ただのおっさんは浮浪者の職業を得る
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完全に私は趣味全開フルスロットルで参ります、大体他の作品読んだら分かります。
勇者パーティーから解雇通達をされて数時間後。
「あ、どうしよ。お金ないや」
おじさんはホームレスに退化した。
「仕方ない、取り敢えず芋食うか」
そうしておっさんはアイテムボックスから芋を取り出す。
何を隠そうこのアイテムボックスは勇者にしか使えないチートアイテムなのだ!
入れてる時に時が経たず、容量は家一軒ほどの物が入るという国宝級のアイテム。
そして更に凄いのが、おっさんはこのアイテムボックスに芋しか入れていない。
おっさんはアナログ人間だった。
「ふむ、芋が後2314個かぁ、不安だなぁ」
十分である。
「仕方ない、ひとっ飛びするか!」
そうやって力むおっさん、何をしているのか聞きたい? おっさんの勇者の力である。
顔面が赤くなる程に力を溜めるおっさん、次第にボルテージが上がっていく。
「来た!キタキタキタキタ!!」
一瞬の爆発音を轟かせ、おっさんの身体が少し浮いた。
プゥー
間の抜ける音とは対照的に亜音速の速さで飛んでいくおっさん。
おっさんは。
空を飛んだ。
「良い景色だ、腹の調子も良い、これなら街まで飛べるな!」
おっさんが追放された理由。
臭い。
この能力のせい。
メタボ。
この能力のせい。
うざい。
それは元から。
兎に角、おっさんは最強にして最低な能力を持っていた。
スキル:放屁魔法。
唯一にして誰も憧れない魔法、彼自身この魔法に気付いたのは結構最近だった。
気付いたのは何気ない日常の中で彼は部屋の中で放屁した。
その時部屋には男女含めて十人いた。
そいつらどうなったって?
全員死の淵を味わった。
その後教会に行きおっさんは鑑定された、そしたら新たに放屁魔法が付いていた。
試しにどれくらい殺傷能力があるのかと、検証することにした。
結果、放屁でドラゴンは殺せる。
おじさんは勇者になった。
勇者に元々選ばれていた若き精鋭たちに混じり、おっさんは頑張った!
もうそれはもう、ジェネレーションギャップとかまじ卍とか色々頑張った。
そして冒頭で解雇通知を食らった。
「おじさん、このままどっか旅しようかなぁ」
屁をこきながら加速するおっさんは物思いに更けていた。
そんな時。
「誰か助けて!」
おっさんの耳に聞き捨てならない声が聞こえた、助けを呼んでいる行かなくては!
勇者として正しい行動である、声の聞こえた方へと放屁転換をする。
「む? あれは」
見えた先には女の子にたかる男どもがいた。
「へへっ、お嬢ちゃんよ! なぁ良いだろう?」
「こりゃ上玉だぜ! 今日はしっぽりと楽しませて頂きますか」
「い、いやぁ!」
「待ちなさい君たち!」
「誰だぁ?」
おっさんは女の子と男たちの間に降り立つ、そう降り立ったのだ。
「へ? 親方ぁ、空からおっさんが!」
「冗談きついぜ、おっさんが空飛ぶわけないだろ!」
「……あなたは」
「おっさんが空を飛んでるとおかしいか?」
みんなしておっさんに視線が集まる、だらしない突き出たお腹、脂ぎった顔。
「ギャハハハハ!! なんだこいつ! おっさんじゃねーか!」
「だから親方! おっさんだって言ったでしょう!」
「……」
おっさんは分かっていた、若者に混じるには自分もナウい言葉を使わなくてはいけないのだ!
「まじ卍だしぃ、ちょーウケるんですけど!かわうぃうぃ〜」
兎に角検索ヒットしそうなナウい言葉を連発してみる、どうだ?
「……」
「……」
「……」
「…………喰らえカオスティックボンバー!」
ただの屁である。
「ぐぁ!」
「親方! 親か……チーン」
「??」
「ふう、又してもつまらぬものを出してしまった」
屁である。
そんなこんなで少女を救出することに成功したおっさんの旅が始まるのだった。