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第三部

続きです。


結局あの後、そのままエリカは俺達の仲間になった。しかし、最近気になることがある。

あまりにも気になったため…

俺の問題提起によりある会議が開催された。

「只今より、サクヤパーティ第一回会議を始めます。本日の議題を副リーダーエリカさんお願いします。」

とサクヤ。

「えーと…今回皆さんに集まってもらったのは他でもなくスライムを倒しに行った際に異常な確率で上級モンスターと遭遇することについて山田氏から問題提起がなされたためです。」

とサクヤ。明らかに動揺している。

そう。今日俺たちが集まったのは俺の問題提起によるもの。はっきり言って、異常な確率というより、必ず出会う。それも、エリカがクエストに一緒に行くようになってからである。相変わらず俺たちはスライムだけを標的にして最初と同じ俺が魔法を放って他が回収。そんなスタイルで行っている。エリカ、あんた戦えるのか?見たことないぞ。誰か死なないと君の勇姿見れないなんて嫌だよ。

「それでは、問題提起をした山田氏、問題の説明と見解をお願いします。」

「今回なぜ問題提起させていただいたかというと、これから更に上級なモンスターと当たったことを考えると命に危険が及ぶからです。」

「異議あり!あんたが倒せばいいでしょ!死んでも私が蘇生するわ!」

嫌な予感が当たってる気がする。

「エリカさん、静粛に。山田氏続けてください。」

「はっきり言って、私はエリカさんを疑っています。どこかの女神のようにアンテッドを引き寄せたりすることはないにしても、神に嫌われている、あるいは能力と引き換えの条件となっているとか。」

エリカの肩がピクッと動く。前においてあるオレンジジュースを飲む。

「そんなことはないです!明らかなあてつけだわ!山田氏が神に嫌われてるからでしょ!」

「うるせーな!俺は人間には嫌われやすい体質だけど神に嫌われることをした覚えはないぞ!」つい、椅子から立ち上がってしまった。そう。人間に嫌われることに関しては自信がある。特に無意識に嫌われること。これも前世の記憶なのだろう。

「静粛に。山田氏続けてください。」

「なぜ私がエリカさんを疑うのか。それにはれっきとした理由があります。最初に出会ったのもエリカさんはファイヤードラゴンを連れてましたよね。あの日からです。僕達がスライムを狙いに狩場に行ったときに上級モンスターと遭遇するようになったのは。」

