔族と人間の意識改革に強烈な楔を打ち込んだ。


 共存繁栄の立役者になったおっさんは仲間の一人「アイラ」と結婚する。


 そうして世界は、人間と魔族はいがみ合う不毛さを知る。


 互いを知り、違いを知った。


 おっさんの宣言した「恒久平和」はついに実現を迎えたのだ。


 おっさんはアイラと仲間たちに囲まれながら、芋を作って食って屁をして。


 そんな、幸せな老後を暮らしましたとさ。





 勇者パティーンから追放されたわけだが、どうしよう老後の生活考えてなかった。 完

見切り発車だった為、エンドがふやっとして終わってしまい皆様にはご迷惑をお掛けしました。


もしかして気が向いたら、おっさんの建国編とか書くかもしれません。


第三勢力として人間と魔族に真っ向から喧嘩を売る。


先頭に立つは最強で最低な元勇者……あれ?なんか有りかもしれない。



まぁそんな戯言はこれくらいにして、次回作を出すときはまた割烹に記載します。


長編行ってみたいなぁ。

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