表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

おっさん『萌え』を知る。

読んでいただいてありがとうございます。


おっさんジャンルって凄いですね、はぁ〜びっくりした。


 「あ、ありがとうございます」


 そうペコリと頭を下げてお礼を言ってきた少女。


 「気にしなくて良いですよお嬢さん、お怪我はないですか?」


 見た目はこんなおっさんでも紳士なのだ、おっさんだけど。


 「は、はい」


 この歳にして中々礼儀を知っているお嬢さんではないか、やはり人助けはいいものだ。


 おっさんを助けた少女は、いたって普通の少女見えた、だが彼女が立ち上がったときにちらりと見えてしまった。


 「ん? 尻尾?」


 「え……は!?」


 慌てて尻を抑える少女、尻尾が生えているのは魔族の証拠。


 「君はもしかして……魔族?」


 「い、いえ違います!」


 そういって後ろを見せてくれない、代わりに頭が良く見える。


 「あっ……角だ」


 「ひゃあぁあ!!」


 突然奇声を発する少女、なんだろうおじさんには思い当たるものがあった。


 「うーん、あぁ! こういうのを『萌え』っていうんだ!」


 「へ?……え?……萌え?」


 おじさんは手でポンっと掌を打った。


 「おじさん最近の若い人たちとのジェネレーションギャップというものに悩んでいてね……」


 「は、はぁ」


 「おじさん、数時間前にパーティーから解雇されちゃったんだ……」


 「はぁ、まぁそれは……お気の毒に」


 「でね、なんでか原因を自分なりに考えたのね」


 「はぁ(何この流れ)」


 「話がつまらないんじゃないかって、分かったのね」


 「うん(違うと思う)」


 「だから、最近の若者の流行りを知ろうと思って! そうすればまた彼らとパーティーを組めるんじゃないかと思ってね!」


 「……そうですか(無理だと思う)」


 一人拳を握りしめてやる気を見せるおっさん、おっさんとは哀れなのだ。


 「そうだ君、魔族の若い人たちは何が流行ってるんだ?」


 「え?(魔族と人間って仲悪いんじゃ……)」


 「どうした? そんな驚いた顔をして?」


 「い、いえ! (まさか気にしてない?)」


 おっさんは根本的に何もかもを勘違いしていた、人間と魔族は長い間、戦争状態にあった。


 互いにいがみ合い、血で血を洗う残酷極まりない戦い。


 おっさんは勇者になる前、農民だった。


 自然豊かな場所で平和に暮らす一市民だった。


 魔族の特徴も、因縁深い戦いもおっさんは疎かった。


 だからだろう、魔族は単なる外国人程度の認識でしかない。


 勇者継承の儀式の日。


 「そなた達の活躍期待しておるぞ!」


 そう国王様から勅命を下された時。


 アルフレッド(この国を救うんだ!)


 アリス(平和な世のために!)


 マリア(人間の安寧のために)


 サーヤ(……腹減った)


 おっさん(魔王ってなんだろう?)


 論外である。


 「ふむ、取り敢えず芋食うか?」


 「……はい?」


 差し出された芋を受け取る、なんでだろうなんかちょっと温い。


 「おじさんの育てた芋さ! 美味しいぞ!」


 「……ありがとうございます」


 なんだろうこれ……いやマジでなんなのこれ?


 魔族の少女は戸惑いながらもおっさんの芋を齧る。


 「あ……美味しい」


 「だろう! ハハハ美味しいだろう?!」


 愉快に笑うおっさんを見て、少女はなんだかすごく温かい気持ちになった。


 「そうだ、お嬢さん? お名前はなんて言うんだい?」


 「……アイラ」


 「アイラか……ふむ、良い名なのか? 分からん、あれだ……萌えだな!」


 まだその話続いてたんだ。


 「おじさんの名前教えてよ」


 「おっと、悪かったねおじさんの名前はね……」


 ——ファウリンベル・エドワンス・フォン・グレートシュタイナーと言うんだ!——


 なっが!


 


更新は明日にできればしたいと思います。

もしよろしければ続きも読んで下さると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