エリカは大きく目を開きハッとする。

「私は、エリカさんにマイカードの提示を求めます。思えばあの時不自然にマイカードを隠していましたよね?」

と俺は続ける。

「な、何を言うんですか?個人情報の侵害ですよ!見せるか見せないかは私に決定権があるはずです。」

とエリカ。

「議長、これは明らかにマイカードになにか書かれていると考えられます。議長から正式にマイカード提示の指示を出してください。」

「そうですね…。エリカさん、マイカードの提示を求めます」と議長ことサクヤ。

「なっ!議長。私を信用してくれてないんですか?」

エリカが泣き顔で議長を見る。

「私の全てを見せてって。そう言うんですね!議長いや、サクヤは!」

いや、そうは言ってないだろ…

「サクヤったら私の全てを妄想して…はしたない!」

弱気になるサクヤ。

「いいから見せろよ。責めたりしないから。別にこれからいつかは見せることになるだろうが。」と見かねた俺が説得する。

「はい…」

そういうとエリカは自分のリュックからマイカードを取り出し、サクヤに提出する。

「こ、これは!」

エリカのマイカードを覗き込むと、驚きの内容がかかれていた。

【この特技と引き換えに上級モンスター、魔物との遭遇率が普通の人と比べ832倍に上がります。】

嘘だろ?いや嘘でしょ?蜂蜜だと?確かにチートだとは思ってたけど832(はちみつ)はないでしょ。832(はちみつ)は。

「てへぺろ☆」

エリカは、手をグーにして頭に、下をぺろって出している。何だコイツ。可愛いけどダメだぞ。

「エリカ、もしかして他のパーティに属してなかったのって。」

「ギルドでは疫病神って言われてるわ。てへぺろ☆」

いや可愛いけど。可愛いけど、なにかおかしいでしょうが。

「お願い!追い出さないで!もう私にはサクヤしかいないの!」

おい俺はもういないのかよ。いないけど。いないかもしれないけどこのパーティにはいるからよろしくね☆

「追い出すことはしないけどこういうことは早く言えよ。対策は何かしらするから。」

とサクヤ。

「はい…」

と凹むエリカ。

「で、対策について何か案はある?」と議長。

「エリカを専業主婦にする。」これは俺の案。すべてが上手くいっている。

「山田黙れ★」

エリカ、顔が笑ってないよ。☆が★になっちゃうよ。

「却下。他だ。」と首を横に振りつつ答えるサクヤ。

他に何かあるのか?

「てか山田が倒せば良くない?」とエリカ。

いやそれ俺得じゃない。これだからゆとりは。

「却下。他だ。」

とサクヤの真似をして言ってみる。

「良案。それで行こう。」

とサクヤ。更に追加で

「山田、蘇生術試してみるか★」

やっぱ☆が★だ。

…ところで回復要員の確保はどうなったんですかね?蘇生要員しか確保はできてないですよ。


はっきり言ってエリカの蘇生はファイヤードラゴン以外に使われることはなかった。

そんなある日のことだった。

スライムを倒した後。

(おい、山田、エリカ、聞こえるか?)

ん?いよいよサクヤが心に語りかけている感覚。あ、そのままか。

「どうしたんだよ?」

「なんとレベルが上って、心で会話できるようになった!お前たちは心のなかで話すだけでいい。俺が勝手に読み取ってお前らの心に語りかける。」

そういう成長だったのか。サクヤの成長とは。

(聞こえるー?私だけど)

(聞こえる。)と俺。

(おう。)とサクヤ。

てことはもう言葉必要ないですね。ここ三人の間なら心のなかで話せるってことか。めちゃ便利じゃねえか。正直戦闘中の指示はほとんどサクヤが出していた。だからそれを心でできるのはかなり負担が減る。

(これからはここで基本話したり指示出したりする。)

その時だった少し前に感じた気がする嫌な予感がした。何?何か特技が成長するたびにパーティ追加されるの?

しかしここで気になったことがある。いつもなら来るはずのファイヤードラゴンが来ないのだ。流石にスライムと同じペースで狩っていれば途切れるものだろうか。でも蜂蜜だぞ?蜂蜜。

その時だった。やっぱり見るからにヤバそうなドラゴンが降りてきた。ファイヤードラゴンは濃い目の赤が基調となっていたが今回のは黄色い。雷系?そこに鳴きキュェェェいやまずいでしょ。蜂蜜偉大すぎかよ。しかしもっとまずかったのは、鳴き声と同時に落ちた多数の雷だった。初めて知りました。近くの雷ってもう何処に落ちてるかわからないみたいに周りが目がくらむレベル光ってそこに続けてゴロォォォンって音が鳴るんですね。二十一年間否三ヶ月手前生きてきて初めて知ったぜ。そんな場合ではない攻撃しようにもモンスターが見えないのだ。周りの光で目がくらんでしまう。さっきのが何発も来るのはきついって。とりあえず周りの安全を確保しなければ。

(大丈夫か?)早速これが役に立った。周りの騒音に紛れず話すことができる。

(大丈夫よ。私は。でもサクヤ何も反応ないわ。)嘘だろ。あのバカ…

(蘇生術の用意しといてくれ。もしものために)

(わかったわ。気をつけて探して)

(了解。)

やっぱり某少年マンガみたいに気で察知するしかないか。魔法で見た気がする。でもどうやるんだ。とりあえず目をつむって周りに気を集中させるとかするとなんとなく左後ろにエリカらしき塊が感じられた。よしその調子。気ってより塊がある感じだ。というか、もしあいつ気絶してたらどうなるんだ?でもこれしてて思ったけどこれでモンスター索敵して倒して、周りの環境整えたほうが早いかもしれない。だいたいわかる気がする。多分崖の上に上がっている。高低差のようなものが感じられるためだ。どうやって上がろうか。はっきり言って地を蹴るなんて無理だ。流石に飛ぶ魔法なんてない。ないものを作り出すってのがこの世界での魔法概念だからな。てか、それなら気の察知ってなんなんだよ。まあ塊のように感じたから頭のなかで人の存在を創造できるってとこだろうか。

そう試行錯誤しているうちに突然モンスターの気が消えた。は?逃げたのか?でも違う。消えかたが一瞬だった。瞬間移動も流石にないだろう。見たことない。であればどういうことだ。倒されたとか?それもワンパンで?そんな俺みたいなやついるのか?

「お姉ちゃんに任せ…」突然頭上から幼女の声。まさかそれはまずいだろうが!おい。流石にまずいって。それはやめなさい!お兄ちゃんとしてやめなさい!まさかの心がぴょんぴょんしちゃう流れですか?そうなんですか?

「やめろぉぉぉぉ!」と危なかった。何とかセーブ。てかおい誰だ!俺の大好きなアニメに被せようとしたの!許さん。許さないぞ。いつしか右上の数値は八百三十二。よっしゃ蜂蜜来たぜ!

「ファーストジャッチメントォォォォ!!!」

その瞬間さっきの雷に似た光が周りを覆った。

「馬鹿!やめろ!」というサクヤの声は届かず俺は魔法を決めてしまった。周りがいつもの晴天に戻った時緩めの服を着た明らかな子供っぽい女の子が前に倒れていた。

「あ、やっちゃった…てへぺろ★」と俺。

『何やってんだ(のよ)馬鹿!』とやはりパーティみんなからツッコミを受ける。って普通にサクヤの声混じってたぞ。あいつ何やってんだ。

「蘇生してくれ!なんでもおごるから!頼む!」

「当たり前よ!パーティの雑務が幼女を殺したなんてなったら大問題よ!」そう言うと呪文を唱えだす。

「チッ!何でタゲが外れてサクヤに当たったりしなかったんだよ!」クソ!何でだよ!

「なんてこと言うんだ!俺は瀕死状態だったんだぞ?」とサクヤ。

その時だった。

「私をパーティに入れてくれるなら、許しますよ。」と明らかな電波少女は言ったのだった。そう。両手の人差し指と中指をおでこに当てて。

『は?』とパーティーみんなが声を揃えて言ったのは言うまでもないだろう。





以下は酒場での出来事である。

「で、あんたは何者なの?」とエリカ。

そう。エルと名乗る電波少女えるか☆エリカは明らかに登場が怪しいことに加え、あれに耐えたのだ。問い詰められてもおかしくないだろう。そして一瞬であの明らかにヤバそうなドラゴンを撃退したこと。流石にやばいでしょうが。ヤバいやつを一瞬で撃退するなんて流石にヤバイだろうか。カタカナ増えちゃったぞ。おい。

「だから、エルです。普通の女の子です。何か?」

「まあなにもないですけど。なぜうちのパーティ入りたいの?」

「楽しそうですし、強そうに見えたからです。」

「特技は?」

「予知です。」そこがまじでチートっぽいんですよね。おかしいでしょ。チートか。絶対引き換えになにかあると思うんだけどな。

「どうしてあのモンスター倒せたの?」と議長。

「予知で予測して上級魔法を放つ用意をしておき、炙りました。」とエル。そんなことができるのか。めっちゃ便利だな。てか炙る…か。怖いな。

「どうしてあの魔法に耐えられたの?」と議長。

「前から予知して、ガードを二重に張っておきました。」とエル。すごいなコイツ。多分パーティに入れば相当な戦力になる。

「私をパーティに入れてくださいますか?」可愛い。普通に。

(サクヤ!ダメよ!ビジュアル担当は私でたりてるんだから!)とサクヤの鳴き声が響く。

(そろそろ、ヒロイン交代の時期じゃないでしょうか?)と俺。うん。いい時期だと思うんだよね。

(早すぎよ!あんたロリコンだったの?!)

お、お前!誰がロリコンだ?!ギルドの受付嬢一本だっつーの。って何言わせてんのよ!馬鹿!エッチ!ド変態!

(おい、山田。気持ち悪い。)

まさか漏れてたとは。失敬。

「予知であなた達が私を入れてくれるのは、既にわかってます。」でしょうな。

「まあいいんじゃないか?かなり戦力になると思うぞ。何にせよあのモンスターをワンパンできる魔法が打てるんだろ?」

「そうだな。俺もそうしようと思う。よろしくな。エル。」

「はい。よろしくお願いします。」

「まあよろしく。さっきは本当にすまなかったな。」と俺。

「まあいいわ。ビジュアルは譲らないわよ。」とエリカ。

「うちのパーティはみんな俺の家泊まってるけどどうする?」とサクヤ。やっぱ攻めるねえ。

「もしかしてこのパーティって夜にパーティーとかやっちゃってるんですか?私未成年なのでよろしくです。」

とエル。

しばしの沈黙。

「な、何を妄想してるんだ!勿論女子と部屋は別だ。」

「そうよ!私をこんなやつらと一緒にしないで!そんなのゴミ屋敷と同じだわ!」一緒にはしてないと思いますけど。にしても随分と失礼なこと言いますね。

「そうですか。それではこれからよろしくお願いします。」

「お、おほん。じゃあエルはエリカと同じ部屋でいいか?」

「まあいいわ。私がエルに先輩としてビジュアル担当の重要さを説いてあげるわ。」とエリカ。

「そうですか。よろしくお願いします。」とエル。

「ちょっと素直なのが腹立つわね。ところで明日からもクエストは変えないの?」とエリカ。

「正直そろそろ色んなクエスト、勿論中級クエストとかも受けていい気がする。どう思う?」

「俺は全然いいよ。どうせ勝てるし。」まあ俺は自分で言うのもなんだがチート特技訳してチー特技だからね☆

「あんたはね。私は誰が死んでも蘇生できるし大丈夫よ。」とサクヤ。

「蘇生ですか。いいですね。私と組み合わせれば誰が死ぬかわかりますよ。」とエル。

「まあ基本はそんなことがないようにしようね。」とサクヤ。

「ダメなのです。予知したものは確定の未来。それが起きないことなどありません。予知すれば例えどんな方法であってもそれは実行されます。誰かが死ぬ未来が見えたとしてそれを結果ができた後に蘇生はできても死ぬという結果を避けることはできないのです。」とエル。お、おう。怖いな。そいえば俺の特技知ってんのかな?まあ興味なさそうだけど。

「俺らのそれぞれの特技知ってんのか?」と俺。

「いいえ良ければ教えてほしいです。」とエル。なんていい子。可愛い。

「俺の特技は気分によってパラメーターとか打てる魔法が変わる。そんな感じだ。」

「要するにコイツは気分屋ってことよ。」トエリカは言うと、エルに顔を近づけて

「はっきり言って興奮状態のコイツただの化物よ。変なことされないように気をつけてね。」という。エルは頷いて聞いている。

「聞こえてんぞ。負けヒロイン。」ぶっちゃけあいつの立ち位置確実に失恋ヒロインのいちなんだよな…

「馬鹿にしてんの?誰が負けヒロインよ!」

「言葉遣いとか完全に負けヒロインなんだよ!」

「エリカさん安心してください。予知したら上級魔法で撃退します。」

「殺しても大丈夫よ。必要なときに蘇生するわ。なんなら今でも」

「怖いこと言うなよ…」怖すぎか。このコンビ。

「まあまあ。俺は読心術が特技だ。」そしてサクヤは一呼吸置くと

(聞こえるか?基本はここで指示とか飛ばすからな。よろしく)という。最初はエルもびっくりしている様子だったが納得したようだ。

(わかったのです。)エルが本物の電波少女になったところで今日は解散された。

エルは正直言ってかなりミステリアスな雰囲気だ。予知はマイカードで確認したため本当なのはわかってる。そこも含めてそう感じる。


見た方ありがとうございました。良ければコメントお願いします。

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